2.
≪???(勇者)side≫
上にあるのは、宝石箱の中身のようにきらめく星々。都会ではありえないようなその光景を、俺は庭で眺めていた。
夏休み中盤。毎年のように遊びに来る、じいちゃんの家。山中だが、幼い頃育った家にいると、どうしてか心が休まる。肉食獣たちに襲われる心配がないから、だろうか。
母と父は、見ていて目が痛くなるような美形だ。そして、俺にもそのDNAがしっかりと受け継がれているため、自慢じゃないがもてている。
そう、#もてている__・・・・・__#のだ。羨まれることが多いが、時にそれはどうしようもない愛へと変わる。
一途な愛、またの名を≪#ヤンデレ__ストーカー__#≫。まあ、俺から見るとただの≪ヤンデル≫にしか見えないが。とにかく、家にいても学校にいても、四六時あの気持ち悪い、舐めるような視線を感じるのだ。小学校の時から命の危険を感じていた。
そしてついに、被害が起こった。友達の家からの帰り道でのことだった。後ろから感じる視線。いつものことだったので気にせず帰ろうとした俺。だが、気配はだんだんと近づいてきて―――
何が起こったのかわからなかった。背中に起こった、冷たさ。しだいにそれは、痛みへと変わり…
気付いたら、病院にいた。聞くと、刺されて二日ほど眠っていたらしい。犯人は捕まったらしく、心配することはないといわれた。だが、まだあの視線は消えない。それどころか、だんだんと増えていっているようにも感じる。
耐えきれなくなった俺は、例年よりも少し早くじいちゃんの家に行くことにした。幸いあそこはほとんど道がなく、知っている人でなくては必ず迷うような秘境(仮)である。いつもの里帰り(笑)が少し早くなるぐらい、誰も文句は言わないだろう…多分。