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第二章 ⑥
僕が高校1年生の時に祖母が亡くなり、祖父も後を追うようにその1年後に亡くなった。
長女である僕の母は仕事があるからと、次女のおばさんも結婚をして家庭があるため、祖父母の家の引き取り手がおらず、取り壊す話も出てきていた。
でも、僕は家を壊すことに反対した。
大学もそこから通うから僕に住まわせてほしいと申し出た。
僕は、祖父母との温かい思い出の詰まった場所がなくなることが嫌だった。
これまでの自分が消えて無くなってしまうようで怖かった。
僕はその時初めて誰かに、大きな意思表示をしたような気がする。
そして、初めて誰かに、僕の気持ちを尊重してもらえたような気がする。




