第二十二話 戦闘巡洋艦 金剛
バトルクルーザー、日本では巡洋戦艦と呼ばれるが、直訳すれば戦闘巡洋艦である。
この世界ではこの艦種が発展するか怪しい。何せ、ドレッドノート自体が高速戦艦のコンセプトで作られているので各国はそれに追随し、装甲巡洋艦の生存環境自体が怪しい。前世より早く、装甲巡洋艦は後の重巡洋艦への模索を始めている状態だった。
そんな中で日本が英国に依頼したのは、戦艦より高速で、戦艦とあまり変わらない防御力がある艦の発注であった。
12吋砲を前提にした舷側装甲と遠距離射撃に対処できる水平装甲を持たせる。
実のところ、土佐と何が違うかと言うと、説明に困るほど似通ったコンセプトだった。あえて違いを挙げるならば、軽量化のため副砲を4基に減らしたくらいだろうか。
こうして、土佐の起工から半年遅れて英国に発注されたのが、戦闘巡洋艦金剛型である。前世では14吋砲を搭載したが、この世界では未だに12吋以上の砲は実用化されていない。
ただし、日本では既に14吋砲の開発が始まっている。ただ、前世の41サンチ(16吋)砲は技術的に難しい。
英国では日本の異端な発想を半ば嘲笑しながら設計される事になり、明治四十四(1911)年四月に起工され、土佐に後れること半年、大正二(1913)年十一月に竣工している。
この世界では比叡も英国で建造され、大正三(1914)年一月に竣工。
ただ、土佐には重大な問題が発覚し、少し遅れて竣工した二番艦の加賀共々、比叡の竣工と前後して、急きょ英国での改修を受けることになってしまった。
問題とは、水圧機の力量不足で、日本で建造される土佐型の改良型の山城、伊勢は英国から水圧機の輸入が行われる事になった。
土佐と加賀の改修が終わったのは十月であった。
前世と違い、土佐、加賀が英国にあったため、金剛、比叡も英国での演練が続けられ、機構が似通っているため、土佐、加賀の乗員の演練まで受け持っていた。
この為、好むと好まざるに関わらず、日本は第一次大戦に参戦することが決まるのだった。
戦闘巡洋艦 金剛
排水量 2万3千トン
全長 198メートル
幅 26メートル
機関 ギヤードタービン
出力 6万馬力
速力 26ノット
武装 12吋連装砲4基
6吋連装砲4基




