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「どうして? どうして僕たちは、ダメなの?」
僕はベットの前に座る彼女の前に立ち、言う。
彼女の艶っぽい唇が動く。
「だめなものは、だめなの。」
僕が彼女を見つめると、彼女は目を泳がせる。
夏の風の音。
汗で少し湿った白いシャツ。
窓から覗く、蒼い星空。
「夜なら、すべてを隠してくれる。……だったら、夜だけなら、いい、でしょ?」
僕のその言葉に、彼女は僕を見上げる。
「これは、夜だけの、僕たちだけの、秘密。」
僕は彼女の肩に手を置き、彼女を引き寄せる。
そして、その彼女のピンク色に染まる唇に、優しく手を添える。
彼女は、僕を拒まなかった。
そのまま、僕はそっと、彼女に口づけをする。
柔らかい唇。触れるだけの、キス。
僕は、ゆっくりと、彼女から唇を離し、彼女を見つめる。
彼女の頬は赤く染まっていた。けれど、その表情は、悲しそうに見えた。
「秘密の時間。わたしたちだけの。」
そう言って彼女は、僕の背中に手を回してきた。
僕も、彼女の背中に手を回し、抱きしめる。
僕の腕に伝わる彼女の体温。
彼女は僕の顔に手を添え、2回目のキスをしてきた。
彼女の舌が、僕の口に入ってくる。
熱くて、とろけるようで。でも切ない。
時々漏れる、淡い息。
ギシギシとなるベッド。
口づけするたび、彼女との距離が近づくような錯覚に陥る。
でも、現実は、僕たちの差は埋まらない。
叶うことのない、恋。
でも、夜はそんな現実さえも、隠してくれる。
彼女が口を離し、「ねえ……。」と何か言いかけた。
僕は「黙って。」と言い、彼女をベットに押し倒す。
そして、僕もベットの上に乗り、彼女の上に跨るようにする。
そのまま、彼女の上に覆いかぶさり、また、キスをする。
縮まることのない関係に、対抗するかのように、何度も、何度も、キスをする。