白い灰
翌日
憂鬱に駆られながらも学校に刻々と行く時間が近づいていてくる。億劫な気持ちを押さえつけて、布団から這い出て顔を洗う。いつもは自分で作るのだが作る気もしないし第一時間もない、買い置きしておいた食パンを焼かずに何もつけないで貪り、歯磨きをして制服に着替えて足早に学校に向かう。今の時間だとギリギリに間に合う。いつもはこんなことをしないのだが今日はなるだけ人と会いたくないというより話す時間を作りたくないのだ。しかしうちの学校は何を考えたか普通の学校は金曜日の1限目にあるLHを月曜の1限目にやるのだ。普段なら休み明けで気だるいからいい調整時間になるのだが、今日は違う。絶対あの人はやる。
教室に着くと何故かもう桐谷先生が教室にいてすぐにホームルームを始めそうにしてうずうずしている。目がやっと来たかはよ座れ、話を始めるぞとギラギラしていた。やっぱりこの人やる気だ。
「よーし、まだ時間ではないが全員いるから始めるぞ。今日は余談が長いしそのあと質問責めしたい人が出てくるだろうからな。」
周りのみんなは特にそういった要素があったかと首をかしげる。要素とは本人の了承があればこの人恋人関係とかをばらし祝福しつつ盛り上げて一応教師として釘だけは刺すが本人もこういった話題が好きなのか楽しんでいるのだ。妻子持ちなのに、いや妻子持ちだからこそか。ただこれで確定だ。絶対僕のことだ。
「まず1つ目に、明日避難訓練があるから覚えておかないように。一応義務だから伝えておくけど知っ
ていたら本当の時に対処できないかもしれんからな。2つ目に2年のHさんとうちのクラスのやつが付き合い始めたらしい。この情報は極秘ルートから入手したからまだ誰にも話さないように。」
「先生、そうやって噂とは広がっていくんですよ。」
と野次が飛ぶ。それに釣られて笑いが起きて、犯人探しをしようとするものが出てくる。
「いやちょっと待て、まだ先生の話は終わってないぞ。むしろここからが本編だ。」
というとしんとなる。このクラスは一応進学クラスなので悪乗りする奴がいても基本的には優等生なのだ。
「昨日のNHK教育の将棋の番組見た人いるか?」
やっぱり、きた。というかそれ僕の了承とってないじゃないですか。しかしここで声を上げるとばれるので黙っている。すると、櫻井夏奈さんが、
「父が見ていたのを少し、なんだかトーナメントで高校生が出てるとかなんとかで、よく分からないので聞き流しましたが。」
「おお、見てたか、誰もいないかもしれんと思っていたから一応録画して持ってきたが、誰か見覚えがあるやついなかったか?」
ちょっ、先生何やってるですか。そんなもん公開されたらここで公開処刑されてしまうじゃないですか。
「いえ、そんなに真剣に見たわけではないので」
「やっぱり持ってきて正解だったか、これだ。」
そういうとなぜか準備されていたプロジェクターがスクリーンに映像を投影し始めた。
「ちょっとカットするからな、ああ近藤、綿谷を押さえつけとけ。」
隣の近藤君が押さえつけに来た。こういう時の先生の突飛もない指示は、従っとけばみんなの利益にはなるので彼は素直に従う。
「おお、ここだ、じゃあ再生するからな。綿谷逝ってこい。」
「ちょっ、先生漢字が違うじゃないですか!てか、なんで秘密にしてたのにここでばらすんですか!ギャー!」
そこにはスーツ姿で対局前のインタビューを受けている僕がいたのであった。
「うるさい!お前のイメージアップを図ってだなぁ、みんなに頑張っているとこ見せたいのにやっぱり普通はC2じゃテレビに映らないじゃないか、そしたら今回本戦出場になったからこれは、と思ってな。」
「余計なお世話です。」
映像のあと質問攻めにあった彼は髪も目も全身が真っ白に燃え尽きた灰だった
最低一ヶ月に一回は更新したいなぁ。質問は答えられる範囲でお答えします。
さあ彼の苦行ももう少しで終わり、早く日常パートと将棋パート書きたいなぁ。あ、棋士としてはどちらも日常か( ^ω^)・・・
第一局目は新山崎流にしようかな、後手番一手損角変わり先手早くり銀にするか、まあ相居飛車の内容にしたいと思います。王道で相矢倉もあるが・・・悩ましいです。
今日の格言
「歩のない将棋は負け将棋」
歩は最弱の駒で価値も低いが、攻防ともになくてはならない必要な駒なので、持ち駒に歩がないと、いざという時に歩が打てず、負けにつながってしまうということ。と金はもちろんのこと、叩きの歩、継歩、垂れ歩、底歩、中合いなどの合い駒にも・・・歩の有用性を言いだしたらきりがないです。