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第17話 再会 -side零司

本日は2話分アップロードしました。ブックマークされている方はお気をつけください。


「どっ! どういうつもりだ貴様ぁ!」


 裏切り騎士たちの(おさ)らしき騎士が、タブサに向かって吠える。


「なぁに、勝てない相手には素直に引く主義でね。それが長生きしてきたコツなのさ。オレたちはこれで失礼するぜ。この姐さんには手も足も出ねえよ、なにせ赤尾狼を一人で始末できるお人だからな」


 裏切り騎士の長は『なっ?!』みたいな感じで一瞬固まったが、すぐに我を取り戻し、喚き散らし始めた。

 タブサはオレを一瞥すると、口を開く。



「姐さん、俺たちはこれで失礼するけど、後ろから撃たないでくれよ?」


「大丈夫だ、約束は守る。あと、あの酒は旨かった。世話になった……ありがとう」



 タブサはへっ、と人差し指で鼻を擦ると、大声を上げて仲間に号令をかける。そしてあっさりと退いてくれた。タブサの仲間は一人も討ち取られなかったらしく、8人全員五体満足で斜面を駆け上がり撤退していった。ひとりも死ななかったからこそ、大人しく退いてくれたのかもしれない。


「さて、今度はアンタらだ。どうするね? やるかい?」


 軽く挑発してやる、残っているのは9人だ。


 裏切り騎士の(おさ)らしき騎士は『くそっ』と悪態をつくと、馬に乗り逃げ去ろうとする。

 その際に『これで済むと思うなよ』というテンプレのセリフまでやってのけてくれた。最近のB級アクション映画の敵役でも言わないのに。

 残りの騎士たちも馬にあわててまたがると、(おさ)らしき騎士に続くように逃げ去っていった。


「はぁ、なんとかなったか。よかった」


 タブサを殺すのは嫌だったが、向かってきたときは焦った。やらなくてはいけないと思ってしまったからだ。だが、とっさにアレをやったおかげで……。いや、とっさにアレが偶然できたおかげで、タブサも納得してくれたようだった。ホント、この身体に感謝だな。



◇  +  ◇  +  ◇  +  ◇ 



 事態は一応の収束を見た。生き残った騎士たちは、装備を解除した仲間の遺体を道の端ににならべる。それらはワインディング・シーツのようなもので、それぞれ覆われていた。

 

 おそらく彼らの遺体はここに置いていくのだろう。遺体は10人分あるのだ、荷物を運搬する馬車にも恐らく入らない。残った騎士は5人。全員、五体満足というわけではなかった。全員何らかのケガを負っていて、そのうちの一人は特にひどい。

 戦棍(メイス)でやられたのだろう。左腕が肘から潰れており、出血もひどかった。これでは二度と剣は握れないだろうし、戦力として期待はできそうにない。


 左腕をつぶされた騎士は兜やアーマプレートを外されており、手当こそ受けていたが、顔は青白く小刻みに震えていた。よろしくない状態なのは誰の目にも明らかだ。


「あらら、かわいそう。まかせてヨン」


 聞く人が違えば怒りを抱きそうな物言いで、オヤジウスが言う。

 澄まし顔で、オヤジウスこと桜野はEFスキルを使用した。オヤジウスの身体が鮮緑色の光を帯びる、EFスキル使用時のエフェクトが発生したのだ。

 小さな閃光と同時に鮮緑色の光の雨が、ちょうど集まっていた5人の騎士たちに降り注く。


 打撲や刀傷を負っていた騎士たちは、瞬時に己の肉体が回復したことに、各々『奇跡だ』『信じられない』など驚愕している。

 左腕をつぶされた騎士は、潰れた左腕が鮮緑色の閃光とともに、左腕が再構成されていく。そしてまばゆい光が収まると、そこには元通りの健康的な肌つやで、筋肉で覆われた太い腕があった。


 騎士は止まることのない大粒の涙を流し、嗚咽しながら『ありがとう、ありがとう……。これでまた戦える』とただひたすらにオヤジウスに感謝していた。



 桜野圭一こと、オヤジウス・オッサンディアは、くるりとオレのほうを振り向く。



ジスエクス(レイジ)……。また逢えてうれしいヨン」


 ピンクの肉玉が近づいてくる。うっすら涙を浮かべている、鼻水はそれ以上に分泌されているらしく、ぐじゅぐじゅだった。映画なら感動の再会シーンなんだろうが、キモい。


「ジス~(勝手に目下決めた略称)」


 変態肉玉が駆け寄ってきた、ハグとかしたい感じだ?


「ちかよんな、てめえ。キモい」


 今のオレより、20cm以上でかい巨漢に抱きしめられるのは勘弁願いたい。


「え~ 照れんなヨン」


「おまえ、オレが女の身体だからって、触りたいだけだろ?!」


「あ、それも兼ねてるよん」

「二次元だけじゃなかったのか?! ていうかホモキャラはどうした?!」

「あれはファッションホモだヨン、フリだヨン」

「キモい! 近づくな!!!」


 本来ならば男同士でじゃれあっている光景だが、傍から見れば華奢な少女に迫る中年オヤジだ。誰か止めてくれそうなものだが。


「え、エフン! 失礼するが、両者ともよろしいか」


 領主代行の護衛をしていた騎士が、話しかけてくる。

 この護衛隊の隊長だろう。兜を被ったまま、剣も握られたままだ。歳は30そこそこ、近くで見ると思っていたよりも若く感じた。


 騎士は一応の礼を述べた。名前はアスライド・フリンというらしい。どうやら、オレを警戒しているようだ。タブサたちと関係があると踏んでいるのだろう、あのやり取りを見ていれば当然だった。


