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大影帝国記【完結!】  作者: aberia
第二章 北の大地編 
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第二十八話 風雲急の一矢

第二十八話 風雲急の一矢



 邸から何とか脱出できた者たちはほっとするのも束の間、外で待機していた兵たちに例外なく拘束される。



 季翠たちも玄家の女人たちを引き渡す為に兵たちの元に行くが、そこで見慣れた玄武城の兵ではないことに気づく。

この兵は……。



 その内の一人の武官が、季翠たちに気づいたのかこちらに向かってくる。

 装いからしてこの隊の指揮官だろうか。



「————季翠皇女殿下」

「貴殿は……」

「御挨拶にあずかるのは初めてかと、」



「鶯俊殿下側近が一人、(せい) 辰貴(しんき)と申します」



 四大貴族の一つ・東の清家。

 鶯俊の後見を務める家だ。

 青年の纏う鎧も衣も、清家の色である群青色をしている。



 無愛想な青年だった。

 口元は厳格そうに真一文字に結ばれ、纏っている色も相まって冷ややかで近寄りがたい。

 目つきも悪い。



 彼は鶯俊に言われて玄家に来たのだという。

「鶯俊殿下は只今、葵戰華と共に逆賊・玄伯黎を追っておられます」



 兄がようやく北部に到着したのだ。

 この場は自分が収めるため、玄武城に戻るよう清辰貴は事務的に言う。



「取っつきにくそうな武官ですね」

 それではと彼が離れて行ってから、四狛が呟く。

 清家の男は計算高くて狡猾で嫌味ったらしいけど、外面と愛想だけは良いって聞いてましたけど。



 つまり性格が悪いと。

 家風か何かだろうか。

というか絶対悪意があるだろ、その教えてきた相手。

 清家の人間に親でも殺されたのだろうか。



 季翠と四狛は改めて、今度こそ玄武城へと向かうことにした。



 正直季翠は疲れていた。



 一日以上緊張状態の中にいて、乱闘の中を幾度も掻い潜って、馬を駆って。

 ―———西牙に居た時には考えられないな……。

 


 故郷での日々は、穏やかなものだったと思う。



 一日中勉学や鍛錬で密に予定を組まれ、不自由なこともたくさんあったし、横暴な後見人に振り回されたりして嫌なこともたくさんあったけれど。

 精神的な生き辛さはともかくとして、こんな風な荒事とは無縁の生活ではあった。



 西は荒っぽい土地柄だが、案外治安自体は良かったのかもしれない。

最も、あの伯大将軍に反旗を翻せる者がいたら是非ともお会いしてみたいものだが。



「(後は、兄上に全部お任せすればいい……)」

 皇子殿下が来たのだ。

 お飾りの第二皇女などお呼びではないだろう。



 どの道この騒動が終結しない限り、蒼鈴と戰華の縁談も、玄家の処遇もどうなるか分からない。

 個人的に気になることはたくさんあったが、とりあえず玄武城に帰ったら蒼鈴の無事を確認して、休もう。

 成人前の少女の体力は、早々に尽きかけていた。


 



 ―———完全に油断していたと言えた。



 寝不足で目が霞んでいたのもあるかもしれない。

 視界の端から銀色の光るものが、物凄い速さで飛んできていることを季翠は見落としてしまった。



 二の腕に感じた衝撃と熱さにも似た激痛によって、手綱から反射的に手が離れる。

 宙に体が浮く。

 馬体が遠ざかるのがやけにゆっくり見えた。



 体が地面に叩きつけられる衝撃と激痛。

————暗転。

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