第18話 神秘 -side零司
何故こうなったのか、それはオレの姿が何処からどう見ても、ジスエクス・ニゴレイアルという18歳のうら若き乙女にしか見えないからです。
目下、オレは3人のうら若き乙女の生着替えを間近に見学している。
3人の若い女性は、エリス・エリアスの侍女だ。ピトたちに乱暴されかけて、その際エプロンドレスや下着をひどく破かれてしまい着替えが必要だったが、馬車の中は大人が立つことができないほど狭い為、着替えには向かなかった。
そこでエリスと専属侍女とオレの3人で、仕切り代わりにワインディング・シーツをそれぞれ広げ、侍女たちが着替えられるようにしたのだ。
専属侍女の名は、リディア・ルーニといってエリスとは同い年。幼い頃にエリスの父親ダリウスの縁で、母と一緒にエリアス家に仕えることになったという。母親は8年前に亡くなったそうだ。
3人の侍女はそれぞれ、パリス、イリス、スーリアという。3人ともエリスを信頼し好感を持っているのが感じられた。ひょっとしたら、エリスがもっとも信頼できる侍女を選んだのかもしれない。
その内のひとり、パリスは栗色のセミロングにトロンとした大きい目が特徴で、どこか保護欲を刺激される少女だった。まだ幼さが残る顔立ちで、体格は3人の中でもっとも小柄だ。ただ、出るところは出ており、胸は結構な大きさで、臀部も立派なものだった。そのギャップに男は情欲を誘われるかもしれない。
もうひとりの少女イリスは、美しい艶のある黒髪をツインテールにしており、クールさを感じさせる切れ長の目が印象に残る。そして顔立ちは、10人中9人は思わず振り返るほどの美人だったが、何処か冷たくキツそうな性格を感じさせた。色白で手足が長く、スレンダーな肢体は、女性なら誰もが嫉妬するかもしれない。ただ、女性らしい部分はひかえめだった。
最後のひとりスーリアは、3人の中で一番背が高い。赤毛の、いわゆるレディッシュという髪色と、男の大半が鼻の下を伸ばすであろうグラマラスな体型が特徴的だ。安産型の大きな臀部は母性を感じさせるが、腰回りは折れそうな程細い。
そしてなによりの特徴が、その胸! 2つの大きな双丘だ。まるでメロンだかスイカだかを詰め込んだ程に暴力的で豊満過ぎる胸は、垂れ下がるどころか重力に逆らうかのように上向いていた。
男ならば誰しも、その柔らかでハリのある谷間に埋もれてしまいたいと思うだろう。そして女性の多くが嫉妬するかもしれない。
ちらりとエリスを一瞥すると、彼女も偶然スーリアの胸部を見ていたらしく、これもまた偶然オレと視線がかち合ってしまう。
エリスはそれに気付くと、顔を赤らめて別の方を向いてしまった。
ちなみにエリスの胸部は、あまり豊かとは言えなかった。この世界における女性の平均値がどれくらいかは知らないが、平均以下だと予測するのは難しくない。
それはともかく、こんな素晴らしい光景を男であるオレが見られるとは! 当初、女のカラダになってしまったと消沈してしまったが、これは役得だった。
それにしても、現在オレは女のカラダだというのに、ちゃんと男の欲求を感じているとは不思議だった。
一体この身体は何なのだろうと、何度目になるかわからないが改めて疑問を抱く。
オレたちは馬車をつい立にして、更にワインディング・シーツをそれぞれ広げることにより、他の男たちの視線を防ぐことに成功していた。
オレは馬車の陰からひょいと、後ろの様子を伺う。5人の騎士はオヤジウスのEFスキルで完全に回復し、先ほどの修羅場から生還したせいもあったのか、みな生気がみなぎっているように見えた。
中には、こちらに向かって情欲溢れる血走った目を送っている者もいた。
オヤジウスは、羨ましいですと言わんばかりの視線をこちらに投げかける。
着替えの途中、何度もPVCの要請が来たが無視し続けた。どうせロクな要件じゃないのは明らかだからだ。
まあ、ムリもない。ここにいる6人は誰もが振り返るほどの美少女たちだ。
もちろんその中にはオレも入っている。
当然だろう、このルックスはあいつをモデルにしているんだ。男どもが、目を奪われるのも仕方ないことだ。
何せ外部ツールを使って長時間かけて作ったのだ、美しさにはちょいと自信がある。
アレ? ひょっとしてオレ、キモかったりするのかしら?
