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第二章 ⑦
今日は座れそうだな…
そう思いながら、空いていた一番端っこの席に座った。
電車に揺られながら、僕はやっぱり昨日の彼女の事を考えていた。
彼女が合田のじいさんを知っていることは、確かだ。
でも彼女はなぜ“孫”だなんて嘘をついたんだろう…?
嘘をつく必要があったのだろうか…?
彼女は一体、何者なんだ…?
そして彼女のあの瞳…
僕はなぜか、怖さを感じなかった…
女性の悲しい顔が怖くないなんて初めてだ。
どうして彼女だけ?
一体…何なんだ…?
彼女は…?彼女は……彼女は……………




