Tummy
RADWIMPSさんのtummyという曲を聞き、自己解釈で書いてみたいと思いました。(教えてくれた友人大感謝)
和訳がとてつもなく大好きマンです。
本当に強強自己解釈です。苦手な方はブラウザバックしてほしいです。
原曲(https://youtu.be/34a3m8-4EvY?si=iyMQfAXPYK8_Z0Nx)
もうどれくらいの時間が経ったのかわからない。怖くて時計が見れないのだ。
あの部屋に君が吸い込まれてから、寝るに寝れない時間が続いている。
__立ち会いができない。
そうやって言われた時、心のそこから悲しかった。だって普通は、立ち会って、我が子の感動の瞬間を見守って…感動したり、そこで最低なモラを発動したり(もちろん僕はありえないが)っていうのが相場じゃないのか。それに……
まあ、これはいい。でも彼女は
「絶対力んで変な顔してる!嫌われたくない!」
そうやって意見を聞いてくれなかった。
惚れたら負け、なんて言葉が過ぎる。怒っている顔もやっぱり可愛くて折れてしまう。
きっと君も見越しているんだろう?笑 まあいいけど。
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彼女とは大学のサークルで出会った。ベタすぎるかもしれないが、でも世間の出会いの相場って、バイト先か、大学、まれに高校や中学からの付き合いの延長とか。まあそれくらいだろう。同じ文芸サークルに所属していた彼女は、綺麗系よりは可愛い系の顔立ちで、なんというか、本なんかとは無縁そうな佇まいだった。
だから、異質な子で名前はすぐに覚えたけど、特段気になっていたとかではなく、ただサークルメンバー、という立ち位置だった。
そうやって春が過ぎ、夏が来たかと思ったら駆け足で秋が散っていき、気がつけば2年生になっていた。
師走、サークルの忘年会で彼女は「実は小説を書いている」と言った。
サークルの活動では、読んで感想の交換程度しか行っていない。中には書いている人がいるのも知っていたけど、まさか彼女が書いているなんて。
僕は思わず「読んでみたい」と口に出してしまっていた。
彼女はえー、と笑いながら誤魔化して話題を変える。ざわざわとした店内で僕の言葉はまるでシャボン玉のように弾けてしまった。
恥ずかしくなって、僕は他のメンバーに一声かけトイレに逃げるように駆け込んだ。
どうやって戻ろうか、この前読んだ本の話でもしたいなあ、なんて思いながら水に濡れた手をドアにかけ開けると、なぜか彼女が立っていた。驚きで声も出ない。
「小説、読んでみたいって言ってくれたから」
屈託のない笑顔でそう言われる。
「あ、うん。どういうの書いてるのかなって思って、気持ち悪かった?」
「気持ち悪いなんて全然!嬉しかった!だから話してみたいなって思って。」
会話はテンポよく進んでいく。お酒も入ってるからだろうか。
「ね、ぬけださない?」
突拍子もなく言われて思わず声が出る。
「急にどうして」
「いやここトイレの前だしさ、あっち戻ってもきみ全然話してくれないし、私も先輩に捕まっちゃうし。」
「先輩によんでもらえばいいじゃんか」
「やだ、あの人たちより”君に”読んでほしい」
頭より先に口が動いていた。
「じゃあ喫茶店でもいく?」
ネットで深夜までやっているカフェを見つけたので2人でそこに入ることにした。
移動中、色々なことを話した。小説のこと、サークルのこと、家族のこと。
付き合ってもなんでもないけど、2年の時間を縫い合わせるように、口はずっと動いていたと思う。
席につくなり彼女はみてみて!とスマホのメモを見せてきた。
注文は?と思いつつ好奇心に勝つことはできず手に取る。
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…ぇ、ねぇ、ねぇってば!
瞬間、視界に彼女が飛び込んでくる。
「アイスコーヒーでよかった?前に飲んでたからブラックにしちゃったけど。」
…意識がとんでた…?
違う、魅入っていたんだ。彼女の描く世界に、文章に。
ホットがよかったかな〜〜でもお酒飲んだ後って喉乾くしアイスかなって思って…と話している彼女を思わずみてしまう。
「だって話しかけても全然反応してくれないし。流石に入って何も頼まないのはよくないかなって思ってさ。」
「あ、うんん、ありがとう」
何を話したらいいんだろう。すごかった、素敵、感動した、この世の中にはこんなにも言葉に溢れているのに___
彼女の作る物語に当てはまる言葉がない。だから言葉が出ないんだ。
「なんというか、すっごくよかった。全部読めてないけど、言葉にできない。良すぎるよ。」
「全部読んでないのにそんなに気に入ってくれるの?!」
「すごくいいんだよ。早く全部読みたい」
「ちょっと褒め過ぎ!!恥ずかしいから!!」
お酒が入っているせいかいつもより口が軽く、言葉がすらすら出てくるのがわかる。
「めっちゃ好きだわ。やばいかも。」
自分が何に対して好意を抱いているのかがわからない。小説か、文か、それとも…多分、ああ、きっとその瞬間全てに恋に落ちてしまったんだと思う。
お酒の力がなくたってこの気持ちは変わらない。長い沈黙の後に彼女は笑いながら「口説こうとしてるでしょ〜〜」という。
”好き”を一度意識してしまったらもう止められない。好きという2文字が頭を駆け巡って止まらないのだ。中学生になったような気分に包まれながら頭を必死に動かす。
「ねぇちょっと聞いてる?おーい!」
「聞いてる、ごめん意識したら言葉出てこなくなっちゃった。」
「何それ!かわいいかよ!」
もしかしたら間違いかもしれない。お酒が回っているからかもしれない。彼女のことを好きなんじゃなくて、彼女から作り出される文章が好きなだけで、彼女のことは好きじゃないのかもしれない。でも、確かめたい。この気持ちを。
