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第六十二話  電波哨戒機2

今日の投稿二話目です。


これは架空戦記創作大会秋のお題作品です。本文の第六十一話を同時投稿しています。

 レーダーの発達というのは戦争と関係なくすごい勢いで進化している。


 いや、それは違うか。


 英国においてはドイツの脅威が現実に差し迫ったものであり、効果的な防空監視網構築に日夜努力が続けられている。

 それは極東でも変わらない。極東ロシア公国はソ連の侵攻に備えてレーダー網を構築しており、その精度向上に余念がない。


 そうした事情の下、各研究者、各企業間の開発競争もし烈に行われている。なにせ、より優れたものを開発すれば少なくともすぐさま予算が下りて試作が促進される。

 そうした事もあり、たった二、三年あれば性能が劇的に向上しているのだから驚かされてしまう。

 確か、前世で携帯が普及して数年もしたら電話だけでなくメールが、気が付いたらネットに繋がるようになっていたのを思い出した。それとまるで同じ速度で進歩している。


 そうして昭和二十一(1942)年二月には三年前に制式化した電波哨戒機を大幅に上回る機上レーダーが登場することになった。

 今回の特徴は何と言ってもレーダースコープが波形を読み取るAスコープから前世でおなじみの自機を中心に360度を俯瞰した形で光点が表示されるPPI方式。

 このPPIの普及によってレーダー要員の負担が大きく減った。これまでの波形を読み取る場合は頭の中で自機と反応の位置をイメージしなければいけなかったが、PPIならば相対位置が一目でわかる。これは大きな変化をもたらしてくれる。


 なにせ、これまではレーダーや機体の向きを要員が一々確認しながら操作していたが、PPIならばレーダーが360度回転した時の反応位置が一目でわかる形で表示される。これでレーダー要員は機器の操作のみに集中して情報を読み取れるのだから、ミスが減る。もちろん、21世紀のレーダーのような精度や高度や敵味方、詳細な機数などはこの時代はまだ把握できるものではなかったが。


 以前の機材と同程度の重量まで小型化された航空機用レーダーは計画時から十分な発電容量を確保した単発艦上攻撃機に搭載されることとなった。

 40式戦闘機と同時期に開発された艦上攻撃機で、ターボプロップエンジンを装備し三名の乗員が乗り、爆弾搭載量も最大1.5tに達する。これはもちろん、自力滑走で空母から飛べる重量ではないが、カタパルトのおかげで問題なく積み込むことが出来ている。


 この搭載量を生かしてレーダーを装備した哨戒機が開発されることとなった。


 ただ、この時代のレーダは波と水上目標を分離して、水上目標のみを検出するなんて高度な機能はないので、主に航空機への監視が主たる任務である。もちろん、高度を測定する機能もないので、わかるのは距離だけ。それでも十分有益なことに変わりはない。


 レーダーを搭載する母体となったのは39式艦上攻撃機。40式戦闘機同様に水冷機のようなフォルムをしており、戦闘機は飛燕、攻撃機は彗星をイメージすればよいだろう。

 その39式艦上攻撃機の腹下に大きなレドームをぶら下げ、機材の多さで二人乗りになってしまいはしたが、後部にレーダー員が乗り組んでいる。360度のレーダー視界があるので一人でも十分監視が出来る。これ以上の能力を求めるならば大型の陸上機に複数のクルーを乗り組ませるしかない。今の時点ではカタパルトの限界で双発機を常時艦上で運用するのは難しい。

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