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第六話   嵐の準備

 義和団事件は記憶の通りに宣戦布告から各国の派兵へと移り、英国からは更なる派兵要求を受けた。

これも記憶の通りで間違いない。

 列強連合の指揮権は順当に英国が持ったが、ロシアが横やりを入れる場面もあった、何せ、最大兵力の派兵国がロシアなのだから仕方がないのかもしれない。


「やはり、これは近いうちに戦争になるな」


 俺の話を聞いたメンバーは誰もがそれを確認した。そして、英ロの対立を見て、日英同盟の可能性にも納得できたようだ。


 そして、俺の提案した事を基礎として重工業化路線へと舵を切ることになる。


 それは当然ながら、俺のオリジナルではなく、転生小説のテンプレに従っている。

・朝鮮は何があっても領有しない

・朝鮮投資分を国内インフラや産業振興にあてる。

・知識チートは小出しに、外国への波及は最小限に

・歴史改変したら自己責任



 まあ、最後のは仕方ない。出来るだけやりたくないが、やらんとチートを活かす意味は無いとも思う。

そして、

・時に転生や転移は複数起きる


 最大の問題はこれだな。

なにせ、既にこの世界は前世と歴史が違う。過去の何処か、産業革命の頃の欧州に転生者が何かヤラカシた可能性がある。

バタフライ効果として何処かに影響があって不思議はないのだ。それが怖い。



 まあ、そうはいっても今は順調だ。


 迫撃砲を教えた所、有坂という人がすぐさま試作してくれた。そう言えば、日本の小銃を「アリサカライフル」と呼ぶのはこの人が開発者だからか?


 聞いてみたらどうやら開発中らしい。野砲開発が迫撃砲開発に変更されたそうだが、大丈夫なんだろうか?野砲は先輩がしっかりやっているので問題ないとの事。


 迫撃砲とは言っても、重量数キロの擲弾筒と近接支援の迫撃砲の二種類ある。

野砲よりも簡易なため優先的に開発され、開戦前に部隊配備にこぎ着けている。野砲はちょっと配備は難しそうだ。

 下手に横やり入れた身としては申し訳なかったが、有効な近接火力を配備出来たから問題ないとの事だった。



 俺自身は子供の身であり、海軍兵学校に入るために勉学に励むっていうか、思い出す毎日。前世の知識があるから楽をさせてもらってるし、「親王の指導」名目でメンバーを集める事が出来ているのも好都合だった。



「皆さん、今日はちょっと仮定に仮定を重ねた話をさせてください」


 そんなある日、俺はそう切り出した。

一部のメンバーは外国に行ったりしているが、今しかない。


「私は前世の記憶があります。そして、この世界は前世と少し違います。正直、歴史に精通していないので子細まで分からない為、過去に同じ様に歴史が変えられた事を突き止める術はありません」


 そう、こちらが本来の姿で前世が改変された世界の可能性だってある。それがいつの誰か、実は分からない。


「ただ、可能性として、私以外に過去に『転生者』が居た可能性があり、今、私以外に居る可能性も捨てきれません」


「確かに、世には未来を見たとか、過去は誰であったと言う者が居りますな。全てとは言えませぬが、宮さまと同じく真の者が居ったやも知れませんが、多くは世に出ることなく奇伝の類いとされとります」


 参加者の一人が言う。


 確かに、いくら転生や転移が起きても、皆が都合よく権力者に受入れられる保障はない。中には奇伝として語り継がれたりしているかもしれないし、最悪は取り入ろうとして失敗しているかもしれない。そう考えると俺は運が良かった。


「既にお話したように、伏見宮家に連なる者に海軍軍人が居ないように、諸外国、もしかしたらロシアでその様な事になっていれば、次の戦争の先行きもわかりません」


「そう弱気になりなさるな、その時はその時ですよ」


 メンバーはそう言ってくれる。しかし、義和団事件でのロシアの動きがどうにも違う気がしてならなかった。

もしかすると・・・

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