「変かもしれないけど聞いてほしい」
「何?」
「君のこの小説を読んでから僕はおかしい。君に夢中になってる。でも、もしかしたら間違いかもしれない。」
そうだ、間違いかもしれない。ちょっとかわいいから、雰囲気で押せばいけそうだし。でも__
「でも、この気持ちを確かめさせてほしい、だから明日…明日じゃなくてもいいから日を改めてデートしてほしい。」
_____沈黙。勢いに任せてとんでもないことを言ってしまった。
「いいよ?私ももっと小説の話したいし。聞きたい。明日空いてるし、起きたら連絡待ってるね。」
「いいの?」
「そのかわり!データ送るから読み進めてほしいな。この先の展開、思いつかないかも。」
困ったような笑顔。笑顔の種類が多いところもかわいい。
「ありがとう、じゃあまた明日ね。」
「終電ある?」
「あ!考えてなかった。走れば間に合う!」
「俺も走れば間に合う!!」
急いで食器を片付け、店を飛び出す。彼女といたら楽しい。そう確信した夜だった。
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そこからデートを重ねて、俺から告白して付き合った。結婚して毎日幸せで、こんなに幸せでいいのかと思った。いろんなことがわかって、わかってもらえて。運良く子宝にも恵まれた。バタバタと日々を過ごしていく中で、彼女が僕の中心にいて、僕が彼女の中心に入れること。これがこの上ない幸せだった。
妊娠がわかってからの十月十日、彼女の負担にならないように、でも愛情はたくさん、溢れてしまうほど注いだ。注ぎ過ぎて嫌われてしまわないか不安だった。そして冒頭に戻るのである。
この数時間状態がわからないままただただ時間が過ぎていった。少し俺もおかしくなってしまったのかもしれない。愛しすぎがゆえかもしれないが。もうすぐ我が子が誕生するというのに。
「私のこと好き過ぎて、こどものことまでちゃんと愛してくれるか不安」
と彼女に言われたことがある。無理じゃない。君から生まれてくる子供だし、かわいいに決まっているのだ。けれど
___羨ましい。
気がついたら口に出ていた。まだ生まれてもいない子供に嫉妬心を抱くなんてわけがわからないけれど、羨ましいことだらけだ。
俺は彼女のことをこんなに愛しているのに血が繋がることは絶対にない。君に負けないくらい愛している。負ける気も微塵もしない。それなのに。血も繋がっていないどころかあいつは(本当はよくないが許してほしい。今だけ。)十月十日の長い時間、彼女の中で過ごしている。俺には絶対にできないのに。
…俺って、変なんだろうか。
少し変になっている。昔っから負けず嫌いだったがまさかここまでとは。ここ最近彼女に付き沿っている少し変になってしまっているかもしれない。嫉妬心からか涙が頬を伝う、
君が生まれてきたら俺は死ぬほど喜ぶ、下手したら涙を流すほど。でも、心のどこかで嫉妬心は抱えたままかもしれない。
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ふと、名前を呼ばれた。意識が飛んでしまっていたようだ。見上げると落ち着いた様子の看護師さんが立っている。
「うまれましたよ、元気な男の子です」
瞬間、俺は椅子からたちあがりかけ出していた。ドアを勢いよく開けるとよわよわしく、けれど精一杯笑う彼女と、この世に突然放り出された男の子が彼女の腕に抱かれていた。
__ぽたり。
気がついたら泣いていた。死ぬわけもないのに走馬灯のように彼女との思い出が頭の中を駆け回った。
「ありがとう」
言葉じゃ伝わらないのがわかっていても、伝えられるだけの精一杯の気持ちをこめて一言だけ言って彼女の頭を撫でた。
彼女が家に帰ってきて、君が人生に現れて、華やかな生活がさらに色づいた。時には喧嘩したりもしたけど、そんな喧嘩も幸せで、なによりその横を君が何事もないようによちよち歩いていくもんだから、笑ってしまったりした。
俺もなれないながらも家事を手伝ったり、ときには君をあやしたり。
…もう気づいてるかな。これはある意味では遺書。まあお手紙みたいなもの。そんな重い意味で捉えないでほしいけど。笑
それよりももう少しだけ、思い出話に付き合ってほしいな。
君は本当に寝つきが悪くて、その度に僕がお母さんの話をしていたんだよ。
彼女は自分の話よりも絵本とか、子守唄を歌ってほしいって言ってたけど。おれはそんなものよりお母さんの話がいいんじゃないかって思って思って聞かせてた。
そのうち君も話を求めてくるようになったりして。
今考えたら、あれは僕なりの牽制だった。俺の方が彼女のことを好きだし知ってるんだって。俺の人生を輝かせてくれた彼女は、俺にとって本当に大切な人だって。だから取るなよって、笑。でも今考えたら大人気なさすぎるかもしれない。でもそれくらい彼女は僕の人生の全てだった。
君はすっごくすっごくラッキーだ。羨ましいよ。一生分の運を使ったと言っても過言じゃない。ギャンブルや恋愛じゃなくて、使い所100点だ。本当に。
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少し長くなってしまった。
もう終わる。
最後に一つだけ。伝えたいことがあるんだ。
表面だけじゃなくて、言葉だけじゃなくて、もっとこう、奥の奥で君のことを愛してる。もちろんママの次だけど。そこは譲らないよ。
もし君が辛くなったら、誰かに温もりを求めればいい。ママでも、もちろん僕でも。触れ合うことほどこの世にいいことなんてないから。そうやってみんなで、幸せになろう。
__お誕生日おめでとう。
自己満です。




