26話 謁見
霊廟に巣くう悪霊を無事に討伐したブレイズとヘルガ。その後二人はギルドマスターと共に王城に来ていた。
二人はギルドマスターと兵士が並ぶ廊下を歩いた。兵士たちはブレイズとヘルガにも頭を下げていた。皆悪霊を討伐してくれたことを感謝しているのだ。
そしてブレイズとヘルガ、ギルドマスターは王城の応接間に案内された。そこは大きな壺や美しい絵画など、豪華な調度品が飾られていた。
応接間で三人が少し待っていると、部屋に一人の男が入って来た。それは今回の悪霊の討伐をギルドマスターに持ちかけた大臣だった。
大臣はとても大柄で、その体に合わせた華美な服を着ており、裕福そうな見た目だった。大臣が入ってくると、三人は立ち上がって大臣を迎えた。
「そのままでよい」
大臣は頭を下げようとした三人を止めた。そして席に着けさせた。
「今回は霊廟の悪霊を討伐してくれて、本当に感謝している」
大臣はブレイズとヘルガに会うと、すぐにお礼を言ってきた。城の者では為し得なかった悪霊の討伐を完遂したからだ。
「今回のそなたらの活躍に王も喜んでおられた! 報酬に糸目は付けん!」
そう言うと大臣はメイドに報酬がたんまりと入った袋を持ってこさせた。それを受け取ったブレイズとヘルガは、袋の重さに驚いた。
重さから察するにしばらくは遊んで暮らせるほどの額が入っていそうだった。
「それで、マスターから話があるらしいが、それは何だね?」
話を振られたギルドマスターは、ブレイズとヘルガとの約束を果たすために、大臣に話をした。
「はい、実はこの二人、ブレイズとヘルガについてですが、王城に登用してはどうでしょうか?」
「どういうことだね?」
「この二人はただの冒険者にしておくのはもったいなく思います。ぜひ王城で雇い、民のために仕えさせてはいかがでしょうか?」
「つまり、この二人を王城付きのモンスタースレイヤーにしろと言うのだな……」
ギルドマスターの話を聞いた大臣は眉間に皺を寄せ、難しそうな顔をした。
「むう、それは私の一存では決めかねることだ」
大臣はブレイズとヘルガをモンスタースレイヤーとして雇うのを渋った。これは当然の反応だった。
王城での責任ある仕事に、見ず知らずの者を就けることは出来ないからだ。
(さすがにそう簡単にはいかないか……)
ブレイズはとんとん拍子で話が進むとは思っていなかった。ヘルガも大臣の反応は予想通りだった。
ギルドマスターはこの国での二人の活躍や功績を大臣に説明した。
「大臣、この二人はこの国で様々な功績を挙げています。魔女の捕縛や関所の開放、最近ではグラス連邦の貴族を助けてもいます。他にも様々な功績を挙げております。どうかご一考願えないでしょうか」
大臣は二人の功績を聞いても首を縦に振らなかった。大臣としても優秀な人材は王城で働いて欲しかった。ただでさえ今は悪霊により王城の兵士が減っていたのだ。
しかし大臣は二人のことをあまりにも知らなすぎた。それにいきなり二人を登用しても城の者が納得するかもわからなかった。
そこで大臣は一つの条件を提示した。
「そうだ、二人にある事件を解決してもらいたい! それを解決出来れば城の者も納得してくれるだろう」
「わかりました。その事件とは何ですか?」
「最近市井を騒がせている、黒魔術師の討伐を頼みたい」
その事件はブレイズとヘルガも王都で生活する上で聞いたことがあった。闇夜に紛れて人を攫って、黒魔術の生け贄に使っているというのだ。
しかしそれは単なる噂話だとブレイズとヘルガは思っていた。
「単なる噂話だと思っていましたが、本当に黒魔術師はいるのですか?」
「うむ、これはただの噂などではない。実際に城の者が黒魔術の使われた痕跡を見つけたのだ。それに実際に行方不明者の数も増えている。噂にしては証拠が集まりすぎている」
大臣は集まった情報から、黒魔術師がいると確信していた。
「黒魔術師の目的は不明だが、放っておいて良いことはあるまい。黒魔術師のことを知りたければ、城の兵士に聞くといい。喜んで協力するはずだ」
「わかりました。黒魔術師を私たちで討伐して見せます」
「頼んだぞ、ブレイズ殿、ヘルガ殿。この事件を解決に導いた暁には、城での登用を確約しよう」
「ありがとうございます」
そして大臣はメイドを呼び出し、契約書を用意させた。
「契約書にサインをしてくれ。これで約束を反故にすることはない」
ブレイズとヘルガは契約書にサインをした。証人にはギルドマスターがなってくれた。契約書はブレイズとヘルガが預かった。
「期待していますぞ」
そう言うと大臣はブレイズとヘルガ、ギルドマスターが応接間を出て行くのを見送った。そして応接間を出たブレイズとヘルガは、何とか依頼を達成しようと心に決めた。
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