友と家族と
翔が振り向くと、そこには一人の搭乗員の姿があった。
「秋月! 秋月一志じゃないか! 艦攻に転向したとは聞いていたが。いつ以来だ?」
翔を呼び止めた搭乗員は、秋月一志一飛曹であった。彼は翔と同じように舟魂が見える。二人は歳が一緒で、配属された艦が『榛名』と『霧島』ということもあり姉妹を介してあうようになり、すぐに友人になった。その後、同じ年に操練に入り二人とも戦闘機乗りになったが、秋月は二年後に艦攻に転向する。
翔は驚きながらその搭乗員に駆け寄る。搭乗員の方も小走りで翔に近づいてくる。
「俺が戦闘機から艦攻に転向したころだから、二年ってとこかな」
二人はさらに話そうとしたが、翔は注意点を指摘されている最中であることを思い出したため。そこで話を切った。
「すまんが一志。今は色々と立て込んでるから、夕食の後にでもゆっくり会おうや」
「おう。そんじゃあな」
翔の言葉に気を悪くするでもなく、彼は立ち去っていった。
数時間後、格納庫内に二人の姿があった。
「それにしても南京で会って以来だが、艦攻に転向してその後はどうだ?」
「いや、これがかなりいい感じなんだ。二年間戦闘機に乗った経験が生きて。かなりの戦果をだせた」
その後も二人の思い出話は尽きなかったが、途中で秋月が顔を曇らせた。
「そういえば、この前久しぶりに霧島さんと会った時に聞いたんだが。お前、まだ金剛さん達から距離を取ってるらしいじゃねえか」
その言葉に翔は痛いところを突かれたような表情になる。
「この前まで前線に居たってのもあるけど、やっぱ喧嘩別れだったわけだし。踏ん切りがつかなくてな」
「しかし、俺達は明日をも知れぬ飛行機乗りだぞ? 今はこうして空母に配属されて内地にいるが、いつ出撃命令が下るかもしれん。そして生きて帰れるとは限らない」
彼の言葉を聞き、翔はしばらく考え込んでいたが。やがて顔を上げた。
「決めた。次の休暇にでも会って謝ってくる」
「おう! そんじゃあ今日はこの辺にしとくか。これ以上は明日の訓練に響く」
そう言うと二人はそれぞれの部屋へ向かっていくのだった。
数週間後、猛訓練から開放され、数日の休暇を手にした翔の姿は『榛名』を望む岸壁にあった。訓練中に出会った『飛龍』の舟魂に頼んで手紙は渡してあるものの、やはり不安は不安である。
――しかし、飛龍さん笑顔で快諾してくれたけど、あの顔は絶対にラブレターあたりと勘違いしてるよ。
などと翔がげんなりしながら待っていると、後ろで光が弾け人が立っている気配がした。振り返るとそこには、金剛を筆頭として姉妹が揃っているではないか。
「あ、姉さん達。ひ、ひ、久しぶりだね」
――ち、ちょっと待って!? まだ心の準備ができてないんだけど~!!
表面上は普通を装っているものの内心は汗だくである。
と、翔が内心で焦って何も話せないでいると、金剛が表情を緩めて翔を抱きしめた。
「本当に久しぶりだな翔。心配かけさせるなとあれほど言ったろうに」
「ち、ちょ、金剛姉さん! 俺はもう子供じゃないから! 恥ずかしいって」
翔が顔を赤くして拒絶するも金剛は抱擁とく気配を見せない。すると霧島が前に出てくる。翔は助けが入ったと思ったが、事実はその逆であった。霧島も抱きついてきたのだ。さらに比叡も、そしてやや迷いながら榛名も翔を抱きしめた。
「潰れる! 潰れる~!!」
翔はバランスを崩し倒れ、岸壁に悲鳴が響き渡るのだった。
ストックが8話までしかないのに書く気が起きないw




