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独白

 その日の街の人々は悪魔だと思った。


 彼を犯人だと決めつけ、それを信じて疑わない。


 彼を閉じ込める事でしか平穏を取り戻せないと思っている、彼等は悪魔だ。


 その事実に耳も目も心すら傾けられない、狭い思考の群衆。それが彼等。


 私もその一人だ。


 私も結局は、何もしなかったのだから。


 綺麗な言葉を並べても、私は行動を起こさなかった臆病者。


 悲劇が起きるその瞬間まで、涙を浮かべただけの卑怯者。


 最後の瞬間。彼は何を思ったのだろうか。


 私を見つめるその瞳に、どんな感情を抱いていたのだろうか。


 私は知らない。


 私は知りたい。


 どうか、彼を解き放って。


 誰でもいい。


 どうか、彼を。

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