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10話 ナニコレ?!(3)

「ハーベナー? ほほほ、ホントに私たちにできることない?」


ユネはガクガクとハーベナーを揺さぶり声を震わせながら尋ねる。


「姉さん。落ち着いて。それファリス・・・」

「ハッ?!」


セラはユネの肩に手を乗せて言うと、ユネは2度見否、3度見して自分が掴んで揺さぶっていたものを目を回したファリスだと認識する。


「そういうあんたも落ち着きな・・・それはユネじゃなくて壁だよ」

「ハッ?!」


セラはハーベナーに指摘され、ユネと壁を間違えたことを顔を真っ赤にして恥じる。


「2人ともよっぽどだねぇ~」

「当然ですファリス。主様の危機にじっとなどしてられないです」

「あたしゃハーベナーだよ・・・」

「ハーベナー、私達に出来ることはないの?」

「ユネさぁん~私はぁ~ファリスでぇ~す」

「今のあんた達に出来ることは何もせずただじっとしてることだ」

「「そんなこと出来る訳無い」」


ユネとセラはハーベナーの肩を掴んで叫ぶ。


「それは箪笥だ・・・」

「「ハッ?!」」

「何かしたいって気持ちはわかりますぅ~」

「でも今のあんた達にやらせられることは一切無い」


ファリスは寂しげな表情で、ハーベナーは厳しい表情で言い放つ。しかし2人は引き下がらない。


「暖炉に火を点けたりくらいは出来る」

「私だって薪を割るくらい出来る」


ハーベナーはため息とともに呆れた表情で首を振り、言った。


「今のあんた達は状態異常『錯乱』になってる。対象が正しく認識できず、正常に力が振るえない状態だ。そんな状態で薪を割ろうとして姫ちゃんを割ってみな? 暖炉だと思って姫ちゃんが寝てるベッドに火を点けてご覧? それこそ後悔ってどころのはなしじゃないよ? しかもあんた達は攻撃力が桁違いに高いんだからうっかり姫ちゃんだけじゃなくこの宿ごとぶった斬りかねないし、火を点けるのだってうっかり種火のつもりが魔力を込めすぎて極大魔法と化した《火種(フィラメル)》で吹き飛ばされちゃたまったもんじゃない」

「大丈夫よ! そんなドジはしないわ!」

「無論です! 馬鹿にしないでください!!」

「じゃぁ~あれは何に見えるぅ~?」


ファリスが指差したのはベッドとそこに横たわるトキだった。しかし・・・


「薪です!」

「暖炉です!」


自信満々に答える2人を見て額の手を当て、同じ事を考えた。


『聞いといて良かった』


と・・・。


トキが動く夢茸(ドリームパピィルーム)の胞子をもろに浴びて眠りにつき、すでに3日が経っている。その間、2人の従者は一睡もしていないためもあいまって《疲労》が《錯乱》へと変化している。


「あんた達は今、病気だ。今の状態で姫ちゃんのそばにいさせるのは危険と判断した」

「「でも・・・」」

「これ以上をあたしに言わせる気かい?」


ハーベナーは反論しようとしたユネとセラを指差し、尋ねる。

ハーベナーの指先がうっすら緑色に光って見えるユネとセラはこれが何を意味するかわかっていた。


――《医者の宣告(ドクターストップ)

患者を対象に指を指したとき、対象がスキル使用者の指が光って見える場合、スキル使用者は対象に対して限定的な制限をかけることが出来る。


2人はゴクリと息を飲む。

このスキルは自由自在というほど患者を操ることは出来ない。せいぜい病状を悪化させないように安静にさせたり、特定の食べ物を食べることを禁止したり、激しい運動を禁止したり程度である。

しかしこのスキルの恐ろしい所は例えそれが自分のより遥かにレベルの高い相手であってもそれは確実に発動し、強制させることにある。

それを知っている従者の2人は後退りする。


「肝心なときに何も出来ない辛さはあたしゃよぉく知ってるから言いたかないんだけどね・・・姫ちゃんが起きたときに初めて目にする人物が自分達でいたいなら姫ちゃんの横でじっとしてな」

「「・・・」」


2人は床に膝をつき、うなだれた。

その時であった。トキとユネ、セラ、3人の体が光り輝き出したのであった。


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