CMで見たヤンデレ乙女ゲームに転生しましたが私、騙されてるぽいです
CMで流れていたイケメン達…私は家でそれを見ながらメロンパンを食べていた。母も父も「もうすぐ30なのだからさっさと結婚しろ」と言ってくる。まだ20だから結婚なんてまだまだと思っていて9年。彼氏がいたことなんて人生を振り返っても欠片すらもなかった。人生でやはり一番衝撃的だったのはやはり、高校のときイケメンと美少女vs美少女の友達のバトルがあったことだ。バトルと言っても肉対戦ではなく美少女がどれだけビッチなのかとか、イケメンの人達が校内で美少女といろいろやっていたことを美少女の友達が全校生徒が集まっている中で暴露し、そのことに怒った美少女が美少女の友達にナイフを向けやばいなぁ…と思っていると素晴らしい美青年が現れその美少女の友達を助けたとかなんやら…
まぁ、今、思い出しているのはただ単に今、私が死んだからかな?
メロンパンを食べた後に蒟蒻ゼリーを食べて喉に詰まらせ私は死んだ。はずだった。
目の前が真っ暗になり冷たい海に溺れていくような感じの中私は目を閉じた。
次に感じたのは暖かさ。目を開けてみるとそこには巨人が‼︎そう思ったが違うようだ。お母さんとお父さんだろうか?どちらも美人だなぁ…さぞかしこの子も美しく…?はっ…もしかしてこれは私の体だったのか?という事はあの有名な転生とやらに私はなったのか⁉︎しかし転生とかだと異世界とか二次元とかだけどなぁ……
まぁ、いいや。
**
まぁ、いいや。なんて赤ん坊の頃の私は思っていた。しかし、世界はそんなに甘くないのだ。
「カテリナ〜」
そんな母の声で私はハッとし、部屋を出て、一階に降りた。
私の名前はカテリナ・アルホート。もちろん女。父はアレス・アルホート。伯爵様だとか。母はリーエ・アルホート。とっても綺麗なお母様。実家は子爵。父もイケメン。父は赤色の髪に翠の瞳。母は白金の髪に藍色の瞳。そんな美しい人から生まれた私は母似の白金の髪に藍色の瞳。顔つきは父に似ている垂れ目と泣きぼくろが色気を40%くらいあげている。そんな私には兄が2人いる。長男、アグレス・アルホート。アグ兄様は父に似た赤髪と母に似た藍色の瞳をしており母の冷たそうな顔つきはとてもイケメン。外見は冷たそうだが、中身は優しく紳士のような自慢の兄様だ。次男、リガルト・アルホート。ガルト兄様は母に似た白金の髪と父に似た翠の瞳をしており、優しそうな顔つきで素晴らしい美少年。怒ると怖い。そんな家族と優しい召使いたちと新しい人生がスタートしています。今、私は8歳。アグ兄様は18歳。ガルト兄様は16歳。
下に降りると母がばあやに怒られていた。内容は淑女が大声で人を呼ぶなとかうんたらかんたら……
お母様は冷たく作り物のような顔をしているが性格はうっかり屋さんで照れ屋さん。とても可愛い人です。
ばあやは私の家庭教師でもあり、母のお母様のお母様のご兄弟の侍女をしていた手練な67歳です。私が降りてくると母はハッとした顔になり私にごはんがもう出来ていると言ってくれました。その言葉に少しテンションが上がり早足で食堂に行きました。食堂といって思い浮かべるのは人がざわざわいる感じですがうちの食堂、まぁ、他のところも似ているのですが、前世でいうところのダイニングみたいなとこです。うちの家部屋層も多いし広いし何LDKだろうか?そしたら王宮は何LDKなのだろう?そんな疑問を抱きつつ食堂の扉を開け、母の向かいの席に座りました。テーブルにごはんがあり今すぐ食べたいのですが、食事の前に神に祈りを捧げるそうです。手を組み無心に祈ります。誰か知らない神に。
