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真珠湾に向けて

 そして十一月二二日、択捉島えとろふとう単冠湾ひとかっぷわんに『加賀』を除く一、二、五航戦が入港した。(『加賀』は翌日入港) 

 その編成は次の通り。

 一航戦 赤城、加賀(空母) 

 二航戦 蒼龍、飛龍(空母)

 五航戦 翔鶴、瑞鶴(空母)

 三戦隊 比叡、霧島(戦艦)

 八戦隊 利根とね筑摩ちくま(重巡洋艦)

 一水戦 阿武隈あぶくま(軽巡洋艦)

     第一七駆逐隊 谷風、浦風、浜風、磯風(駆逐艦)

     第一八駆逐隊 不知火しらぬいかすみあられ陽炎かげろう(駆逐艦)

     秋雲(駆逐艦)

 第二潜水隊 伊一九潜、伊二一潜、伊二三潜(潜水艦)

 補給艦七隻

 帝国海軍はこの艦隊でもってハワイに奇襲攻撃を行う。


 そして、十一月の二三日に遂に今まで隊長以上にしか明かされていなかったハワイ奇襲が、全ての士官、下士官、兵に明かされたのだった。

 その後、ハワイ奇襲を控えた艦内で最後の酒宴が行われていたのだが、空母達の発案で空母と舟魂が見える搭乗員達で酒宴が開かれることになった。

 飛龍の艦内を飛龍、翔、秋月の三人が歩いている。

「それで飛龍さん。その場にはどのような面子が揃うのですか?」

「さあね。私も赤城達の交友関係を把握しているわけじゃないから」

 話を続けている間に三人は、艦内でも滅多に人が寄り付かない区画に来ていた。

「さあ、私の手を握って」

「そういえば、俺は飛龍さん達舟魂の移動手段を見るのは初めてですね」

「そうなのか? 俺は姉さん達に連れられて何回も経験あるがな」

「始めるよ」

 そして、飛龍が目を瞑ると三人の周りが輝き始める。その光が消えた時には三人は『赤城』の艦内に居た。

「やあ、来たな飛龍。そっちの二人が連れか?」

「ええ、赤城は誰を呼んだの?」

 飛龍の問いに赤城は部屋の奥で手持ち無沙汰にしていた二人の搭乗員を呼び寄せた。

「ウチの艦攻隊長の村田と戦闘機乗りの御堂だ」

 赤城の紹介を聞いた途端に、秋月の顔が驚愕に染まる。

「む、村田少佐でありますか!? 少佐も舟魂を見れるとは・・・」

「何もそんなに驚くことでもあるまい。俺が居るくらいのことで」

「そんなことはありませんよ! 自分は村田少佐から雷撃の極意を教わりたいと思っていましたから」

 鼻息荒く迫ってくる秋月に、村田はやや引き気味に対応する。

「極意といっても貴様も一飛曹であれば、それなりの経験を積んだベテランだろうに。それに貴様らが乗っとる『飛龍』の艦攻隊長には楠がおるだろう?」

 しかし、それでも引かない秋月に村田が助けを求めるように周りを見るが、すでに翔によって赤城、飛龍、御堂の三人は避難していた。

「あいつは夢中になると、周りが見えなくなって話も長くなるんです。村田少佐には悪いですが犠牲になってもらいましょう」

 その後、加賀は残念ながら艦に舟魂を見れる者が居ないので一人で到着。蒼龍は九九式艦上爆撃機(九九艦爆・二人乗り)乗りで、二三歳の桜井誠さくらいまこと中尉を、瑞鶴は後に撃墜王げきついおうとして知られる岩本徹三いわもとてつぞう一飛曹を連れてそれぞれやって来た。そして最後に翔鶴が、一九歳で今回のハワイ攻撃で初陣を迎える津嘉田永臣つかだながおみ三飛曹を連れて来たのだが、事件はその時起こった。

「おお! 津嘉田ではないか! 霞ヶ浦以来だが元気にやってたか?」

 御堂が声をかけた途端に津嘉田の顔がみるみる青ざめていく。

「永臣? ・・・顔色悪いけど?」

 翔鶴が心配そうに津嘉田の顔を覗き込むが、その目は死んでしまっている。翔鶴は何事かと御堂の顔を見るが、彼はニヤニヤしているばかりである。

 ――ああ、もう駄目だ。世間は狭い、もう助からん。

 津嘉田の頭内では、そのような思いがグルグルと回り考えがまとまらない。それもそのはずで御堂は津嘉田が予科練で実習を受けていた際の教員なのだ。

 御堂は霞ヶ浦時代に教え子達から悪鬼羅刹と恐れられた教員だったのだが、津嘉田は御堂に迷惑をかけっぱなしで、借りも多数作ってしまい、ようやく卒業し逃げられたと思って一年。初陣を前に意気揚々とやって来たら御堂飛曹長が笑いながら待っていたのだ。

「そういえば津嘉田。貴様はもう初陣は迎えたのか?」

「い、いえまだです」

 御堂の問いに津嘉田は緊張しながら答える。御堂はそんな津嘉田に厳しくも優しさを含んだ口調で話し始めた。

「そうか・・・いいか津嘉田。初陣というのは誰でも興奮して、必ず撃墜すると意気込んで出撃するものだ。だが、そこで一旦冷静になり考えろ。生きて還ればまたチャンスはある。だから撃墜ではなく、生きて還ることを第一義に考えろ。俺が言えるのはそれだけだ」

 御堂の言葉に津嘉田は真剣にうなずく。

 その後、酒宴は進行していく。村田は諦めて秋月と話し、翔は岩本と戦地での思い出話に花を咲かせ、それを瑞鶴と加賀が聞いている。御堂は津嘉田と翔鶴に戦闘の要点を説き、桜井は蒼龍と静かに飲んでいる。赤城は色々なグループに出たり入ったりとそれぞれに楽しんでいた。

 そのうちに誰が言い出したのか、写真を撮ろうという話になった。そこで翔と秋月と飛龍の三人で霧島を叩き起こしに行き、霧島にカメラマンとして来て貰うことになった。                

            

       瑞鶴 岩本 翔鶴 津嘉田 蒼龍 桜井 加賀                                    撮影時の配置  

         村田 飛龍 翔 秋月 御堂 赤城


「はぁ~。じゃあ撮るよ~!!」

 流石にブラコンの霧島でも、酔って気持ちよく寝ていたところを叩き起こされては不満なようである。そしてシャッター音が響き撮影は終わり、撮り終わった霧島は眠そうに帰っていった。

「この写真が完成して皆に渡せるのは、おそらく作戦終了後だ。だから皆は必ず生き残って写真を受け取りに戻って来ること。いいな!」

 赤城の言葉に全員が頷き決意を新たにしたところでその日は解散となった。 

 そして、南雲機動部隊は一一月二六日にハワイに向け単冠湾を出撃した。 

今回の話でメインメンバーがほぼ全員出揃いました!(一部現在フィリピン方面で作戦中のメンバーがいます。そちらのメンバーは真珠湾編後の登場します)

撃墜王の岩本徹三さんも登場です。(彼は途中で瑞鶴から退艦するので恋愛無し)

では、また次話で

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