 突然、視界内に≪ パーティー加入の要請が来ました ≫との通知が来る。咄嗟にオヤジウスだと理解し、それを承認する。次にPV(プライベートボイス)(チャット)の要請が来る、これも承認。



《お、使えたヨン。チャットで話すのもおひさ、だヨン。レイジ、あ、レイジって本名で呼べた、不思議だヨン》


《みたいだな、PVCなら普通に名前を呼べるらしいな、でもどういうことなんだ?》


《しらねーヨン。ところでPVCの状態なら、まわりには喋っていない状態だと思われているみたいヨン? お互いの口が動いてないし、声も出てないヨン。当事者同士だと腹話術してるようなカンジだヨン》


《不思議だな、ホント。聞きたいことはいろいろあるがな、この様子だとこいつらにいろいろ聞かれるぞ? おまえどういう設定なんだ? こいつらにどういった説明をして同行してるんだ?》


《無難に旅人だと答えたヨン。あまり詮索しないでほしい空気を出してだヨン。旅の途中で仲間とはぐれたから、みんなを探している最中だという設定ね》


《オッケ、こっちもそれに合わせよう。PVCを一時抜けるぞ》


 アスライドがオレに近づいてきて、タブサたちとはどういう関係なのかと訊いてきた。オレは正直に包み隠さず彼らにタブサとの関係を話した。

 当然、この世界に来た経緯は伏せる。旅の途中ではぐれて仲間を探していたと答えた。


 アスライドはあまり納得していない様子だ。ただ、助けてもらった恩は感じているのだろう。オレに頭を下げ礼を述べる。そしてオヤジウスには片膝をつき、右手を胸に当てて礼を述べた。これは騎士が自身が仕えるもの以外に対する、最大級の礼だった。部下を救ってくれたことに対することにだろう。


 オレとの差が気になったが、いちいち言わないことにする。余計なもめごとを増やしたくない。


 チラリと目をやると、領主の娘が目に入った。タブサの説明だと、領主代行をしている娘とか。

 たしか名前はエリス・エリアスだった。

 

 美しいよく手入れのされた金髪ロングヘアーが風になびいている。

 細身の体にフィットした、ベージュのワンピース・ドレスに薄いピンク色のストールを羽織っており、それはとても上品な色であり、この娘によく似合っていた。

 

 ときに、ピンク色のストールと聞くと嫌な印象を抱くのは何故なのだろう。


 エリスは3人の侍女たちの元へ行き、うずくまって嗚咽している彼女たちを優しく抱きしめ、何か言葉をかけ慰めていた。

 領主の娘と聞いて、どんな高慢ちきかと思ったが、どうやらオレの予想は外れだったようだ。


 エリスのそばにはもう一人いた。他の侍女と同じく、エプロンドレスを着ている。エリスと同じ馬車に乗っていた侍女らしく、そのおかげでピトたちに襲われなかったようだ。恐らくだが専属侍女だろう。

 女性としては、一般的な身長のエリスより背丈は高く、細くしなやかな肢体をした少女だ。エリスと同じくらいの年齢だろう。

 頭頂部にはホワイトブリムが飾られ、金髪の美しいロングヘアを仕事の邪魔にならないよう束ねて、左肩から垂らしていた。

 特に印象的なのは、両目の金色に輝く瞳だった。この世界では珍しい色だ……。


 うっかり思い出してしまった。やめろ! 自身の思考を制御しようとするが、ダメだった。日本に居た時はまるで思い出さなかったのに! オレはうつむいて追懐する。前世における、わずかな幸せだった記憶が再生され幸福感に心が包まれていく。



「ご助力頂き、心より感謝致します」


 

 現実に引き戻したのは、領主の娘だった。ワンピース・ドレスの裾を両手で持ち、少し腰を落とし目線を下げる。この世界における、女性が対等の者に対する挨拶だ。命を助けてもらって流石に目下扱いはしないらしい。



「わたくしはトゥトエラ領主代行、エリス・エリアスと申します。あなた様のお名前をお教え願えませんか」


「ジスエクス・ニゴレイアルだ……。オヤジウスとともに旅をしていた仲間だ」


「ニゴレイアル様、お話ししたいことが沢山あります。ですが……。その前にしなければならないことがあります」


 エリスはこちらを上から下に目線を移動させ、こちらを品定めしているらしい。まぁ当然だ、どう見ても怪しい女だからな。この若さであれほどの仙技、いや、EFスキルなんだけど。そんなモンを使う若い女を警戒するに越したことはないからな。

 それで、しなければならないことって? なんだね?



「侍女たちの服を着替えさせなければなりません、ご協力を願えますか?」


「――へ? ええ?」



 なんだろう、これは。オレは未知の領域に踏み込もうとしている?


 

ジスエクス・ニゴレイアル :主人公。銀髪巨乳の女性キャラの外観をしている。弓系EF武器エレメンタルシューターを使う職業、ギャラクシーハンター。


オヤジウス・オッサンディア :職業テクノプリースト。女体化した友人でもいいから触りたい。キモヲタ。


エリス・エアリス :手入れされた金髪が美しい、領主代行を務める若い娘。


アスライド・フリン :エリスの護衛隊長。見た目より若い。


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