第58話 4人の冒険者 -side莉亜
気が付けばブックマークが100を超えていました。入れて下さった方、ありがとうございました。これからも頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします。
怪獣みたいに大きな大蛇に追われていた四人組の男女は“冒険者”とかいう、お仕事をしている人たちらしい。
このチョー巨大な大蛇は“バジリスク”という名前なんだって。この四人組の冒険者たちは、バジリスクを倒す為にやってきたらしいんだけど、合同でチームを組んだ冒険者がビビってみんな逃げちゃって仕方なく逃げてたんだってさ。
四人のうち、リーダーがジャックさん。紅一点がアンナさん、無口な二人がカントさんとケントさんだ。同じ孤児院で育った仲良しさんなんだって。同じ孤児院出身者で冒険者チームを組んでいるみたいね。
恩人である孤児院の院長さんが、身体が石のように硬くなっていく病気にかかっちゃって、その治療薬を作る為にバジリスクを倒そうとしていたんだって。
でも、ユージィが倒してくれたおかげで、院長さんは助かることになったワケだ。イエイ、ユージィ偉い!
「いや~ 死ぬかと思ったよ。君たちのおかげだ。心から感謝するよ」
リーダのジャックさんがお礼を述べる。なかなかの男前だね。あたしのタイプじゃないけどネ。
「助かった、感謝……」 「ありがとう、サンクス……」
見た目からして無口な二人だ。顔立ちも似ていると思ったら双子なんだってさ。
「本当にありがとう! わたしたちの命の恩人ね。おかげで院長先生を助けられるわ。えっと? このコの名前は?」
紅一点のアンナさんが訊いてくる。結構な美人さんだ。年齢は、いくつだろ? 20代前半てトコかな。
アンナさんが言っている、このコ、というのはユージィを指して言っているみたい。
「ユージィだよ。あたしの相棒で友達」
「ペイッ」
あツし、ユージィだ。よろしク。ユージィはそう挨拶する。
「えっと、リアちゃんといったっけ。あなたの獣なの?」
「う~ん、あたしの、っていうか、友達かな?」
「うん? そ、そっか。とにかくありがとう、ユージィ……ちゃん?」
「ペイッ」
ユージィは『おウ、気にすんナ、朝飯前だヨ』と男前なコメントをしてくれた。可愛い。
感謝の言葉もそこそこに、四人は早速バジリスクを解体し始めた。バジリスクの肝から、院長さんを治療する薬の材料が手に入るみたいね。あたしは邪魔をしないよう、彼らから少し離れた位置から見守る。武子ちゃんも傍にいたが、目を背けていた。こういうグロいのは苦手らしい。
バジリスクっていう大蛇は非常に危険度の高い“凶獣”と呼ばれる怪物なんだって。バジリスクの視線をまともに見てしまった生物は肉体が極度の緊張状態になって、動けなくなるとか。あと、口から飛ばしてくる毒液がめちゃヤバくて浴びたら、もう最後だとか。コワいねー。
そーいえばCULOに、こんな惑星獣はいなかったな。バジリスクなんて名前初めて聞いたし、そもそも…… 冒険者ってナニさ? アンナさんたちNPCじゃないよね? どう考えても。実は『みなさんCULOプレイヤー?』って初めに訊いたんだけど、全員ナニソレって感じだった。
やっぱココってCULOの世界じゃないみたい。
これって桜野くんの愛読書“異世界ホモ小説”と同じ展開だよ。つまりあたしたちは異世界ホモの世界に?!
……いやいや、違うでしょ。マジであたしたち、別の世界に来てしまったんだ! ちょっと、れーにぃ! どーすんのよ!
「ねえ、リアちゃん。これは、現実のことなのだな…… わたしたちは夢を見ている訳ではないのだな……」
暗く沈んだ表情の武子ちゃん。解体されているバジリスクの死体を見て、余計にあたし達の身に降りかかった現実を意識しなきゃならなくなったとゆーか、そりゃ落ち込むよね。
そうだよ。ワケのわからない世界にいきなり連れて来られたら、誰だってそうだって。
でもさ、武子ちゃんにはあたしもいるし、ユージィだっているんだよ。ダイジョーブだって!
