27、五月祭
あのあとアルベルト王子がアドルフ王に言い付けたらしい。これまた自分の都合がいいようにだが…
不審に思った点があったらしく俺が呼び出された。そして王の元で今までの経緯を話すと王様も甘やかし過ぎたと反省していたようだ。
これからは息子を自分の子供としてではなく、一国の王になる男として育てていくのだと言われたアルベルト王子は死んだ魚のような眼をしていた。
ちゃっかりハル君のダンボール生活の話をすると、アドルフ王はハル君に剣の稽古を頼んだのだ。
忍耐力を見習わせたいらしい。
「今までサボる事が多かったらしいから、これからハルをアルベルトの剣の先生にしよう!」
息子がフルボッコにされてるのは良いのかと聞くと「ワシも王宮を追い出されたら多分同じことしてたし、いんじゃね?」と言われたので、俺達は王宮の滞在理由も無いので学園に帰った。
王様…息子に慈悲はないのか…と思ったのは別の話―――
学園に着いた俺達は学園長に挨拶をして教室に入った。
「おう、お前らか話するから席に座れ」
「うぃーっす」
俺達は自分の席に座る。
この場所も久しぶりだな…と言っても数日しか開けてないが…
そんなことを思っているとガルド先生が話を始める。
「今回の話はな、五月祭についてだ」
五月祭かぁ、そういえばもうその時期だっけ。
ってか五月祭って確か国全体で行う祭りの事だよな?この学園もそれに乗っかるのか。
「今回の出し物の話だが…意見を聞きたい…」
その声にクラスの生徒が次々と手を挙げる。
「メイド喫茶!」
「お化け屋敷!」
「カシエルさん鑑賞、ハァハァハァハァ」
三人目却下な。
「なぁクロ、どうするよ?」
「そうだな~メイド喫茶の場合、俺が女体化魔法全員にかけるが、お化け屋敷は俺ガチでやるから多分来た人失神する」
「カシエルさん鑑賞は?(爆笑)」
俺はジルを無視する。
「じゃあこの中で決めよう!」
候補はこうなった。
・メイド喫茶
・お化け屋敷
・ポティトの楽園
・劇
・合唱
・食べ頃女の子天国
ほほう、候補は五ツか(最後無視)
この中で出来ないのは…劇、合唱辺りか。
劇は演技力がなければ…なんてことは無く、時間取られそうだから。
合唱は音痴だから無理…では無く合わせるのが面倒だから。
後は多数決か、メイド喫茶はなりませんよーにと、祈るしかないな。
閑話休題
メイド喫茶になった…
「先生!男子は裏方ですか!」
一人の生徒が言った。このまま俺も裏方に流れたい。
そこにジルが先生の元に駆け寄って耳打ちをしている。
「えー、男子もやりたければメイドやっていいぞ」
ジルが親指を立ててこちらに向けた。いや、グッジョブじゃねぇよ!!グッジョブの欠片もねーよ!マジでふざけんなよ!?
「先生!女装喫茶ですか?」
「いや、違うクロちょっと来い」
まさか、ジルにかけるなんてことじゃ…
俺は出来るだけ時間を稼ぐようにゆっくり歩く、意味は無いけど…
「よしクロ、ジルを女体化させろ」
や、やっぱり…もう諦めよう…
俺はジルにハル君と同じ魔法をかけた。するとジルをそのまま女性にしたような奴が出てきて…吐きかけた。俺は見るに堪えないジルをすぐに戻した。ハル君の場合は女の子にした時、とんでもなく似合っていたが…これはないな…
「おおおおお!俺にもしてくれ!」
「お、俺も!」
クラスの男子は女の子になれるといった瞬間、我先にと手を挙げる…下心が見え見えだった…
「そうだクロ、シロ呼ぶか」
「ん?そうだな」
俺は逃げるために転移魔法を使う、行先は王城の訓練場だ。
「転移」
そうして、俺とジルは転移の光に飲み込まれていった―――
カン!カン!カン!
光が収まり目を開けると、そこにはアルベルト王子が吹っ飛ばされる光景が見えた。
「お、頑張ってるねぇ」
俺の声にハル君はアルベルト王子を吹っ飛ばすのをやめて、近寄ってくる。
「あ、クロさんこんにちは」
「ちょっとハル君、頼みたい事があるんだ。」
アルベルト王子を別室にして話をした。
何の話か?それはクラスの出し物に協力してくれないかという申し入れだ。
「良いですよ?」
「良いのか!」
「お祭り好きなので!」
「あぁ、なるほど」
別にそう言う趣味は無いらしい…よかった…
俺はさっそく女体化を登録してる【マジックプリセット】で女体化してもらい、転移した。
「ただいま」
「おう!お帰り!その子は?」
「は、はじめまして…シロです…」
最近分かったのだが、ハル君はシロの姿になると落ち着かなくてこんな風になってしまうらしい…
クラスがざわつく。
「クロがあんな可愛い女の子を!?」
「アイツ!ロリ○ンだったのか!!」
「ハァハァハァハァ食べ頃女の子ハァハァ」
三人目早めに殺しとこうかな?
俺の妹という設定を話すとしばらくは時間が掛かったが、何とか落ち着いた。
「じゃあシロちゃん、協力してくれるかな?おじさんはガルドだよろしくな」
「なん…だと!?ガルド先生が優しい!?そんな馬鹿な!」
ジルが叫ぶとガルド先生はジルの襟を掴んで何処かへ引きずる。
さて、五月祭か…楽しみだな。




