6、鍋の一時
俺達は寮に向かった。
寮での説明を軽く受けて無事に入れた
ルールは女性禁制とか、部屋で戦うなとかそんな感じのが何個かあった。
そんなの普通しねーよ、と思ったのは口にしないでおいた。
寮は二人部屋らしいので俺ともう一人いるらしい。
そいつは夕方なのでバイトから帰って来ているんだと。
どんな奴だろうか?
俺は部屋に向かい、扉を開けた。
「お、クロじゃんルームメイトってお前か~」
そこにいたのは関所にいたジルだった。
部屋は二段ベットがあり、その隣にテーブルがあった。
調理場のようなスペースもあり、道具は持ってるので使えそうだ。
ジルは何気ない顔で胡座をかいて、茶を啜っていた。
「え?ジルがルームメイト?」
凄い偶然だ。
でもジルだと気とか使わず話せそうな奴だから楽でいいか。
変に癖の強いやつだと面倒だし。
「あ、ガルドさんじゃないすか、どうしたんすか?」
ジルが後ろのガルドに気付き指摘する。
コイツら知り合いだったのかな?
あ、そういえばギルドに関所のバイトの依頼あったっけ。
じゃあジルも冒険者なのか?
「クロがクレイジー・ボアを狩ったって言うから食いに来たんだよ!」
「え!?クレイジー・ボア!?」
ジルがクレイジー・ボアに反応して思わず立ち上がる。
「クレイジー・ボアってBランクモンスターじゃないですか!しかも肉は凄い柔らかいって言う・・・」
「だから食いに来たんだよ」
「頼む!クロ!俺にも食わせてくれ!」
ジルが必死に頼んで来るのでガルドの時と同じ条件を出したら、簡単に承諾してしてくれた。
「リン、出て来てくれ」
魔方陣を出してリンを召喚した。
え?女性禁制?リンは使い魔なのでセーフ判定にしとけ!
「出て来たよ~♪」
「おおぅ!?」
「なに!?」
リンを召喚するとガルドさんとジルが驚いていた。
まぁ、大体予想は付いてたけど・・・
「ほら、リン挨拶」
「はーい、クロの嫁のリンです♪」
「嫁ぇ!?」
「ほぅ、やるじゃねぇか」
相変わらず驚いているジルに対し、感心しているガルドさん。
「使い魔ですよー、嫁とは違いますよー」
「嫁だもん!!」
ほっぺを膨らまし怒っているが、怒っているように見えない。この顔はいつ見ても可愛い。
でも、リンはこの顔になると絶対引き下がらない。
以前、言い争ったら永遠に終わらなかった。
最終的に俺が負けを認めた結果になった。
「はいはい、じゃあ嫁です。さっそく、料理を頼む」
「はーい」
リンがクレイジー・ボアを台所に持って行き、捌いてる内にジルとガルドさんが聞いてきた。
「なぁクロ、人の姿をできる使い魔なんて天族か魔族クラスの使い魔しかいないぞ!?」
「しかも可愛いじゃねぇかクロ、よかったな!」
言えない……大天使なんて言えない…
そうこう話してる内に鍋の準備が出来たようだ、この2二人の質問攻めされ続けて疲れた・・・
「出来たよ~」
リンはマジックアイテム【火の精霊石】で加工したプレートを引いてその上に鍋を置いた。
初めて見たようでジルが質問してきた
「リンさん、これは?」
「これは、鍋を温めながら食べることができるアイテムです!」
リンが自信満々に言った。それに答えるようにジルは反応した
「凄い!冷めること無く鍋を食べれるなんて!素晴らしい!!」
「じゃあ食うか~、リンも食おう」
そのあと俺達は残さず全部クレイジー・ボアの鍋を食べた。
調味料は全部持ってきたらしく、まだまだ沢山ある。
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
そのあとガルドさんが帰宅、俺達は雑談をしてすぐに寝た。
しかし、その時は考えもしなかった…
リンが布団に潜り込んで来るなんて…