「武子ちゃん! 元気出して! なんとかなるよ、ダイジョーブだよっ!」
「う、うん…… わかってる。ごめん、気を遣わせて。わたしのほうが年上なのに……」
「気にすんなって! グッ!」
あたしは親指を立てて、サムズアップをして見せる。武子ちゃんは無理やり感のある笑顔で返してくれた。きっとそのうち元気を取り戻すよね。
しばらくすると、解体が終わったらしく、四人はあたしたちの元にやってきた。
「あれ? もう終わったの? もういいの? 全然バラバラになっていないんだけど?」
「ハハ、バラバラになんてしないよ。四人じゃ無理さ。我々が欲しいのは主に肝臓だからね。これで院長先生を救えるんだ。あと高価なのは目玉と毒腺かな。これだけでひと財産だよ」
「残りはあとでギルドに報告して買ってもらうつもりよ。肝臓は院長先生を助ける為に必要だし、目玉と毒腺は知っているルートを使って売ったほうが高く売れるのよ。あ、そうだ、あなた達にもちゃんとお金は渡すからね。安心してね」
アンナさんたちは、あたしたちにもお金をくれるらしい。バジリスクを倒したのはユージィなんだけどね。ま、くれるっていうなら頂きましょうか。あたし、お金好きだしさ。
そうだ、れーにぃたちの事知らないか聞いてみよう。ひょっとしたら何か知っているかもしれないし。
「あのぉ、あたしたち人を探しているんです。えっと……」
きっと、れーにぃたちもあたしたちと同じ状況だよね。れーにぃは【ジスエクス・ニゴレイアル】の姿だよねえ、多分。他の人たちもそうだろうし。
「一人は銀髪のエロエロなお姉さんなんですけど、あたしのおにい……じゃない、お姉ちゃんなんです。もうひとりは背が高くてゴッツい体格の魔法使いのおじさんに、金髪でサラサラ長髪イケメンお兄さんと、最後が物凄いチョーおデブでハゲてて、ピンクの裸同然の姿をした変態おじさんなんですけど。見たことありません?」
あたしの説明をきいて、全員怪訝そうな顔をしていた。そりゃそうだよねー。
「う、うん? そんな人たち見たら、絶対忘れないと思うよ。ごめんね、見たことはないな」
割と男前なチームのリーダー、ジャックさんが答える。
「私もないわね。そんなひとたち見たら印象が凄くてきっと忘れないと思うな」
アンナさんも見たことはないみたい。
「ない」 「同様に」
カントさんにケントさんも見たことないんだって。
「そっかー そうですかー はぁ、そんな都合のいいことないかー」
あたしはちょっと気落ちする。そんな簡単にみつかるはずないよね。
あ、そうだ。この人たちを助けてあげたんだし、何かお礼ついでにお願いしてもいいよね、あたしみたいな美少女のお願いなら、きっと聞いてくれるハズ。
「あ、あのぉ。お願いがあるんですけど、いいですか?」
「なに? 私たちに出来る事ならばやらせてもらうわよ。命の恩人だからね」
アンナさんは、素敵な大人の女性を感じさせる笑みを向けながら答えてくれた。ヤダ、あたしが男だったら惚れちゃいそう。れーにぃのタイプっぽいよね、このお姉さん。そういえば、恋人いるのかな? ひょっとしてこの冒険者チームの誰かなのかな? ひょっとしてジャックさんかな? 割とイケメンだし。カントさんとケントさんは…… ないな!
……っと。こんなこと考えている場合じゃないよね。こっちの要望を伝えないと。
「えっと、あたしたち人探しをしているので情報がほしいんです。それで、何処か人が多く集まる場所に連れて行って欲しいのですけど」
「なんだ、そういうこと。私たち、これから所属しているギルドに戻って報告しなくてはならないのよ。ギルドがある街でよかったら一緒に行きましょう」
「え、本当ですか。ぜひお願いします! やったね武子ちゃん! れーにぃたちのコトなにか分かるかもよ」
「う、うむ。わたしからもぜひ、お願いする」
「ペイッ」
ユージィも『よろしく頼むゼ』と言っていた。
とにかくこれで希望が出てきた。街に行って情報をあつめるのはRPGの基本だからね。頑張ろう! あたしっ!
そのときだ、とある疑問が脳裏に浮かび上がって来た。
アンナさんたちの口の動きが変なんだ。日本語を話しているのに、あたしの知っている口の動きとはまったく違う。
そうだよ、アンナさんたちはどう見ても外国人だ。きっとあたしたちと同じ日本語は使ってないし、知らないハズ。
なのに…… どうしてあたしたちはアンナさんたちと喋れるんだろう?