さて、空腹の私にはほんの30秒もの祈りさえも30分にも思えます。それではいただきます。
**
今、家には私、父、母がいます。兄達は王都にある学校に行っているそうです。なんとかほにゃらら魔法学校らしいです。略して王都にある魔法学校です。その魔法学校には魔力がある人全てが行くそうです。私はまだ測定していませんが魔法は持っています。
魔法、といえば前世で見たあのCM。あのCMには「市民の私がなんと有名な魔法学校へ⁉︎王子様、騎士様、魔法使い様などのイケメンと出会い、輝かしい日々が……始まったはずでした。なんと王子様も騎士様もヤンデレ‼︎私はどうすればいいのでしょうか?」というような感じだったな。まぁ、乙女ゲームの世界に転生とかどっかの小説でなければありえないでしょ?そういや、CMで出てたイケメンヤンデレ保険医って少しガルト兄様に似ていたよね?まぁ、違うと思うけど。もし始まるとしたらあと8年後私が16の時ですね。アグ兄様は26、ガルト兄様は24の時ですね。
**
こんばんは。食事が終わり、部屋に戻ろうとすると私の侍女アンナ14が私の部屋の隣の隣の物置で何かをしているようです。見つかるとやばそうなので中庭に出ましょう。うちの庭はとても綺麗で前世では何これ?と思う花も多数ありますがとても綺麗で月に照らされとても幻想的な雰囲気です。その庭をうっとりと眺めていると隣から
「綺麗だね」
と美声で言われました。
「そうですね」
淡々と返した私は少し不思議に思いました。綺麗だねと言った声は聞きなれた声ではなかったからです。
隣をふと見上げると素晴らしいイケメンが立っておりました。銀髪に新緑を感じさせる翠の瞳。そしてイケメン。作り物のように繊細で美しい顔でした。そういえば私ここに生まれてから顔、顔ばっか言ってる気がします。
「こんばんは。お嬢さん?」
「誰ですか?」
「え?僕?」
「はい」
「精霊だよ。月の」
「へー。そうですか」
なるほど月の精霊さんでしたか。納得納得。
「君はなぜここにいるのかい?」
「なんとなくです。それならばあなたはなぜ?」
「君と同じようになんとなくだよ」
「では、なぜうちにいらしゃったのですか?」
「君に誘われてか、な?」
嘘っぽい。もしくはこれが本当で月の精霊は幼女に誘われたというのなら前世で言う所の紳士、いや、ロリコンですね。
「変態でしたか…」
「違うよ‼︎普通の月の精霊だよ?」
20代後半の男性が目をうるうるさせるの気持ち悪いです。変態+気持ち悪いとか生理的に受け付けません。どんなイケメンでも許されることと許されないことはありますよ?例えば幼い子に性欲を感じるとか。
「何考えてるのかわからないけど、僕はアルトだよ。君は?」
アルト……じゃあ私は変態に名前を呼ばれたくないので偽名として
「私はソプラノです」
テナーとかバスでもよかったけどやはりソプラノにした。
「ソプラノとアルトか…少し似ていていいね」
似ているというかねぇ……まぁ、いいや。
「あ、君にも聞きたいのだけど、僕の年齢何歳だと思う?」
そういうの聞く人って年をめちゃくちゃとってる人か外見が老けてる人ぐらいだよ?
