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19話 パーティー

 森の最奥に巣くっていた巨大で禍々しい狼を倒したブレイズとヘルガ、カイルは伯爵の屋敷に着いた。


 三人を出迎えた伯爵は、傷だらけの三人をすぐに治癒師に治療させた。そして傷の手当てが終わると、伯爵は事の顛末を聞いた。


 ブレイズたちは森の最奥に巨大な狼の怪物がいたこと、そしてその怪物を倒したことを伝えた。


「そうか倒してくれたか! 君たちには何と感謝したら良いか」


 伯爵は怪物が倒されたと聞いて喜んでいた。呪いの根源を倒せたことで、伯爵の呪いも解けていた。


 これで伯爵は人狼になるのを怯えることがなくなった。伯爵は執事を呼び出し、三人に報酬を渡した。報酬は袋一杯に入っており、かなりの間遊んで暮らせるほどの額が入っていた。


「こんなにもらっても良いのですか?」


「良いのだ。君たちは私だけでなく、街の人々の不安も取り払ってくれたのだから」


 報酬を渡した伯爵はさらに話を続けた。


「さらに君たちを讃えるパーティーを開きたいのだが、どうだろうか?」


「パーティー、ですか」


「そうだ。表向きは街を脅かしていた怪物を倒してくれたことを祝って執り行おう」


「良いですね! 是非!」


 困惑するカイルとは対照的に、宴会が好きなブレイズはパーティーの開催を喜んでいた。


「でもブレイズ、あたしたち、パーティーに着ていくようなドレスとかないわよ」


「それなら心配ご無用。こちらで仕立屋を呼んで用意しよう」


 流浪のヘルガとブレイズは当然のことながら、貴族のパーティーに着ていくような服を持っていなかった。しかしその問題は伯爵が仕立屋を呼ぶことで解決してくれた。


 そして今日のところはもう日が落ちたこともあり、解散になった。ブレイズとヘルガは宿に戻り、カイルは自身の家へと戻っていった。



          ※



 呪いの根源であった狼の討伐から三日後、ブレイズとヘルガ、そしてカイルは伯爵の屋敷で開かれているパーティーに出席していた。


 パーティーには近くの領地の貴族や街の商工会の代表、ギルドのマスターなどが来ていた。そしてブレイズたち三人が伯爵から参加者に功労者として紹介された。


「今回、街の平和に貢献してくれた三人を紹介したい。ブレイズとヘルガ、カイルだ。彼らに拍手を!」


 パーティー会場は拍手に包まれた。そして伯爵からの紹介が終わると、ブレイズたちの周りに人だかりが出来た。


「君たちが怪物を倒してくれたのか!」


「こんな可愛らしいお嬢さんが戦ったのか」


「君たちのことを聞かせてくれ!」


 ブレイズとヘルガ、カイルはそれぞれ囲まれ、質問責めにあった。話題に飢えている貴族や商人は、今回の事件の顛末やブレイズとヘルガの放浪譚を聞きたがった。


「君がブレイズか。関所での活躍は聞いているよ。私はこの街のギルドマスターのゲールだ」


 ブレイズの前に来た男性はこの街のギルドマスターだった。ゲールはこのパーティーに来るにあたって、事前にブレイズとヘルガのことを調べていた。すると二人の様々な活躍を耳にすることが出来た。


「関所のサイクロプスや盗賊団の撃退、危険なグリフォンの討伐など、様々な場所で君たちの功績を聞くことが出来たよ。素晴らしい活躍だ」


「お褒め頂き光栄です」


 ブレイズはゲールに深々と頭を下げた。


「良ければ君のことを聞かせてくれないか?」


「私もブレイズ様のお話を聞きたいわ!」


 ブレイズの周りにはギルドマスターの他に、貴族の令嬢なども集まっていた。男らしいブレイズの武勇を聞きたがったのだ。


 ブレイズは、これは名を広める絶好の機会だと思い、この国に来てからの旅の話をした。ブレイズの活躍は刺激的なもので、話を聞いた人はとても楽しそうにしていた。


 一方でヘルガも貴族の令嬢たちに囲まれて可愛がられていた。最初は慣れない公の場で少し緊張していたヘルガだったが、話をする内に緊張も解けていた。


 令嬢たちはこんな小柄で可愛らしい娘が、巷を騒がせていた怪物を倒したのかと驚いていた。


「今回の怪物だけじゃないわ! あたしは子供の頃から怪物を倒してきたんだから!」


 ヘルガは令嬢たちに自身の活躍を話した。令嬢たちはヘルガの話に興味津々だった。すると一人の令嬢がヘルガに質問をした。


「ねえ、ヘルガはブレイズ様とどういう関係なの?」


「ブレイズと? そうねぇ……」


 令嬢たちは答えを考えるヘルガに期待の眼差しを向けていた。


「仲間、もしくは兄妹みたいな感じかしらね」


「あら、そうなの……」


 ブレイズとヘルガの恋愛的な関係を期待していた令嬢は、残念そうな声を出した。しかし令嬢たちのヘルガに対する興味は尽きないようで、ヘルガはパーティーの間中、ずっと楽しく話していた。


 そしてもう一人の功労者であるカイルは、顔なじみの商工会の男たちと話していた。


「良くやったな、カイル! お前たちは街の英雄だよ!」


「よせよ、俺はほとんど何もしてないんだから」


「でもお前が怪物の目に矢を撃ったから倒せたって聞いたぞ」


「謙遜するなよ、カイル」


 カイルは気恥ずかしさを誤魔化すために酒を飲んだ。


 こうしてブレイズとヘルガ、カイルは三者三様にパーティーを楽しんだ。そしてつつがなくパーティーは終わりを迎えた。


 ブレイズは自分たちの名が広まってきたことに満足しながら、宿に戻って眠りに就いた。



          ※



 翌日からブレイズとヘルガはミモザと合流する日になるまで街中でゆっくりと過ごした。そして街に滞在して一週間が経った。


 ブレイズとヘルガは宿から出るとミモザのいる教会に向かった。教会に行くと、ちょうどミモザも出てきたところだった。


「お二人とも、お待たせしました!」


 ミモザは教会の人に礼をすると、二人の元に歩み寄った。


「聞きましたよ、怪物を退治して大活躍だったんですよね!」


「その話は歩きながら、たっぷりと聞かせるよ」


「楽しみにしてますね!」


 そして三人は街を後にした。

読んでいただきありがとうございます。

次回更新は6月23日の0時です。

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