2、不死鳥の契約
「は?」
俺は驚いた。理由は目の前にいた女の子が不死鳥フェニックスと名乗ったからだ
不死鳥フェニックスは【王都・フェニクス】の守り神と呼ばれ大昔から崇められている存在だ。
国ができる時から守っていると言われているので、もしこの子がフェニックスだとして、人間の姿になれるとする。
だとしても、こんなに幼いはずがない。
しかも使い魔と言ったのでさらに驚いた。
使い魔とは、魔物、魔族、悪魔、大悪魔、精霊、天族、天使、大天使、のどれかが人間のパートナーになった者の事を言う、
ちなみにフェニックスは大天使の類だ。
大天使と契約する人間はこの世界では、現時点いない。
大天使自体、神に匹敵する力を持つ言われているような存在だからだ。
そんな存在は、普通人間を見下しており、使い魔などになるはずがない。
そんな事を頭で考えていると、不死鳥を名乗る少女が魔物にむかって歩いた。
「お、おい!死ぬぞ!?」
「大丈夫、見てて」
そういうと、少女は指先から水を出し、魔物の顔を水で覆い隠し息が出来ない魔物はその場で窒息した。
不死鳥だとしても属性は火、風、光のはずだが何故水が使えるのだろう?
しかし今の俺は頭が混乱しており考える暇もなかった。
けれど、疲れが溜まっていた俺にそんな事考える余裕はなく、魔物の絶命を確認すると身体が安心したのか意識が遠のいていく―――
俺は目が覚めると木で出来た天井を見ていた
今俺は感覚からしてベッドで寝ている状態らしい。
何故か体が重い。そう思い下を見ると先ほどの少女が俺の体に頭を乗せながら寝ていたのだ。俺を看病してくれたのだろうか?
「あら?起きたみたいね~」
声が聞こえる方を見ると扉を開け、入ってくる朱色の髪をした女性がいた。
歳は見た目でいえば二十後半ってところだ。
「あの…ここは?」
見たところ木で出来たログハウスのような感じだ。しかし窓がありそこから見る景色は推測で2階程なのでかなり広いはずだ。
「私はレイチェル、この子はリン。貴方は?」
「俺は…」
『名前を名乗る事を禁ずる』
頭に手紙の事が浮かぶ…
俺はどんな顔をしているのだろう?
泣いているだろうか?分からないけど何故だか胸が締め付けられる気がする。
そっか、俺は捨てられたんだよな…
そう考えているとレイチェルさんが俺を突然抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫、ゴメンなさいね。試すような真似をして」
レイチェルさんは俺の頭をさすった。
どうやら俺の持っていた手紙をすでに読んでいたようだ…
俺はしばらくして事情を説明した。
するとレイチェルさんは驚いていた。
「え?透明だったの?」
「……はい」
透明、言いにくいが良い人そうなので嘘はつけない…
「透明って言うのは全魔法属性適性なのよ!その人達馬鹿じゃないの!?」
「え!?」
「なるほどね、この子と契約できるはずだわ」
俺は驚いた。透明とは魔法適性無しという意味ではなく、全魔法属性適性と言う言葉に。
なら俺は勘違いで捨てられたのか?俺は勘違い如きで捨てられた?
その時俺は怒りを覚えた。
その様子をみたレイチェルさんがずっと、ずっとさすってくれた。
どうやら、レイチェルさんとリンは親子で二人とも不死鳥らしい。
代々守り神として王都を守っているらしい。
リンは不死鳥でも魔力が少なく、魔力の受け渡しが必要らしい。
なので契約者が必要なのだが三つも属性を持つものなどそうそういない。
そこに俺が来たらしい。
不死鳥は何故人間の姿をしているか聞くと第一形態的なあれらしい。
俺はその日から契約者、そして養子として、不死鳥の家で暮らし始めた…