表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/80

第56話 ユージィ -side莉亜

「ユージィ…… だよね? あたしのコト、わかる?」



 CULOの職業【ビーストテイマー】はCULOの舞台、惑星【ΣEZ(シグマイーゼット)550C】に生息する惑星獣(ビースト)を捕らえ、使役することが出来る。最大3体の惑星獣(ビースト)を育成することができるケド、通常時や戦闘時に使役できるのは一体だけだ。


「ペイペイッ!」


「あ……」



 CULO(ゲーム)では、視界の左下に文字チャット欄があったケド、それは無くなっていた。そして、今は何か別のメッセージ表示欄に置き換わっていた。 



≪やっほー リア。あツし、ユージィだヨ。あツし、リアに会えて嬉しイ!≫



「え、この表示されているメッセージって、ユージィの言葉を翻訳しているってこと?!」


「ペイ? ペイペイッ」



 あたしの言葉に答えるかのように、ユージィが鳴き声? を出すと、新たなメッセージが表示される。



≪ん~? 何のコト? ワっかんないヨ≫



 あたしは更に質問する。



「ねえ、ユージィにとって、あたしって、どういう存在?」


「ペイ、ペイ、ペイッ」」



 少し遅れて、視界左下に翻訳メッセージが表示される


≪相棒、トモダチ。大事なナカマ≫



「あっ……」



 やっぱりそうなんだ、この視界左下に表示されるメッセージ表示欄は、ユージィの言葉を翻訳しているんだ!

 ヤバイ! ワクワクが止まらない! CULO(ゲーム)だとユージィは、ただのNPCだ。戦闘中、いくつかのコマンドを組み合わせて命令することはできるケド、当然、自由な意思なんてない。こんな普通に会話することなんて、CULOでは出来ないコトだ。


 でも、この世界ではできるんだ!



「ユージィ! おいでっ!!!」


「ペイィッ!」



 思わず、あたしは両手を広げ、ユージィに来るよう催促すると、ユージィは、ぴょ~んというカンジで、あたしの胸に飛び込んで来る。

 ぼすん! とユージィの重さを身体で感じた。身長と体重は幼稚園児くらいかな? 頭部から背中を経由し尻尾にかけて青色の羽色をしていて、フリッパーの外側も同様だ。おなかは真っ白で、胸の部分は薄く黄色がかかっている。

 普通のペンギンより、シルエットは全体的にずんぐりとしていて、頭は大きめだ。やば、めちゃカワイイ。


 CULOの設定だと、ユージィは宇宙ペンギンと呼ばれる種族の惑星獣(ビースト)だ。見た目の愛らしさから、使役獣の人気ランキングで1、2位を争うほどだ。



「う~~~ か・わ・い・いいッ!!!」



 ユージィの羽毛はフサフサだ。現実のペンギンはつやつやしていて、あまり毛という感じはしないらしいケド、ユージィはきっと宇宙ペンギンだから、違うんだろうネ。ゲームに登場するキャラクターに、何を言っているんだって話なんだけどさ。



「ペイペイ、ペイッ」


「え? うんうん。あはは、おまえもカワイイって? やだなぁ、もー そんなホントのことを~」


「ペイィィッ、ペイ、ペイペイ」


「うん、そうだね。あははっ! いやいや、そんなそんな」



 あたしはユージィとの会話を楽しむ。ゲームの登場キャラクターが現実の世界に現れて、あたしと遊んでくれる。

 そんな妄想をしたのは、いつだったカナ? まさか、本当にそうなるなんてさ。う~ん、ヤバイ、なんて楽しいんだろ。



「あ、あの、リアちゃん……? ()()、って? さっきまでCULO(ゲーム)でリアちゃんの後ろをヒョコヒョコ付いて来た動物だよね? な、なんか会話してるみたいだけど?」


