便所にいるのは女神様
簡潔に言う。
我が家には、便所に神様がいたようだ。
それも抜群の美女。
それで今、何が起きているかというと………
「貴方にはいられると困るんです!!」
「知るか!!そこは便所だ!!」
そう!いま、俺は!さっさと便所に入りたいのだ!
諸悪の根源、強烈な便意を催したのは、学校から帰ってくる途中。
学校に帰る手間を取るか、家につくまで我慢するか……
その2つを天秤にかけ、俺は決意した。
帰ろう。
とはいえ
ケツにジャスト・フィットする自転車のサドルが、二つに割れているケツのすき間にダイレクトに刺激を送ってくる。やはりこの瞬間の地面の凹凸ほどこの瞬間に最悪なものはなかった。
さらに言えば下校の道は田舎とはいえ、開けた大規模な水田地帯。山に囲まれているわけではない。更に店がない。
つまり、学生諸君の有難い生命線。コンビニへ駆け込むことができないのだ。
さらに最終手段の野グソも開けたここらへんの平地でははばかられる。
そんなことやれば一発アウト。手首に手錠をかけられ、聴取され終わったと思ったら、いつの間にか広まって、白い目で見られて俺を一層苦しめることになる。
所詮、ガヤが騒いでいると侮るなかれ。
田舎コミュニティーは暴力的なんだ。
つまりだ、おれは家までぶつが腸内に戻らないよう中途半端な力でケツを閉め、それでいて最大限に凸凹道を急ぐというまさに神技をやってのけていたわけだ。やらなければならなかった訳だ。
「だから早く開けろーー!!!」
「なにがだからなんですか!?だめって言ってるじゃないですか!!」
「女神のくせに心も読めないのか!!??読めるだろ?!俺のここまでの受難を!!」
「読めないですよ!!人(神)をなんだと思ってるんですか!?」
くう〜〜!
このバカ女神が!!
「そもそもなんで便所に入らせてくれないんだよ!!!」
「あんたのうんこは臭いんですよ!!」
「う、うるせえ!うんこは臭えもんだ!そう言うなら俺にも手があるぞ!!」
「な、なんですか!!やってみなさいよ!!」
フッフッフ……
俺の最終奥義……それは……
少し上を向き、眉を下げ、口を少し開き……
そして腰を少し後ろに突き出して、「うっ……」と少し気張ったような声を出す……
そう、名付けて『少し出ちゃった大作戦』!!
「うっわ最低この人!!仮にもトイレの前とはいけうんこ出した!!服着てうんこ出した!!そのパンツの洗濯は貴方のお母様がやるんですよ?!うーわーー!!神さまみてますかーー!!ここに天罰をーー!!」
「俺も出したくは無い……しかしお前がどかぬというのなら仕方がないだろう……」
「外の便所行ってくださいよ!!」
作戦は失敗だった。
もうすでに額にはありえないくらいの汗が溢れている。
「貴様、トイレにしか居られない女神は知らないだろうがここらへんにはそんなところはないんだ……!いいからもんどけよ!!」
「なんですって!? い、いえ、それでも嫌です!!今まであなたの臭いうんこを見守っていましたがもう無理なんです!!ただでさえ臭いのに、その後換気扇もつけずにそのまま出ていく……!!いそいそとトイレ内の空気を少しずつ洗浄していく私の気持ちがあなたにはわかりますか?!わからないでしょうねぇ!!」
……わからない。たしかにわからない……
「しかし!ともに生きることはできる!!」
「一緒にトイレで生きないでください!!不潔です!!」
「っく……もののけ姫も無理か……」
あ"〜〜〜!!みんな!!おらに便所を分けてくれ〜〜!!!
ターミネーターよろしく、片膝を床について叫ぶ。
「ともかくだ!!通してくれ!!」
「あ〜〜!もう!!」
そんな女神の声とともにオープンされるマイヘブン……!
自動で動く便器の蓋がこちらをウェルカムしているではないか!!
「ほらみろ〜〜!!トイレはこっちの味方だったぞー!!!はっはっはー!!」
〜〜〜〜〜十分後〜〜〜〜〜
ジャ~~
水が流れる音とともに現れるは、最高の瞬間を堪能してきた俺様。
炎天下
部活の後のポカリを飲んだとき並の充実感だ……
「なんていうか……トイレはね…誰にも邪魔させず…自由でなんというか……やはり救われ出なきゃいけないんだ……」
今日も少年の後ろでは便所に涙目の女神様がいる
ん〜。どうしてこうなった。
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