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第二章 ①
【第二章】
「ふわぁ~」
大きなあくびをしながら、僕はトーストが焼ける間に目玉焼きを作っていた。
昨日はあんなこともあってか、なかなか寝付けなかった。
「あ、いけね、今日は燃えるごみの日だ。」
焼けたトーストにハムと目玉焼きを乗せて、かぶりついた瞬間に思い出した。
慌ててごみを集めて玄関へ向かう。
そこには昨日、彼女から借りた傘が立てかけてあった。
「やっぱり、夢なんかじゃない…よな。」
自分自身に確認をした僕は外へ出た。
太陽が眩しくて、寝不足の僕の頭を少し刺激した。
「ミャ~」
ごみ置き場へ向かおうとした時に一匹の黒猫に出会った。
この辺りにはよく野良猫がうろついている。
僕の家にもたまに野良猫が遊びに来てくれる。
祖父母がいた小さい頃から慣れているせいか、僕はその度、じゃれ合ったり食べ物や水をお裾分けしている。
「おはよ。」
僕もあいさつを返した。