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第一章 ⑩
そうだ、そういえば昨日だったか近所のおばちゃんが言っていたな。
合田のじいさんが亡くなったって。
「…それは、大変でしたね……えっと、合田さんの…親戚ですか?」
「はい…孫です。」
…あれ?合田のじいさんって、奥さんを早くに亡くされているとは聞いたことあるけど、お子さんは確かいなかったよな?
奥さんを亡くされた後はずっと一人だって聞いたような…
孫なんて…“いないんじゃないか?”
「へ…へぇ~、そうなんですね。お孫さんがいたとは…」
僕は何も知らないふりをしてしまった。
なぜだろう、自分でも分からなかった。