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第八十四話  転生なんちゃって農家

 昭和二十四(1945)年お盆、そういえば、前世の今頃は玉音放送が流れてる頃だっけかと、ふと空を見上げた。


「殿下、先ほど佐藤さまが亡くなられたとの連絡がございました」


 俺はあまりの事に驚いてしまった。


「せっかく、これが完成したというのに・・・」


 俺は目の前の機械を見ながらそう言うのだった。


 俺と佐藤さんとの出会いは昭和三(1924)年だったろうか、関東大震災の復興に関する話し合いの中で、本格的に農業改革も行うことが決まった時だったと思う。


 農業改革においてまず必要なものと言えば農機具。農業の機械化なしには未来がないと思った。

 そう思ったからこそ、山岡さんに農業機械の制作を依頼したのだが、彼はコンバインについては自分ではなくもっと適任者がいるだろうと言ってきた。


「殿下、確かにわが社は農業機械開発にも力を入れております。しかし、米麦収穫機でしたら、私よりも島根の佐藤という人物に一日の長があります。私も作ってみたいとは思いますが、彼が手掛けた方が、殿下の望む機械を先に仕上げてくるでしょう。それに、私も好敵手が居た方が張り合いがあります。トラクターについては名乗りを上げた鉄工所がありますので、その社との競争になると思います」


 山岡さんはいい笑顔でそう言っていた。大阪にある鉄工所と聞いて調べたら、前世、オレンジ色がシンボルカラーの某農機メーカーの前身らしい、名前が同じだもの。

で、佐藤って誰よ、佐藤農機なんて前世、聞いたことないぞ?


 そう思いながら調べると、確かに島根に脱穀機を中心に製造販売する「佐藤商会」なる会社を見つけた。

 そして連絡を取ってみたのである。


 初めは東京からうさん臭い業者が来たと思われたらしいが、何とか協力してくれることとなった。


 こちらから提供したのは普通型、自脱型2種類のコンバインの基本構造だった。

 なぜ二つかって?


 それは日本の気象条件や稲の特性による。


 稲刈りが行われるお盆から秋にかけての時期は朝露が多く、稲に水分が付着しやすい時期でもある。そして、台風シーズンであり、倒伏している場合も多い。そうした水分の多い稲を収穫しようとする場合、刈り取った茎からすべてを放り込んで脱穀する普通型コンバインでは不都合が多い。下手に脱穀能率を上げようとすれば強い力で穀粒を痛めてしまうことになるので、力加減が必要になるが、弱すぎると脱穀がうまくできず、穂に米粒が残ったままになってしまう恐れがあった。


 そのため、日本では佐藤さんの考えた脱穀機を発展させ、穂の部分だけをドラムに差し込み脱穀を行う形態が考案されるに至った。これが自脱式と呼ばれるもので、別名、「ジャパニーズ・コンバイン」ともいわれるらしい。


 稲の収穫と脱穀に関しては非常に使い勝手が良いが、何せ稲に特化して作られているため、収穫できるのは稲と大麦、小麦、ライ麦あたりに限定されてしまう欠点も有している。

 外国の麦の収穫映像でおなじみのコンバインが普通型と呼ばれるもので、稲や麦以外にも、アタッチメントの交換で様々な穀物が収穫可能となっている。

 日本で普通型コンバインと言えば、北海道か稲麦以外の作物の栽培が盛んな地域でしかめったにお目にかかれない。


 なぜ俺がそんなことを知っているのかって?それは前世の実家が小学生のころまで稲を栽培していたからだよ。そして、死ぬ少し前に動画サイトでコンバインのラジコンを自作した海外の少年によるラジコンの解説なんて言うものを見て、普通型の基本的な構造も知ることとなった。あの少年、後で調べたコンバインの構造をしっかり再現していて動画をもう一度探したほどだよ。まあ、海外では普通型コンバインが常識だから、農家ならば家にあるコンバインを観察して、再現したんだろうな。


 おっと、話しが逸れた。


 情報提供してすぐにコンバインが出来るのかと思ったけれど、現実はそれほど甘くはなかった。

 ドラムむき出しの足踏み式脱穀機の時代にコンバインを作れと言って、わずか数年でハイ出来ましたなんて、今から思えば確かに無理だと思うよ。




一体何が起きたのかわからないと思う。


書いてる本人も何をやっているのか分かっていない。


ただ、異世界農業作品を書こうかと構想していてどうにも怪しいのでテンプレに放り込んでみたんだ。


そういう訳で、今週は本編とは関係がない転生なんちゃって農家の話になってしまった。

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