表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大影帝国記【完結!】  作者: aberia
第一章 帝都編
10/217

第十話 第一皇子

第十話 第一皇子


 ――――戌の刻、第一皇子・鶯俊(おうしゅん)の室の前に、季翠(きすい)四狛(しはく)と共に訪れていた。

 


 室の前には、それぞれ朱色と、青色の鎧を纏った武官が二人控えていた。



「お待ちしておりました、姫様」

「どうぞ、中で兄君がお待ちです」



 ギイィと、重たい扉が開かれる。

季翠は顔を伏せ、ゆっくりと足を踏み入れた。



「久しいな、(すい)

 声がした方に顔を上げると、上座に一人の青年が堂々とした居住まいで座っていた。



 季翠は、自然とその場に膝まづき、最敬礼をした。

「お久しぶりに、ございます……」

「兄上……」



「元気だったか」

「はい」



 大影帝国が第一皇子・鶯俊。

御年二十歳。

季翠の兄で、碧麗(へきれい)の双子の兄である。



 文武両道にして、自他ともに厳しく、第一皇子として民の尊敬を集める。

 周囲の者を自然とひれ伏せさせる、そんな強者の雰囲気を持っていた。

 まさに、皇帝の器の持ち主といった人物だ。



「早速本日の本題である、姫様の今後についてでございますが、」

 


 上座に座る鶯俊の傍らには、一人の覆面の男が立っていた。

彼は良く通る綺麗な声で、書簡を読み上げる。



「今後は鶯俊様の側近配下の一人に加わっていただき、皇宮からの使者としての任を拝命していただきます」



「使者……?」

「皇宮の意向を伝えるのが、お前の役目だ」



「現在、陛下は帝都に居られぬ。主だった政務は俺が任されている」

 鶯俊の言う通り、皇帝は現在西の国境近くの駐屯地に滞在していた。

帝都に戻るのは、夏の終わりごろの予定だそうだ。



「皇宮の意向、ひいては俺の意向を、各地もしくは各将軍に伝えるのがお前がすることだ」



「この大影の皇族の一員として、お前も帝国のために誠心誠意努めるように」

 そして鶯俊は席から立つと、膝まづく季翠の前に来ると玉佩を手渡す。



 その玉は見事な翠色の翡翠でできており、鶯が彫られていた。

飾り紐は黒だ。



 大影では皇帝と、それに連なる者しか身につけることができない緑と黒の禁色の組み合わせだ。



 季翠は慌てて口上を述べ、恭しく受け取る。

「は、はっ。第二皇女・季翠、謹んで皇子殿下より皇宮使者のお役目、拝命いたします!」

「頼んだぞ」

 


 任命の儀が終わったのか、ほんの少しだけ鶯俊が、その整った精悍な顔立ちに浮かべた表情を緩める。席に戻らず、季翠にも立つように促す。



「碧麗とは、もう会ったか」

「!は、はい!」

「姉上は変わらずお元気そうで。よろしければ兄上も今度ご一緒に……」

 


 兄妹としての兄の顔を見せた鶯俊に、季翠は嬉しくなってお茶に誘おうとしたが、それを遮り鶯俊からは厳しい言葉が返ってくる。



「姉と仲良くするのはいいが、お前の皇宮における保護者は俺だ。今後は何事も、俺を優先に報告するように」

「!は、はい……」



「くれぐれも皇族としての自覚を持ち、軽はずみな行動はしないようにしろ。いいな、翠」

「はい……」



「話は以上だ。下がっていい」

「失礼、いたします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