「んー…562歳」
「え⁉︎なんでわかったの?」
え!?当たっちゃったの?適当だったんだけどなぁ…
「お、女の勘?」
「そっかーすごいねぇ」
この精霊案外簡単に騙されそうだな…
というかもう暗いし、寝よう。この男に朝まで喋りかけられるとたまったもんじゃない。明日は魔力測定の日なんだもん。
「あ、もう部屋にも取らないとお母さんに怒られちゃう(棒)」
「そっか…もうそんな時間かぁ…明日の夜もここで待ってるね?My sweet honey」
最後とか意味わかんない。私の甘いハチミツゥ?知るか。そう思いながら急いで屋敷に入ると自分の部屋に走った。ばあやに見つけられたら淑女は走るなとか言われそうです。しかし、走る。そして辿り着いた自分の部屋の扉を開けの前にはアンナが立っていた。
「お嬢様‼︎どこにいらしたのですか?」
「中庭よ」
本当は走ったせいで息苦しいがそこを隠すのが淑女。淑女なんてどういうものかわからないけど。
そんなこんなで私はベットに入るとすぐに寝てしまった。
**
チュンチュン、チュンチュン
雀の鳴き声が聞こえる。しかし、この世界に雀などいるのだろうか?本当は鷹のような鳥が鳴いているのではないのか?そう思いながらベットから降り着替えて食堂に行った。もう、母も父も起きていたのですぐに食べられた。夜に母と父が何かをしていると私が起きてきても父も母も遅いので待たなければならない。母は昼まで寝ているらしいが。そういう下ネタは止めて早く用意しなければ。
でも、私の前世はそういうのを案外目の当たりしたことがあるから辛さがわかる。父と母があーゆうことを子供が見たり聞いたりするとやはり子供はショクを受けるだろう。昼は自分の知っている優しい親なのに夜の出来事のせいで親が汚く見える。それが幼い時に目をしたらなおさらだ。もしかしてだけど前世の私が結婚できなかったのはそれのせいではないのだろうか?まぁ、それはいいとして部屋に戻って早く着替えなければ。
**
私は揺れる馬車の中でふと考えていた。
これから行く場所は王都。もしかしたらここが乙女ゲームだということがわかるかもしれない。攻略者に出会うとか?でも、ガルト兄様が攻略者だとすればどうして病んでしまったのだろうか?どこにその原因があるのだろうか?もしかして女性不信とか?学校でイケメンすぎていろいろな人に狙われたから?それもありそうだなぁ…。はぁ…。でも今日は王都に行くからお兄様たちと会えるかなぁ?夏休みとか冬休みとか長期の休みぐらいにしか帰ってこないから…。楽しみだな〜
アグ兄様は頭も良くて体を動かすのが得意で魔法も中級はほとんど使えて上級は少し使えるそうだ。上級を使えるだけでもすごいらしい。そしてイケメン。冷たそうな顔にしっかりと引き締まった体。よく均等の取れた体に抱かれたいと思う男子も出ているとか。そして性格は優しく冷たそうな顔がふんわりと和らぎ優しい笑顔になるとそこらへんにいる女子は全てノックアウト‼︎
ガルト兄様は頭がよく天才すぎて言っていることがあまりわからない。魔法バカで上級魔法をバンバン使うそうだ。体を動かすのは普通の人よりは上だとか。そしてイケメン。甘い顔立ちに高身長。アグ兄様よりも2cmは下だが。そして性格は優しく人当たりが良く社交的。しかし、怒ると甘い顔立ちから怒りの表情。この時のガルト兄様はアグ兄様の普段の顔より冷たく怖いらしい。そこを好きになる女子も多数。
どちらも婚約者は居ないとか…
んじゃ、兄様の紹介もしたので私の自己紹介も、カテリナは家からあまりでない箱庭系女子。中庭で遊ぶ姿は天使と呼ばれている。白金の髪は光に当たるとキラキラと輝き垂れ目の二重、藍色の瞳はいつもうるうるで、小さな唇はピンクでいつもプルプル、肌は白くもちもち、睫毛は長く藍色の瞳を目立たせている。性格は淡々としており冷たい。
この世界には魔力というものがありそれを持っている人は少ない。遺伝することもあれば突然産まれてくることもある。しかし、持っている人はそれぞれの国の魔法学校に入らなければならない。国としては魔力を持っている人は国から出て欲しくないし、人間兵器になるから国から出したくないとか…
