1 しょっぱなから酷い目にあう主人公。
真夏は過ぎたといえども、残暑が厳しすぎる東京都心。
学校の校門へ行くにはどうしても通らなければいけないだらだら坂を、ひたすら登ること5分。
き、帰宅部の私には、つ、つらいよ…。
それでもあえぎあえぎ学校へ到着。そして、友達の声が…。
「瑠衣、なんて言うと思う?」
「えー大丈夫でしょ!るーさんすごい器大きいし、やさしいし!」
「で、でもアレルギーとかお持ちだったら…」
「やよっさんは心配し過ぎなの!あー、来た来た!瑠衣ー!」
この暑いのにぶんぶん両手を振り回すわが友その1。そしてその後ろにはわが友その2、その3。
「るーさん!はやく!」
だらだら坂をのぼってきた私にまた運動させるのか!わが友その2、あなたは悪魔?
「おはようございます、瑠衣さん…、大丈夫ですか?」
優しい声をかけてくれるのは、わが友その3あらため北沢弥生。
「や、やよっさん…」
「はい、お茶どうぞ。」
やよっさんが水筒を渡してくれる。さすが、お嬢様。そのへんのわが友1,2とは大違い…。
私はお茶をぐびぐび飲むと、復活!こんなにはやく復活できたのは、やよっさんのあふれるないやさしさのおかげだね、きっと。
「ありがとう!!」
復活して元気はつらつの私。やよっさんはニコニコ顔で、いつもの「お嬢様オーラ」が半端ない。
二回ほど「お嬢様」っていったから察してるとは思うけど、やよっさんの家は超が5こぐらいつくほどのお金持ち。
お父さんは世界規模に有名な大手機械メーカーの代表取締。←うん、社長ってことね。
お母さんは大手食品会社の令嬢だったって聞いた。←うん、いわゆるお嬢様ね。
そんな彼女が、なぜこんな公立中学校にいるのかは、友達のわたしたちにさえ知られていない。やよっさんが自分から言わないなら、わざわざ聞こうとも思わないしね。
「あのね、るーさん!」
「お願いがあるんだけど、いい?」
わが友その1,2が、心なしか上目づかいで聞いてくる。なんですか。何アピールですか。
「何?」
「私たち、えーと、その…」
早く言いなよ、と言おうとしたその時、
バッコォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
というものすんごい衝撃音と、頭にものすんごい激痛。え?何、何?なn
そして当然ながら、意識が「ぷつっ」ととだえた。