31話 また追放
悪魔と化したアルフレッドを倒したブレイズとヘルガはその場に倒れ込んだ。激闘の疲れが押し寄せてきたのだ。二人は大きく息をしながら、呼吸を整えた。
そんな王城の広間に城の兵士が増援を連れて戻って来た。
「お二人とも、大丈夫ですか!?」
増援を連れてきたが、戦闘はすでに終わっていた。兵士は倒れているブレイズとヘルガを運び、手当てをした。二人とも怪我をしており、自力で動くのは難しかった。
手当てを受けたブレイズとヘルガは、治療が終わると疲れから気絶するように眠りに就いた。
二人は日付が変わり、朝が来るまで眠っていた。そして二人が目覚めると、大臣が部屋にやって来た。大臣は二人に今の城の状況を説明した。
「ブレイズ殿、ヘルガ殿、此度は王子の乱心を止め、私たちを守って頂き大変感謝しています。しかし今、城は混乱しておりまして、お二人の処遇を考えている最中です。もうしばらく城の中でお休みください」
「わかりました」
処遇という言葉を聞いたブレイズは少しだけ嫌な予感がしていた。ブレイズとヘルガは王子を殺したのだ。もしかしたら重罪を問われるかもしれないと思ったのだ。
ブレイズの予想は当たっていて、城の重鎮が集まる会議で、ブレイズとヘルガを王子殺しとして罪に問うべきという意見が出ていた。
しかし状況を考えると、アルフレッドを殺したのは不可抗力だという意見も出た。会議は長引き、その間ブレイズとヘルガは城の一室に軟禁された。
ブレイズとヘルガは軟禁を受け入れ、処遇が決まるまで待った。そして二人は三日間、城の一室に閉じ込められた。
三日が経つと、二人はようやく部屋から出られた。そして二人は謁見の間に通された。そこには大臣や将軍、そしてこの国の王などがいた。
ブレイズとヘルガは王の前に通されると、膝を付いて王の言葉を待った。王は単刀直入に二人に話し合いの結果を伝えた。
「ブレイズ、ヘルガ、此度の話し合いの結果、二人の王子殺しの罪は不問とする」
それを聞いたブレイズとヘルガは安心した。そして王の言葉が続けられた。
「しかし二人を登用する件は白紙に戻す。王子殺しという不名誉なものを抱えたものを城で雇うことは出来ん。そして二人に罰を課すべきという意見も出た。それにより、二人にはこの国を出て行ってもらいたい」
登用を白紙にされたブレイズは少し残念に思った。そしてこの国を追放させられると聞いて、さらに驚いていた。
「この国にいては政争に二人を利用しようとする者が現れるだろう。心苦しいが二人のためなのだ。大人しく聞いてくれ」
「寛大な処置に感謝します」
ブレイズは決められた処遇を大人しく受け入れた。命が取られないだけマシだと思ったのだ。
王はせめてもの詫びにと、いくらかの路銀を二人に渡した。この金で王国を出て行けという意味だった。
こうしてブレイズは二度目の、ヘルガは初めての追放刑となった。
※
城を後にしたブレイズとヘルガは一旦宿に戻り、荷物をまとめた。二人は荷物をまとめながら、この街でのことを思い出していた。
二人はこの街にかなり長居したため、寂しい気持ちがあった。二人は宿から出ると、食糧などを買い込み、街の門へと向かった。
街の出入りを管理する門に着くと、見覚えのある馬車が駐まっていた。それは王都に来る前に助けたエルフの貴族、セシリアの一行だった。
セシリアもこちらに気付いたようで、ブレイズとヘルガに話しかけてきた。
「お二人とも、お久しぶりです。事情は聞いています。大変でしたね」
セシリアは貴族のコミュニティで今回の事件について聞いていたようだった。
「国を出るのですよね。もし行き先が決まっていないのなら、私たちの国に来ませんか?」
「グラス連邦にですか。ご一緒してよろしいのですか?」
「はい! お二人がいれば道中も安全でしょう」
ブレイズとヘルガは誘いを嬉しく思ったが、少し不安もあった。
「私たちは王子殺しという不名誉な称号を持っていますが、大丈夫ですか?」
「お二人が良い人であることは知っているので、大丈夫です! それにグラス連邦に来れば、そんなものは関係なくなりますよ!」
「では、ご一緒させて頂きます」
こうしてネクス王国を追放されたブレイズとヘルガは、エルフのセシリアと共に亜人の国、グラス連邦に向かうこととなった。
ヘルガはまたセシリアと旅が出来るのが嬉しそうだった。ヘルガは前向きにブレイズを励ましながら歩いた。
一方でブレイズはグラス連邦では追放されないといいなと思っていた。
これで『放浪騎士ブレイズの再就職』は完結です。
今までお読みいただき、ありがとうございました。