魔力には色があり赤、青、黄、緑、白、黒などとあり赤だと火、青だと氷や水、黄だと土や雷、緑だと風や草、白は回復や結界などの光魔法、黒は召喚術や呪術などの闇魔法。普通は純色の一色だが、魔力が薄い人だとピンクとか水色とかがでる。魔力をたくさん持っている人はその色が混ざるらしい。昔に色がグッチャグッチャのとても汚い色合いの人が出たがその人はめちゃくちゃ強かったとか…アグ兄様は赤と青が使える。ガルト兄様は青、緑、黒が使える。
さてもうすぐ着くそうなので私はウキウキしながら待っていた。
王都に降りると目の前にあった神殿?ぽいとこに連れて行かれた。その中には綺麗なお姉さんや綺麗なお兄さんがいた。あと、おじいさん。おじいさんの前には水晶みたいな透明なものがあった。透明だが覗いた先は見えなくて本当に透明なのか疑いたくなる。おじいさんの前にある水晶のようなものに手を置けと言われたので置くと変化はなかった。母は驚いた様子で私の頭を撫でてくれた。何故に。お姉さんやお兄さんがその水晶を覗いて叫んだ。
「透明!!!!!??????」
なんだ?と思い水晶(?)を除くとさっきは見えなかった向かいのものが見える。さっきと水晶が違うのだろうか?そう思っていると奥から変な石(またもや透明。しかし少し白濁している)を取り出しまたもや手を置けと言われたのでまたかよと思い少し強めに手を置くとその変な石は割れた。木っ端微塵に割れた。私の力で壊れたのだろうか?ならば私には魔法よりも騎士が向いていると思う。
糸目のおじいさんも目を大きく開けている。隣のお姉さんなんて平然としたふりをしているがその大きなお目々が落ちそうです。
早くお兄様たちと会いたいです。
**
今、私は王宮のある一角で変なことをしています。アグ兄様とガルト兄様と一緒に。
まず、魔法の出し方らしいです。ガルト兄様が言うにはぐるぐるとしているものを体の一部に集めて放出すればいいと言うのですがさっぱりわかりません。アグ兄様に教えてもらいましょう。アグ兄様は体にある不思議で変なやつを体の真ん中ら辺に持っていくというか意識して、それを手などに持っていけばいいらしいですがやはりわからない。そしてお兄様たちに言われた言葉は実践あるのみ。
体の中にある変な物体………………これ?なんか色々あるけど一番暑そうなこれを手の方に持って行って出す!
ゴオオオォ
手から出てきたのは炎の竜巻?みたいなの。火炎放射器的な感じのあれ。お兄様たちがその炎を消そうとしているがまだ私は消す気がないぜ。色々やっているが効果はあまりないようだ。ガルト兄様が私の上から水を落としてやっと私は正気に戻った。危ない危ない。熱い人が乗り移ったぽい。しかし服がびしょ濡れなのでさっきの応用として服を燃やさない程度に風と組み合わして………………ドライヤー!!
熱風が部屋を通りけるとそこには乾いたドレスが‼︎
はい、次行こ。そうおもいやろうとするとお兄様たちに止められた。何故に。
**
はい、皆様こんにちは〜
え?私?カテリナですよ〜‼︎今は、15歳です。あの日から数年数ヶ月……月日は流れ私はいつの間にか美しい美人になりました。今日は家でお兄様たちと特訓です。魔法の。あの透明の魔法は全てを合わせてというか透明=何色にも染まる=魔法の全部が使えるチートとなりました。私の膨大な魔力は人間兵器となり世界を滅ぼすなんて言われています。そんな荒っぽい人ではないのだが…アグ兄様は学校を卒業後うちに帰ってきて今は次期伯爵としてお父様のそばで働き中。ガルト兄様は王宮の魔法研究所に誘われたが私のことが心配で魔法学校の保険医になってしまいました。なんていうことだ‼︎
アグ兄様はイケメンに貫禄がチョピッと増え学校の時よりもさらにモテています。ガルト兄様は保険医の危ない(?)雰囲気がまたしも色気を増やしていて女子生徒の方々はフラフラだとか。
