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外伝9  諸外国のその後の小銃

「よし、そこまで」


 たまに撃つ弾が無いのが玉に瑕って川柳があったらしいが、この世界ではそんな事は無い。らしい。


 が、俺たちはそんなにバカスカ撃てるわけではない。ただの予備役訓練だからな。


 初の実弾射撃が終わり、銃の掃除を終えて帰途につく。


「おい、アレのエアガン出てんだろ?」


 ふいにそんな話声が聞こえた。


「ああ、電動なら3万円であったぞ。ガスは5万近いな」


 そんな事を言っている。結構高いらしい。



 まあ、おもちゃの話は良いとして、他の国はどうなっているのか気になったのでそれも調べてみた。


 まず、前世AKで有名なソ連だが、かの国はドイツとの戦争でやはり突撃銃というモノを知る。そして、自国でもそれを真似て新型銃を作り出している。それが、AS50。作ったのはシモノフだった。


 AS50はそれまでの曲床銃と同じ構造だったが、のちにグリップと直床を備えたASM50へと変化し、欧州の小口径化の流れに合わせて7.62×41弾から5.45×41弾へと変わり、AS75となった。どうにもあか抜けない銃で、AKというよりSKSに近い印象を受ける。AS75では材質が樹脂に変更されているが、基本的なデザインは変わらない。ただ、なんせ軽い。AS50で3.7kg、AS75は3kgしかない。昨今はレールシステムに対応した、AS18なる新型が登場している。



 欧州ではどうかと言うと、当然ながらドイツにおいて開発されたStGなる銃が突撃銃の始祖と言える。

 

 この銃の銃弾は7.92×33弾だった。ヒトラーの後押しもあり、対ソ戦争には大規模に投入されたが、射程距離の短さが露呈し、他国の注目を集めたのとは裏腹に、本国での評価は芳しくなかった。


 まずは、銃身延長が行われたがそれでも問題は解決する事は無く、弾丸の改良なども行ったが根本的解決とはならなかった。

 そして、最終的には装薬量を増やすことになり、新たに7.92×40弾が開発され、1954年にStG54として採用されている。

 この新弾薬による銃は見た目、前世G3によく似ている。同一の構造で作られたサブマシンガンがMP55、前世のMP5にそっくりだった。


 銃自体は非常に優秀で今でも多くの国で使われている。しかし、ドイツにおいてはさらなる高性能を求めて研究が重ねられており、薬莢を持たないケースレス弾なども試作されたが、最終的には4.7×47という通常の薬莢を持つ弾薬となり、StG89として採用され、今ではその改良型StG9が使用されているが、砂漠や山岳地帯では射程が短すぎるという事で、旧来のStG54を引っ張り出して来たりしている様だ。



 英国では欧州と一線を画す態度を取り、小銃も独自路線を歩んでいる。そして、開発されたのがEM-1小銃だった。


 これはグリップより後方に弾倉や機関部を設けたブルパップ式で、それまでの長銃身をそのままに全長を短縮していた。

 そして、使用弾薬も独自に開発した6.8×46弾であり、そのスタイルと相まって世界の注目を浴びた。


 しかし、ブルパップ式は長銃身のメリットと共に排莢が顔と同じ位置に来るため、持ち替えが困難で、どんな状況でも右に構える事しか出来ない。


 そして、作動部が耳の位置なので、射手に対する負担が大きい事も問題だった。


 一時は各国で盛んに研究開発されていたのだが、ブルパップ式は英国以外では欧州で数か国が開発、制式化しただけで、今では一時の流行に終わっている。


 そんな中にあって、英国は全く方向性を変えずブルパップを使用し続けており、1955年にEM-1の運用をはじめ、L55と命名、それからいくつかの改良を重ねながらつい最近まで使用されていた。


 そしてとうとう、21世紀に入って銃の更新となったのだが、そこで日ロと銃弾共通化という事で英国でも南部弾を使うことになったのだが、銃は11式ではなく、英国で開発され、やはりブルパップとなっている。

 これまでと違うのは、レバー一つで左右どちらへも排莢できる機構を採用することでブルパップのデメリットを解消している所。


 そして、外装は樹脂製で外観は近未来の銃といった雰囲気を醸し出している。なかなかにかっこいい。



 さて、米国だが、米国では短小弾という概念を受け入れることなく今日に至っている。

 というのも、長年にわたるシナ大陸での戦闘経験から長射程大威力が必須という思想の下、自動小銃の時代になって、それまでの30.06弾にかわって7.62×51弾を採用した小銃を採用している。

 前世、NATO弾となったアレだ。

 違うところは曲床銃ではなく、民間型BARをベースにした小銃がM2として採用され、別にカービン銃が作られている事だろう。


 カービン銃はM1カービンの7.62×33を継続して使用する銃で、前世のM16の様な形になっている。


 欧州やソ連で小口径弾が開発されるのに合わせたように、米国でも223口径、5.56×45弾が開発され、まさにM16が完成するのだが、前世とは違い、採用は1980年代に入ってからだった。


 米国については、その主戦場は中南米でのマフィアや反政府組織との戦闘なので、前世の様に7.62への回帰論争は起きていないし、新弾薬の話も聞かれないようだ。

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