プロローグ1
その神はもう、どうしようもなく狂いきっていた。侵略者に破れ、庇護する世界そのものを奪われ、追い出された神にもう味方は残っていなかった。
神は復讐することを決めた。その為にはどんな禁忌に触れようと構わなかった。もはや正常な考えのない、狂った神はもてる全てを使って、自身もまた侵略者を作った。
腐っても元主神、様々な世界から魂を掠め盗り、無理矢理繋ぎあわせて一つのものとした。そして強化し、負荷をかけた。自身の力を強引に流し込み、精神力の強化の為に、耐性を付けると殺された眷族の死の記憶を埋め込んだ。
幾億の失敗を重ねついに完成したそれを、目についた世界に放逐し、神は満足した。もう神には自分の世界に侵略してきた別世界の神と何も関係の無い他世界の判別などどうでも良かった。ただただ、滅びを願った。
そのすぐあと、魂を奪われた他の神達が狂神を討伐したが、作り出した兵器は見つかることはなかった。その時には既に一つの生命として誕生し、着々と育ち始めていたのである。
それに神々が気付くのは、もう少し先のこと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グーダル王国は、周辺諸国に比べて、魔法技術や生活環境に置いて抜きん出た大国であった。
そんな彼の国に、1人の天才が生まれた。
彼には、これまでの人生において壁と呼べる様な障害を感じ得たことは無かった。彼は、大体のことは初見でこなした。まるで、その道の熟練者の様に。 彼は、出来なかった事はすぐにモノにした。人より何倍も、あるいは何十何百倍も早く。多くの者は、その二つを見分けることすら出来なかったし、見分ける必要も無かった。ただ、彼は何でもできる、全能であるとの認識で事足りた。
そんな彼は、ヒトの手では扱えないとされ、神に禁じられた術に手を出し死んだ。死んだペットの亀を蘇らせようとした彼は、神罰から2年と3ヶ月逃げ延びたが、神の全力の攻撃で魂をを砕かれ、世界から弾き出された。
神は彼の魂の消滅を疑わなかったが、歪な魂は砕かれてなお活動を続けていた。砕かれた魂の欠片は、様々な世界に飛び散り、輪廻の輪に入った。
その中でひときわ大きな魂が、とある世界の魔獣の卵に宿った。それがどの様な意味を持つのか気づいた時には、手遅れだった。