私はあの8歳からなんと15にはボッキュンボンに!なりました。やはり母の血ですね。15になると成人まであと1年なのでみんな婚約者だとか恋人だとかうはうはだとか…うちは恋愛結婚推奨派なので婚約者が居ません。ま、まぁ20超えたら婚約者を見繕ってくれるはず…もちろんお兄様たちは婚約者も恋人もいません。だからと言って奥さんも居ません。モテモテではありますが。
庭に出るとガルト兄様がいました。ガルト兄様と今日は特訓ですね。頑張りましょう
**
(色々展開が早いのは作者が面倒くさがっているからです)
ガルト兄様と魔法の特訓をしていました。最終的にはガルト兄様が魔力を消耗し、倒れてしまいましたので終わりました。私としてはもう少しやりたかったですが…
食堂に行くとお兄様たちとお母様とお父様が揃っており少々驚きながらも食事につきました。昔は、全員揃ってというものがなかったので最後にこうなることはとても嬉しいです。しかし、最後に家に居られるのも今日まで。明日には学校に行かなければなりません。なので、アルトにもさようならをしなければなりません。最後なので私の涙腺が緩みそうなのでさっさとさようならを言ってアグ兄様とお別れしてお母様たちともお別れして寝なければなりません。
なので中庭に出ると昔と変わらないあの風景が広がっていました。月夜に煌めく花々にもお別れしていると
「綺麗になったね、昔よりも」
「そうですね。花たちも綺麗に咲きましたから」
やはり隣にいたのはアルトだった。そうお別れをしなければ………………
「んじゃ、バイバイ」
「はっ?」
そうバカみたいに口を開けてポカーンとしているアルトに別れを告げ屋敷に入った。そこでお父様の部屋に行こうとするとお兄様たちとお母様がお父様の部屋に入って行った。なんだろうと思い扉の隙間から覗いてみた。
「ねぇ…本当にあの子は学校で死んでくれるの?」
「ああ、死ななければ殺すしかない」
「…あの子が死んだら本当に世界に戻れる?」
「そりゃあそうでしょアグ兄さんは疑ってるの?」
「まぁ、僕もちょっと疑うよ。あの子がこの世界に来てしまって以来あの世界いや、ちゃんとした世界に戻るのかってね」
そこにはお母様、お父様、アグ兄様、ガルト兄様、アルトがいました。みんな不穏な話をしていますが………?
「あの子は学校で死んでもらって死んだ彼女を取り戻すのでしょう?」
「ああ、偽物ではなく本物の私たちの子供を」
「絶対あの子には秘密にしとかないと」
「あの子にばれないように…」
……私は静かに廊下を走った外に出て真っ暗でも走った。そうすれば気持が落ち着くと思って。走って走って、しんどくなって歩いて、辛くなって歩いて場所はわからないがどこかの森に迷い込んだようだ。そこをまっすぐに歩いた。ただただ考えていた。みんなが私を殺そうとしているのか?それともお父様が別につくった子とか…?産まれてこの方15年前世を足すと44年。こんなことは初めて目にした。みんなに私は殺されてしまうらしい。そして彼女という子が私の代わりに…いや、彼女の代わりが私だったのかもしれない。完璧に騙された。そういう絶望とみんなを愛してたときの悲しさなんとも言えない不安それが渦巻き私はどうしようかと悩んでいた。歩き続けてどこかに出てもいつかは見つかる。それならば学校に行き死ななければいい。その後に王宮とかで働いて生き続けよう。そう思い私は戻るためにまた歩いた。学校に行ったら体に結界を張ってそのことがわからないように生きよう。
**
私は学校に入学しました。あの日は家に帰り寂しくてちょっと逃亡しちゃったと言った。その後ガルト兄様と学校に行った。ガルト兄様に話しかけられても昨日のことを思い出してしまいそうですねや曖昧な笑顔なので返事をしていた。それは仕方ないのかもしれない。私にはガルト兄様と距離を持ちできるだけ話したくなかったのです。そして入学した日。私は2回死にそうになりました。一つ目は足を滑らせ階段から落ちそうになったこと。もう一つは図書室を案内してもらっているときに本が落ちてきそうになったとき。全て魔法なので避けたので大丈夫でしたが本当に危なかったです。