「うん、話せるよ。視界内に表示されるメッセージ欄に言葉が翻訳されるからさ。あと、動物じゃなくて、惑星獣。正確には宇宙ペンギンね」


「いや、そういうことじゃなくて……。なんていうか、その、ええと……」



 武子ちゃんは何を言えばいいか戸惑っているみたい。ま、そりゃそうだ。あたしだって、こんなコトになるなんて予想外だったもの。



「なんだ……。これは、本当に…… CULO(ゲーム)ではないのか……」



 武子ちゃんはヨロヨロとあたしに近づいてくると、あたしが抱きかかえているユージィのオデコ? の部分に触れる。



「この感触…… CULO(ゲーム)には無かった……。これは、本当に…… 現実のことなのか? ゲームの世界が現実になってしまったのか?!」



 武子ちゃんは深刻な表情のまま、その場に座り込んでしまう。あれま、これは大変だ。武子ちゃん、よっぽどショックだったのかな?

 あたしはだいじょうぶ。ユージィもいるしね。


 ホントにココがCULO(ゲーム)の世界だったとしても、なんとかなるっしょ。だって、あたしには、れーにぃがいるもの。



「タケコちゃん、心配ないって。さっきギルドメンバーのチェックをしてみたらさ、れーにぃや他の人もオンライン状態になっていたんだよ。だから大丈夫! れーにぃが助けにきてくれるって!」



 ギルドメンバーのオンライン状態を確認したからといって、れーにぃ達がこのCULO(ゲーム)の世界にいるとは限らない。

 でもね、何とかなる気がした。昔から、あたしに何かあると、れーにぃがいつも駆け付けてくれたんだ。今回だってきっと助けに来てくれるよ。

 ま、スグに来てくれるとは限らないね。来てくれるまでは、あたしたちで何とかしないと。



「タケコちゃん、落ち込んでいる場合ではないよ。れーにぃたちが助けに来てくれるまで、自分たちで何とかしないとね」


「……う、うむ。そ、そうだな…… たしかに、助けにきてくれるのを黙って待つのは好ましい事ではないな。毒島家の女子たるもの、気概を示さねばな。うむ!」



 武子ちゃんは、少しやる気を出してくれたみたいだ。うんうん、いいよ~ それでオッケー。

 そうだよね、あたしもガンバらないと! 


 あたしは、武子ちゃんと比べるとかなり小さい胸を張り、空を見上げると、雲が殆ど無い青空が広がっていた。


 あ、そうだ。ここがCULO(ゲーム)の世界だったとしたらさ、一体どのあたりにいるんだろ? オーバヘッドマップで現在地を見ても、ロクに地名とかも表示されていないんだよネ。



「そういえばさー ココどこなんだろうね? ねえ、ユージィ~ いま、あたしたちってドコにいるんだろうね? ココが【ΣEZ(シグマイーゼット)550C】だとするならさ、一体どのあたりにいるのカナ?」



 あたしは、さほど期待しないでユージィに話を振る。どころが、返って来た答えは、思わず驚いて飛び跳ねたくなるほどのモノだった。



「ペイ、ペイペイペイッ、ペペペイッ」


「え…… そうなの?! マジで?」


「ど、どうした? リアちゃん? その、()()()は何だって?」



 武子ちゃんが興味深そうに、こちらを(うかが)いながら訊いてくる。

 あたしはユージィが言ったことを、一言一句漏らさず武子ちゃんに伝えた。



「あのね、ユージィはこう言っているよ。

 ここはΣEZ(シグマイーゼット)550Cじゃないかも、だって。

 なぜなら、辺りに存在する大気の味も質もまるで違うから、だってさ」


「……は?」



 あんなトボけた武子ちゃんの顔、はじめて見たかもしれない。

 あ、いま気付いた。CULOのアバターの顔ってこんなに変化しないということに……。

ユージィ :リア・ニゴレイアルの使役獣。ペンギンのような外観をしているが、現実世界に存在するペンギンとくらべると、ずんぐりとした体形をしていて、頭は大きめ。ちなみに性別は♀である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