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第二章 ④
「……ん?…ルくん?ハル君?」
「あっ、すみません。ぼーっとしちゃって…」
「そうそう、それから、不思議なことがあったって町長さんが言ってたのよ。」
「不思議なこと?」
「権蔵さん、死因?っていうの?心筋梗塞だったみたいなんだけど、全っ然、苦しそうな顔してなかったんですって。
それどころか、何の乱れもなくって、きれいにまっすぐお布団に横たわっていたそうなの。
まるで誰かが、亡くなった後にそうしたかのようだったって。
不思議というか、少し怖いわよねぇ~?」
「そ、そうですね…」
「あらっ!」
おばちゃんの大きな声に、僕はビクッとした。
「もうこんな時間!ハル君、電車に乗り遅れるわよ!ほらっ!いってらっしゃい!」
「あ、い…いってきます…」
おばちゃんと別れた後も、僕の頭から昨日の彼女のことが離れることはなかった。