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第二章 ③
「いってきます。」
僕以外誰もいないが、祖父母と過ごしていた時の癖がなかなか抜けない。
家を出て駅まで歩いて向かっていると
「あら、ハル君、おはよう!今日は暑くなりそうねぇ~。」
近所のおばちゃんが花に水を掛けながら、いつものように声をかけてきた。
「おはようございます。そうですね。」
「でも、昨日の雨はすごかったわよね。急に降り出して。
洗濯物が濡れちゃったわよぉ~。」
「あっ、そういえば、合田のおじいさんって…」
僕は雨の話題に昨日の出来事を思い出し、そう切り出した。
「権蔵さん?急だったみたいよ~。
ほら、奥さんも早くに亡くなってるし、身寄りもないでしょ?
だからあの家も引き取り手がなくって、取り壊すとかなんとかで……………」
僕の頭は一瞬で昨日の彼女のことでいっぱいになった。
やっぱり彼女は合田のじいさんの“孫”じゃない…彼女は一体…誰なんだ…?