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感想など受けて:追記 2016/06/15

 感想で突っ込まれて、御一方、メッセージでまでやりあうという形になったので(この方は、「私が読むべき作品じゃなかった」と言うような捨て台詞と共に、感想を消されました)、こちらが考えている事を書いておきます。


『出版権でもって著作財産権を縛る事は出来ない』


 一部、私の勉強不足もあるのですが、出版権を設定する=専有を認める、と言う事で、著作財産権の行使については縛られます。

 この事については、条文に明記されているため、著作権法上の出版権として認める場合は、縛る事は必須になります。


 この辺りについて私が一部勘違いしていて、専有はあくまでも契約による物だと思っていました。


 逆に、何故専有しなければならないかについては、出版は大きな事業であって、その昔は「出版を」「著作権でもって」専有の許可を行っていた、と言う歴史があるからです。だから「複製(copy)の権利(right)」。

 当初は著作者への占有権ではなく、出版業者への占有権だった。


 この辺りの流れとか、支分権の概念とか、いろいろとごっちゃになって、前述の一文となっておりました。



 それから。

 出版に際して、権利関係をまとめると、大きくは4つの方法があります。


1:著作権法の出版権の許諾を得、これを国に登録し、出版者が出版行為を行う(出版権による出版。著作権者は著作者のまま)

2:著作権の保護期間が満了した作品の出版を行う(青空文庫などがこれ。著作財産権に関しては消失している)

3:著作権(著作財産権)の譲渡により出版を行う(著作権者が出版者になるため、問題にならない。著作者から財産権は無くなる)

4:著作権(著作財産権)の許諾により出版を行う(著作権者は著作者のまま、出版者が出版を行う)


※出版『者』は意図的です。出版を行うのが会社と言う法人組織、とは限らないため。特に最近では、紙の同人も安くなって来てるし、ウェブ公開もまた出版行為の一つな訳で。


 私自身の勘違いは1と4が奇妙に混同していた事。

 いや、出版権自体は4の概念を元に+αで構成されているんだけどね。


 ちなみに、なろうなどウェブ公開と言う出版行為(公衆送信)は、ほぼ4の方法です。どこの利用規約も4の概念を基準とする構築です。

 そこで、著作財産権ではなく著作人格権に文言で手を出して炎上に発展する……と言うのが、一つの風物詩だったり。余談。


 更に混乱する事を言えば、著作財産権を誰かに譲渡や委託をし、その上で出版の話をするとかなると、著作者と複製権等保持者と出版者と、登場人物が3人になったり。

 専属のマネージャー(近似では、スポーツでの契約の代理人)が入ってくると、権利の「代行」を権利者が認めているって話とか。事件事故の弁護士が入るのもこの形か。


 音楽関係での JASRAC の場合は、出版権とはちと違うんだけど、「その人が持つ著作権の全て」を対象にしている……未来の著作物(著作権はまだ成立していない)まで委託の対象にする話とか。

 週刊少年ジャンプが有名だけど、会社と専属契約による出版(これもまた著作物が存在していないため、著作権・出版権の話ではない)もまた違う。

 著作権とは、今現在存在している著作物に対する権利、なので、これらと混同するのは、完全に間違いなんですよね。

 著作物があって、その出版のための権利が、出版権。具体的な著作物が無ければ、権利が発生しない。



 で、話を元に戻すと。

 出版権の許諾と言うのは、あくまでも「著作者」に主体があって、「出版者」は「著作者から許諾を受ける」形です。例え、出版と言う行為に莫大なお金がかかり、複製をする力を考えれば出版者の方が社会的に力を持っているとしても。

 ここからが、私の心情が混じってくる=多大に主観的になってくる所ですが、契約書を見てると、出版権を得る側が上と読めるような文章に、読めてしまうと言うのが、『ねじれている』印象に繋がっています。先に書いた通り、著作権を考えれば、著作者が上であって、出版者が下だろうと。

 もちろん、民法に言う契約と、契約の自由などから、契約上は著作者と出版者は同格ですよ。でも、実際社会的に同格かと言うと、ほとんどの場合は出版者の方が上だし。

 そういう情勢もいろいろとあって、文言で「権利的に」出版権が上みたいな書き口は、権利関係が「ねじれている」ように見えている訳です。



 この他、個別メッセージの中には、私のコメントに対して、「出版社が著作権を知らない訳が無い。常識だ」と言うような話もあり(そもそも「常識」は反論などの論拠とならない。なるとしても、論拠とするには弱い)、他にも読者の中に同じような考えを持っている人が居るかもしれなため、これも説明しておきます。


 例えば出版者側の原稿紛失問題に関わる言動。ウェブ上に何件か出てるので、細かい事は書きませんが、著作物に対する理解が本当にあると言える行動でしょうか? もちろん、そういうのは一部でしょうけど、常識と言うほどきっちり理解が浸透しているようには思えません。

 例えば小林源文氏とホビー・ジャパン社のやり取り。著作権が出版社にあるという間違いが業界には横行しているという話。出版権による物であれば、出版社は著作権を持ってはいません。

 例えばさくら出版が倒産して、漫画原稿がまんだらげに売られた問題。著作権どころか出版権での義務の問題もあるし、そもそも原稿は著作者に所有権があり、これを債権として扱う権利が出版社には無いのに売ってるとか。

 例えば編集者が勝手に原稿を改ざんした問題。

 例えば同人誌からコピーして改ざんして勝手に掲載した編集者。

 例えば原稿を渡してもその後音沙汰が無くて、著作者がしびれを切らした話。別に定めてなければ、原稿を渡されてから6カ月後に出てない時点で、出版権を引き上げ可能なんだよね。


 他にも著作者(漫画家さんが多いな)と出版社の契約に係わる諸所でぶちまけられている問題。

 二次使用の映画がすごい事になっても、原著作者の作家にどれだけお金が入っているか?とかは、いくつかの情報が出てますね。テルマエロマエの作者さんは、外国の方が伴侶なだけに、ずばずば切り込んでますし。


 このように、出版社であれば著作権を知っている、とは到底言えない諸々。最近だって話はある。

 これらは当然一部ではあろうけど、だからといって「プロなら知っていて常識の話だ」とは到底言えない。プロ足りえない人物が混ざっているのもまた、*当然の常識*の話になるから。

 こういう風に揚げ足取りに終始する事になるから、「常識」なんて物は論拠の前提にするもんじゃない。

 そもそも、こういう風なぐだぐだなのは、出版業界全体が契約書よりも口約束とかで続いてきたとか言う流れの問題もあるし。そういう諸々を常識だと飲み込むのが、果たして良い事と言えるのか?



 とまぁ、『出版権でもって著作財産権を縛る事は出来ない』と言うのは、私の勉強不足も一部ありますが、いろいろと感じていた上で出た一文な訳です。

 これに関してはまぁ、いろいろとひっくり返し直す事になったのもありまして、また隙間を見てまとめてみたいとは思っております。

 そして調べてる中に、出版権に隣接権が欲しいんじゃー問題もひっかけてみたり。これもまた、いろいろとめんどくさい話なんですよねぇ。



 追記はこれにて。

 更なる追記を追加する事にならないよう祈る……無理かなぁ……


 つーか、著作権について、誰かまとめてる先駆者作品ってないのかなぁ。

 出版作家は税金を~みたいなのよりもう一つ前、あなたはこんな権利が認められているんですよ~って話なんから、ありそうな物なんだが。


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