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第三章 ③
「ミャ~」
「んっ?」
顔を横へ向けると、そこには先日出会った黒猫がいた。
「なんだ、お前か。どうした?お腹空いてるのか?」
そう言いながら、黒猫に手を伸ばそうとした時だった。
「来てくださったんですね。」
その声は、彼女と出会ったあの雨の日のように、僕の耳に直接やって来た。
「え?」
ガバッ!!
「い、いま、しゃ、しゃべった?のは…?!」
僕は勢いよく起き上がり、大きく目を見開きながら黒猫を見つめ、パチパチと何度か瞬きをした。
その何度目かに、突然「彼女」が目の前に現れた。
「へ?」
「私です。黒猫です。」




