第七話 日露戦争へ
擲弾筒と迫撃砲を配備した。という事は、これまで以上の輸送能力が求められる事を説明したのだが、どうにも理解が進んでいない。
「輜重に人を割くなど、戦力の無駄ですよ」
と、そんな意見まで出たので、対向演習によって機銃陣地と塹壕のあり方を見た後に、機銃陣地破壊のための実弾演習を提案した。
結果は弾薬欠乏だった。これぞ、百聞は一見に如かず。
そんなわけで輜重部隊の拡充や鉄道部隊の拡充など、陸軍は物凄く忙しい。
海軍は笑っていたが、補給の要は輸送船とその護衛。旅順、ウラジオストクの閉塞に加えて通商破壊対策まで投げ込まれた海軍も大忙しになっている。
でも、俺が思うにそれでも足りないんじゃない?
さて、義和団事件以降の情勢だが、やはり前世の流れと変わりが無さそうだ。
日露間ではロシアの関東州からの撤退交渉が行われたが、ロシアが難色を示している。
最終的に段階的な撤退で合意はしたが、どうにも動きが遅い。
それとは対称的に日英の交渉が予想外に順調だ。
分かっていたが、ロシアは撤退の意思がない。渋々部隊を移動はしたが、合意履行の第一段階すら怪しい状況だ。
もしかしたら前世よりもロシア軍が居残って居るんでは無かろうか?
正直、これは明らかに前世と異なる動きを見せていると思う。
そして、もうひとつおかしな動きがある。
大韓帝国もおかしい。確か中立ではなかったか?積極的な協力表明をしてきているとか。
これ、本当に前世の記憶が役に立つんだろうか。物凄く怪しくなってきた。