そして私には友達ができました。濃いピンクの髪のアリーエという子平民だそうです。この子があのCMでの主人公ですね。絶対。そしていろいろ信じ合える仲間もできました。
時は立ち私は17になってにました。そこで考えたのがアリーエのこと。私が16の時に入ってくるはずだったのになぜ?とそしてもう一つ。長い休みの時家に帰るとみんな焦っていました。きっと私が死んでいないからでしょう。みんなは学校で死ねと言っていたのでもしかしてどこかに何かがあるのでは?と思い休みが明けた時に学校で探していました。しかし、証拠も何も欠片すら見つからないのです。苛立ってた私は生徒会室で風魔法を暴走させてました。私は副生徒会長で会長がまだ来ないことにもイラつきながら竜巻の真ん中にいました。生徒会室には私一人だったので問題はありませんですが。生徒会長のセシルはイケメンの男らしい人です。信頼できる人です。生徒会庶務のアリーエも信頼できる友人です。生徒会書記アラートは黒髪無口の男子ですがとても優しくやはり私の信頼できる人です。風紀委員のルリーナはとても綺麗な青い髪をもつ美少女です。正義感が強く私をよく助けてくれました。
みんな遅いのでイライラしていると書類が沢山落ちていたので後でセシルを責めてやろうと思いテーブルに書類を載せようとしました。が、変な書類が目に入りそれを除くといろいろ手書きで書いてあった。
『彼女は教会の地下にいる。卒業式には必ずあの子を殺して彼女と入れ替えよう。早く彼女と会えないのだろうか?』
最初の文字は書記、アラートの綺麗な文字
『彼女はあの花の中に眠っている。早く起きてほしい。また、お出かけしたい。みんな待っているのになんであの子が死んでくれないの?』
次の文字はルリーナの几帳面な字
『あいつがいないと生徒会はなりたたない。学校だって寂しい。アリーエだっていつも泣いている。早く戻ってきてくれ』
荒っぽいセシルの字
『寂しいけど綺麗な教会であなたの家族と他の人と協力してあなたを眠らしたの。もうすぐあなたは帰ってこられるからね。また、みんなで遊ぼうね』
丸っこい愛らしいアリーエの字…
その下に続くメッセージ。全て彼女に注げられる愛。辛いような苦しいような…
ガチャ
そう扉の音がして私は驚いた。しかし音は隣の理事長室だった。もしかしてだがもうすぐ卒業式だからだろうか?新しい生徒会はもう決まってるし楽しみだなぁ…
「………………で…」
少し声が聞こえるようだ。さっきの紙を棚のもとにあったと思われる場所に戻した。そしてそっと壁に耳をつけるという淑女としてあるまじき行為をしながら耳をすましていた。聞こえてくる声は父と母とばあやとお兄様たちとアルトと生徒会の人達だった。
「あの子は死んでいないじゃない‼︎どうする気⁉︎」
「卒業式に死なない場合殺そう」
「そうだな」
「その前に死んでくれれば嬉しいが…」
「無理だよね…」
「早く彼女と会いたい……あの子なんていらないのに‼︎」
そういうアリーエの声に私は壁から耳を離した。そしてまた少し間を置きまた耳を当てた。
「あの子に会えなかったら…?」
「彼女が大切なんだ…だから生きてもらわないと」
「そうね…」
「明後日にあの教会に行こう」
そういう威厳のある理事長の声でみんな納得したようだ。その後、みんな出てくる音がしたので私は壁から遠く離れた椅子にスライドジャンプ。綺麗に決まり足を組みまるで怒ってましたという風に風に竜巻を起こし入ってきた人をびくらせました。
