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第八話   開戦

 明治三十七(1904)年二月八日、海軍による旅順攻撃によりとうとう戦端が開かれた。

翌日には陸軍部隊の仁川上陸も行われる。


 そして、早々に韓国は日本支援を表明している(表向きは局外中立の建前だが)。


 前世の記憶で旅順閉塞が何度も行われ、そして全てが失敗している為、早々に機雷封鎖を選択するよう提言していたのだが、三度にわたる閉塞作戦で犠牲が出る結果となる。だから、言ったのにガキの言うことと気に止めなかったようだ。


 海軍の作戦は二正面で行われた。

旅順に対する第一、第二艦隊、ウラジオストクに対する第四艦隊。

そして、第四艦隊は二月九日にウラジオストク近海に達すると早々に海戦が勃発した。後にウラジオストク海戦と呼ばれる戦いで、港湾封鎖を試みる日本艦隊を強行突破を図るロシア艦隊がぶつかる形で始まった。


 この第四艦隊、前世よりも技術が十年遅れている事に着目して高価な戦艦を減らして購入した艦艇や何とか間に合った国内造船所で建造した艦艇で編成されていた。


 日本艦隊は速力優先の防護巡洋艦ばかりで、大口径砲を積む装甲巡洋艦を持つロシア艦隊に劣勢だと思われたが、犠牲を出しながらもロシア艦隊を港に押し戻すことに成功した。


 この時撃沈された防護巡洋艦『石鎚』はこの戦争における喪失一号となった。が、その犠牲は無駄ではなく、僅な機雷敷設ではあったが、ロシア側は機雷を警戒してそれから一年出港してくることはなかった。この時、指揮官のニコライ・レイツェンシュテイン大佐が負傷していたことは、戦後まで日本は知らなかった。


 背後の憂いが無くなった日本海軍は旅順攻撃に本腰を入れるが、それはあくまで海軍単独の作戦として頑なに譲ろうとしなかった。

 俺が早くから指摘した展開となった事に父は呆れ、直に話を着けようとしたが止めた。流石にマズイ。

替わりに元老達に要請して四月中に陸軍の投入を決定し、先に編成に入っていた第三軍の派遣が決められた。


「亨仁、まさか、海軍の連中はお前の言う太平洋でもこんな調子なのか?」


 呆れたように聞かれたのでそのまま返した。


「実弾こそ飛び交いませんが、陸海軍の政争が敵との戦いに優先した場面もあったのは事実です」


「戦争が終わり次第、連中は何とかする以外ないな」


 父はひどく疲れたため息をはいてそう呟いた。


 さて、仁川に上陸した陸軍は順調に北上しロシア軍を破る。第二軍が南山の戦いで重大な損害を出す。だから、機関銃を備えた陣地は危険だとあれほど・・・

 それまで通り力押しをしたようだが、一部では擲弾筒が役に立ったらしい。


 そして本命の旅順要塞だが、監視に留めろなんて意見もあったりするが、自身の補給路大連の鼻先に敵の大軍を残置するのがどう言うことか分からないのだろうか?バカは困る。


 旅順要塞だが、第三軍の乃木司令官にはメンバーを通じて塹壕による戦いが必要なことを伝えた。

旅順攻撃を察知した旅順艦隊がウラジオストクへ向かうために出港してきたが、日本側はこれを撃退、撃沈こそ少なかったがこの損傷で艦隊はその戦闘力を失ったのだが、海軍はそれを認めたがらないバカが揃っていた。封鎖継続が行われることになる。


 旅順要塞への攻撃はそれから数日後、八月十八日に決行された。

第一次攻撃では突破に至らず、損害も甚大なものであったが、攻撃目的自体は達成されている。


 ただ、予想通りに多量の擲弾筒と迫撃砲弾が消費され、塹壕戦だったものが砲弾欠乏から強襲となったことが多大な犠牲の原因とされた。

 だから、輜重部隊をあれほど・・・


 北上を続ける第二軍をはじめとする部隊は遼寧でロシア軍と対峙するが、ロシア軍の後退で撃退できずに終わる。

 十月に入り、後退していたロシア軍が攻勢に出るがこれは何とか撃退する。


 そしてバルチック艦隊出港の報がもたらされるのだった。


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