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第2走目

流石に何かあったんじゃないかと思い、留守電に残されたメッセージを再生した。

でも、残りの電源も少ないから最新の一件だけ。


”おい!もしもこのメッセージを聞けるようになったなら速く逃げろ!いつもの厩舎が安全地帯だ!できるだけ早く”ピーー


・・・。

まて、何が起きている。

よく分からない、厩舎が安全地帯?

何の冗談だ?

あいつが冗談を言うなんて・・・よく話がつかめない。

折り返し電話を掛けた。

プルルルルプルルルル

プルルルルプルルルル

いつまでたっても反応がない。


「どういうことだよ。」


電話を掛けたまま、トボトボを廊下を歩いていた。

そうしたら男子トイレから電話の着信音が聞こえた。

この着信音は・・・あいつだ。

ずっと俺が掛けっぱなしにしてるから、着信音が鳴っているんだ!

トイレの中へ駆け込んでいった。

トイレの中は、そこら中赤黒く鉄くさかった。

なんで、血が・・・?

しかも、電話の着信はなっているのに人の気配がない。

こんな物を見たことがある。

そうだ、ゾンビ映画だ。

だけど、あれは、フィクションだ。

そんなことが起きてるわけがない、きっと悪戯か何かだろう。

そう信じて、個室の扉を一つずつノックしていく。

コンコンッ


「誰かいますか?」


・・・応答はない。

扉をおそるおそる開いてもやはり人は居なかった。

二つ目の扉もノックする。

コンコンッ


「誰かいませんか?」


着信音は、この扉から鳴っている。

この中にいるはずだ。

”う゛ぇぁぁぁぁ・・・”

扉の向こうからうめき声がした。

おいおい、本当にゾンビ映画みたいじゃないか。

どうせどっきりか何かだろ?

ゆっくりと慎重に扉を開けた。

”あぁぁぁぁああぁぁぁ・・・”

声にもならない声を出し、身体中しわと血だらけのよくゾンビ映画で見るようなモノが便座に座っていた。


「ひっ」


思わず、そんな声を出してしまい後ろに倒れこんだ。

そ、そんな嘘だろ・・・?

ソレは、まだ電話を掛け続けている俺の友人だった。

顔からは血の気が完全に引いていて、まるで作り物。

だが、ソレは手足をもがれた状態で便座の上に鎮座していた。

こんなモノを目の当たりにしてしまったら、あの留守電のことを信じるしかない。

あいつのモノだった携帯を拾い。

その場から逃げるように、病院を抜け出した。

病院から出てみると、本来賑やかだった町には人が居なくなっていて、店の窓は割られていた。

ずっと病院の中だったため、足にはいているのはスリッパだ。

こんな状況だ、靴くらい持って行っても文句はないだろう。

どうせならと、少し値段の高めの靴を選んで履いた。


「この町の病院といったら・・・あそこか。」


自分のいた病院がどこの病院なのかを把握した。

これで何か聞かれてもどこから来たのかとかくらいは言えるだろう。

それとは別にこの町から厩舎までは、すごく遠かった。

気がする。

ショッピングモールだったところまで来てみれば、予想通り。

キーの刺さったままの車がたくさんあった。

それに、大量の動く死体がいた。


「やっぱり・・・そうだよね。」


・・・とこれが今までの経緯

病院内で見たあいつの変わり果てた姿と比べたらここに居る死体は、なんてこと無い。

よく、ホラー映画を見ていた俺にとってはよくテレビで見た光景だ。

こういう類いの奴らは、大体音とか匂いとかに反応する。

別に俺は、普段から香水を付けてたりとかはしていないから、匂いに関してはあまり問題ない。

となれば、音だな。

音を立てないというよりかは、別の場所で大きな音を立てる方が良いだろう。

少し名残惜しいが、あいつのモノだった携帯を寝るべく遠く目掛けて、投げる。

衝撃で壊れないように芝生のあるところを目掛けて思いっきり投げた。

影になるモノが多すぎて、どこまで行ったかは分からなかったが、ポスッと音がしたから問題は無いはずだ。

その携帯に電話を掛ける。

プルルルルプルルルル

プルルルルプルルルル

できる限り音量を大きくしてから投げてやってから物陰に逃げ込んだ俺にも問題なく聞こえる音量だった。

すると、狙い通りその音目掛けてぞろぞろと死体どもは歩いて行って、勝手に着信が切れる頃には、ショッピングモールの周りには、一体たりとも死体はいなくなっていた。


「よし、車もだけど武器とか食料とか無いと生きてけないな。」


いつ戻ってくるかは分からないが、その時はまた着信音を鳴らせば良いし、それまでじっくりと物色させてもらおう。

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