**
卒業式1日前。ふと私はベットに入りながら考えていた。明日死ななければ私は殺されると。愛する人から裏切られ殺される。それはとても悲しい。ならば明日より先にその彼女を殺せばいいのでは?いや、この世から存在を無くせばいい。みんなよりも先回りして…早く行かなければ。そう思いもしものための短剣を持ち私は夜の街を走った。そして頭を働かせた。学校に何かがあることは確か。花畑。教会。そういえば学校の旧校舎の裏には花畑があるとか噂で聞いたことがある。そこに教会が?必死に走りながら私は考えた。学校と寮は案外距離があって中から行くほうが近いけど他の人に見られて大変なので寮の裏口から外に出て走った。外からだと遠く日が見えるくらいにやっと学校についた。息を切らしながらも校舎の中庭を走り北のほうの校舎の裏に旧校舎があった。そこをまっすぐ進みと花畑が広がっていた。露に濡らされ朝日が差して花はとてもキラキラしておりとても綺麗だった。そこから教会を見つけるのも大変だった。花がたくさんありどこをどう行けばいいのかがわからないので適当に可愛い白い花を追っていった。そこを進むと教会があった。もう、8時ぐらいだろう。みんな私がいないことを気づいているだろう。そう思いながら教会の扉を開けた。教会の扉は鉄で出来ており内側から鍵がかけられる仕組みで、外からも鍵があれば開けられる仕組みだ。壁は真っ白な石で作られている。中は少し埃っぽくこじんまりとしている教会だった。扉の鍵を閉め、中をそっと見渡した。奥のほうの真ん中には祭壇のようなものがありその上には紙の束といろいろ置いてあった。その斜めうしろには古そうなオルガンがあり、奥の壁に綺麗なステンドグラスがありとても綺麗だった。祭壇のほうの壁を触っていると少しカチッとした音がありやはりと思った。あの書類には教会の地下と書いてあった。だいたい隠されていると思ったから前世に見た小説あるあるでは床や奥の壁というのがテンプレだったからわかった。その隠し扉を横にスライドさせようと思ったら外から声が聞こえてきた。鍵どこ?などが聞こえる。うちの国の王子様などの声も聞こえる。早く行かなければきっと私は後悔する。そう思っていると外から声が聞こえてきた。
「お願い!開けて!その子を消さないでお願い‼︎」
「お母様?」
「そうよ‼︎開けて」
私は扉に近寄り、
「もう遅いの、彼女ばかりそんなに大切なの?」
「お願いよ‼︎カテリナ‼︎開けてぇ‼︎」
「そんなに大切な彼女なのね。アリーエ」
「あのさぁ…もうそういうのやめて出てこよう?どうせもうすぐ開くんだからさ?」
「そう、あなたは書類に愛を綴るほど大好きな彼女だもんね。アラート」
「カテリナ…」
「もう、何も信じられないわ。お兄様もお母様もお父様もアリーエも全員大っ嫌い‼︎」
そう言って私は祭壇の紙切れをなんとなく取り、走って地下に降りた。地下にも扉があり木製で頼りないがそこに入り私は棺桶を燃やそうとした。しかし、みんなに愛されるそんな子を一目だけ見てみたいという興味に勝てず、棺桶の蓋を開けた。
その瞬間私は時間が止まったのかと思うほど固まり目を擦った。中には黒髪のカテリナに似た愛らしい女の子が入っていた。そう、これは私だった。本当の。知ってるような知ってないようななんとなく既視感を感じながら私は思った。そう、ここは乙女ゲームの世界。でも、本当の世界はここではなくこの子がいる世界。ふと、見た紙切れには世界から抜け出す方法が書いてあった。それは乙女ゲームを終わらせ死んだ人の代わりを殺すこと。みんなは私…カテリナを生き返らせるために前世の記憶を持ったカテリナではなくカテリナを生き返らせるためにこの世界…乙女ゲームがあった。そう、44年間の私ではなく17年のカテリナが大切だったんだ。ここにきたのはカテリナではない人を殺すため私をカテリナに似た器に入れているだけなのね。階段から誰かが降りてくるみたいだ。
さぁ、みんながお待ちかねの終幕を飾ろう。大切なみんなのために私はまた死ぬ。でも、後悔はしていない。次には前世の記憶がないままどこかにまた産まれたいな…そう思っているともうすぐみんなが来るようだ。ポケットにいれた短剣を胸に刺した。そのまま意識はどんどん薄れていった。みんなが何かを言っているのもわからない。でも、こんな前世の記憶を持っていた私を生かしてくれて
「ありがとう、大好き」
少し掠れた声でつぶやいた。とても胸が痛くて痛くてしょうがないが今はあのモヤモヤとした霧は晴れている気がする…いつかはまたみんなと一緒に遊びたいな…そんな未練を少し残して私はあっけなくでも安らかに本当の永遠の眠りにつけた。