表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大影帝国記【完結!】  作者: aberia
第一章 帝都編
2/217

第二話 帝都までの道のり

第二話 帝都までの道のり

 

 まだ二十二歳の若き青年武官・四狛しはくは馬車の上で気まずい雰囲気に一人耐えていた。



 彼のすぐ横には、彼が仕える大影帝国の皇女殿下が静かに座っていた。

先ほどから二人の間には沈黙が続いている。



「「……」」

 


 気まずいことこの上ない。



(随分とまあ、大人しい姫だよな。あんだけコケにされたってのに、言い返しもしねぇ)

 


 先の大将軍との謁見だけでも、この姫が西で大切にされてこなかったというのは十分伺えた。

大将軍の彼女に対する態度はもちろんだが、れっきとした現皇帝の第二皇女が育ち故郷を離れるというのに、邸からの見送りも年老いたばあや一人しかいなかったくらいだ。


 同じ皇女の第一皇女が南を離れる時は、街道に人が溢れるほど見送りの民が溢れていたと聞くのに…………。



 おまけに荷物も馬車一台分で、護衛すらいない。

正確には白虎城から数人つけられていたが、先ほど西牙の門まで来ると帰ってしまった。



 なので、現在は四狛一人だ。



(こんな姫についてても、出世は望めないだろうな……。どうせなら、絶世の美女って名高い第一皇女の護衛になりたかった)



 とはいえ、末席とはいえ一国の姫の護衛武官に任命されたのだ。

十分な出世と言えるだろう。



「……これからどこに行くのですか」

 


 ふいに今まで黙っていた季翠が口を開く。

思わずビクリとしてしまう。

よもや不敬なことを考えているのが伝わったのか。



「え?え、ああ……このまま帝都に向かいますよ。て言っても、馬を寝ずに飛ばしても二週間はかかるので、途中で町を経由しながらですが」

 


 どもりながらそう答える四狛の様子に怪訝な目を向けるわけでもなく、季翠は淡々と頷くだけだった。



「そうですか」

「帝都に着いてからは、まずは後宮でお待ちいただくことになるかと。御存じだとは思いますが、今は陛下が都にいらっしゃらないですからね。皇女の今後は、兄君である皇子殿下よりお話があると思いますよ」

「そうですか」



(「そうですか」しか言えねえのかよ!)

 伯虎雄がこの少女に苛立つ理由が何となく分かった。



(あーあ。俺、これからこの姫とやっていけるのかね……)

 前方に今夜宿泊する町が見えながらも、四狛はこれからの道のりに不安を覚えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