「うん、これでいいわね」
下らないことを考えていた為、そこまで思考の波にのまれていなかったせいもあるだろうが、さほど大きくない侍女の声で、オレは我に返った。
「エリス様、整いました。エリス様みずからやっていただけるなんて、心から感謝を申し上げます。もちろんお二人にも」
着替えが終わったグラマラス美女、スーリアが言う。続けてのこりの二人もほぼ同時に、着替えが終わった。全員綺麗に身支度が整っていた。
「エリス様、心より感謝致します。侍女である我々などに、これほど気遣って頂いて」
クールスレンダーツインテール、イリスがエリスに向かって頭を下げる。続けてパリスも感謝を述べる。
「エリス様、ありがとーございますなのぉ。エリス様大好きですなのぉ」
主人に向かって、そんな言葉遣いでいいのかと思ったが、それだけ仲がいいのだろう。事態が収拾したとはいえ、襲われた彼女たちをすぐに気遣えるほどなのだから。
エリスはワインディングシーツを、専属侍女リディアに渡す。オレも同じようにリディアに渡すと、彼女は最後尾の貨物馬車にシーツを置きに行った。
エリスはオレに向き直ると、改めて礼を述べてくれた。
「侍女たちの着替えを手伝ってくださってありがとうございます。改めてお礼を……」
オレは開いた片手を突き出し、彼女を制する仕草をする。
「かたくるしい礼はいいさ。オレはただ、仲間の姿が見えたから助けただけだ。気にするな」
エリスはそれでも頭を下げ、頭を上げて向き直ると、まじまじとオレを見つめてきた。領主の娘で領主代行か、一体どういう女なのか。
侍女たちを気遣うような優しさや、裏切らなかった騎士たちの様子を見る限りでは、人格者との印象も受けなくもないが……さて、どうなのだろうか。
「ジスエクス・ニゴレイアル様。突然ですが、お願いが御座います。護衛をお願いしたいのです、我々はこれからカスパート公爵様の元へ行かなければなりません。そこまでの道中、ニゴレイアル様とオッサンディア様にご助力願いたく存じます」
ああ、そうなるよな。さて、どうしようか?
オレはエリスに背を向け思索する。
これからギルドメンバーを探さなくてはならないのだ。情報を集めるならば、多くの人間がいる場所がいいだろう。
公爵家の直轄領ならば、そうとう大きい街だろうし、何か手がかりがあるかもしれない。
それに勘だが、何か起こりそうな気がするのだ。正直あまり関わりたくは無かったが、オヤジウスが既に絡んでいる以上、放っておくわけにもいかないだろう。
オレはエリスに向き直り、エリスに答える。
「いいだろう、報酬の話をしようか」
リディア・ルーニ :エリスの専属侍女。エリスよりも背が高く、美しい金髪で細身の少女。エリアス家に恩義を感じている。代わった目の色をしている。
パリス :エリアス家侍女。栗色セミロングの幼い印象の残る、小柄な少女。スタイルは意外と良い。
イリス ;エリアス家侍女。美しい黒髪をしたツインテール美少女、スレンダークールビューティー。女性らしい部分は控えめ。
スーリア :エリアス家侍女。3人の中で一番背が高く、一番グラマラスな体型をしている。赤毛デカメロン爆乳。




