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再隠しっ!-UNDER THE TERA-  作者: HANGOUT
01.俺はお前を相棒とはまだ呼べない
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挿絵(By みてみん)


 地下世界という言葉を聞いて、あなたは何を思い、どう感じるだろうか。陰湿な、不透明な、不健全な、秘密の、隠された等々の言葉が一つでも枕詞に付きはしないだろうか。もしそうであるなら、あなたの感覚と思考は正しい。なぜならそれが〝事実〟であるから。



 しかし、〝真実〟ではない。

 

 

 地上の世界が本来の姿であるという思い込みは、多分地下に降りたことのない人間の考えだ。これらを教え込んでいるのが誰とは言わないし、どの職業だとも言わないが、想像は容易いはずだ。



 真実をお伝えすると、地上世界は旧世界と呼ばれる、言わば八百万の神の御加護を受けている世界。地上では、お参りを一度しただけでは、特段変化を感じない人も多いらしいが、その恩恵は日頃から享受しているのだ。守られた世界はある程度安心して作っていくことができる。



 再開発の名の元にビルが建てられ、最新の自動で広い車から錆びた狭い車が走り回り、世界の音が聞こえなくなったイヤホンと自己世界を完結させるポケットサイズの機械で生きる人々。芸能人の幸せと不幸せを耳にしつつ、政治家の理想と現実を目にしつつ、隣の人間に勝手に評価を付け、その他人から評価されている。振り向き様に色恋話が突然起こるとか、他人と同じような幸せとかを夢見ている。人々は運命を信じず、神の定めた運命通りに生きている。



 対して地下世界は、八百万の神の御加護がない。神の下の世界ではない。そこに太陽は注がれない。盗みも、犯罪も暴力も横行する。男に対しても、女に対しても性被害は絶えない。非合法取引は合法取引売買を上回る。



 だがそれは、あくまで地上の価値観に合わせた見方でしかない。



 地下世界で人々は人間らしさだけを使用して、ヒトのための社会で人間らしく生きている。富がなければあるところから得るし、貧困が出会えば、肩を寄せ合って持ち前を分け合う。皮肉にも太陽の当たる地の下で、だ。



 ご想像通り、住居は常に最適な状態を保っている訳ではない。それでも不健康な生活を強いられるほど不便でもない。一昔前の、平成の住居ってところだ。この地下世界は日々地下深くへ向けて住環境が延長されている。人々が行きかう地下通路は延々と拡大されている。一部だが、ほんの一部は観光地となっている場所もある。

 

 

 つまり、その違いは何か。

 

 

 階段を降りるか、降りないかだけである。



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