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第三章:後宮編 プロローグ
本日は時間を分けて、これを含め十話分投稿します。
第三章:後宮編 プロローグ
”彼女”は後宮の高い回廊から、今まさに入宮してきた一人の娘を眺め見ていた。
美しい顔立ちに、翠をふんだんに使用した美しい絹の衣。
煌びやかな簪や宝飾品。
それらは、彼女の身分が皇家に連なるものであることを示していた。
しかし彼女が視線を向ける娘も、容姿こそ平凡だが、彼女に負けず劣らずの、身分に釣り合わぬ煌びやかな装いであった。
―———ただ一点、不可解なところがあるとすれば。
そう。
娘の腹が丸みを帯びていることだった。
「可哀想な子……」
これは、季翠たちが生まれるずっと前の出来事である。




