5 長所なしの巻。
早「そんなにキスしたいんですか」
魔「いや、そうじゃない」
早「まったく欲張りなお口だ。いやらしいメスブタめ!」
文「誰のマネですか?」
早「まあとにかく、本人もやる気になったようですし」
魔「なってない」
すたすた
『皆さーん、ご飯もう食べますかー?』
村「チィッ、邪魔が入ったか」
『…え?』
村「いや、こっちの話で」
『…こっち?』
早「あの、ちょっといいですか?」
『はい、なんですか?』
早「単刀直入に聞きます。あなたは魔理…むぐ…!」
魔「よし早く食べようぜ」
『え、あ、うん、用意はできてるよ』
魔「早速持って来てくれ」
『オッケー』
すたすた
魔「………」
早「っぷは…何するんですか…」
魔「余計なことするな」
早「…はーい…」
文「さてさて、料理の腕はどうでしょうか」
村「即席めんだったりして」
輪「さすがにそれはないでしょ」
すたすた
『はい、野菜炒めですよー』
早「おお…」
『どうかしましたか?』
早「カレーを一品だけで済ますと思ってました…」
『…俺だって少しくらい料理できます』
文「見た目は悪くありませんね」
『あ、どうも。他のも持って来ますね』
魔「手伝うか?」
『…は?』
魔「…は、って何だよ」
『いや、ふだん魔理沙そんな気遣いしないじゃん』
魔「それはまあ…」
早「くすっ…」
『座ってていいよ、そんなに大変じゃないから』
すたすた
魔「………」
早「張り切ってますね」
魔「張り切ってない」
文「面白いことになりそうです」
村「ワクワク」
輪「ドキドキ」
………
『はい、これで全部です』
早「なるほど」
『な…なんですか、その査定するような目は』
早「いえ、別に」
魔「それじゃ、もう食べようぜ」
文「そうですね」
村「それでは皆さん、いただきます」
「「「いただきます」」」
村「いやー、おいしいおいしい」
輪「…なんであんたが音頭取ったのよ」
村「誰かに、呼ばれた気がして」
輪「末期だわ」
魔「もぐもぐ」
『どう、おいしい?』
魔「まあまあだな」
『まあまあかぁ』
早「なんか結構おいしくないですか?」
村「うん、思ったより」
『そっか。よかった』
文「ふむ。料理はまあまあということはわかりました」
魔「そうか」
文「他に、長所や短所はないんですか?」
魔「そうだな、短所というか苦手なことは…」
村「あ、ケンカとか弱そう」
早「たしかに」
『そうですね。ケンカは苦手…というか、しません』
魔「する相手がいないからな」
文「なるほど。友達がいないからケンカできない、と」
『…うん…まあ…』
早「じゃあ逆に、得意なことは何ですか?」
『えーと』
早「えーと?」
『………』
早「………」
『…特になし…』
文「それは、ひとつも無いということですか?」
『………』
輪「謙遜か何かなんじゃ…」
魔「たしかにこいつのいいとこは見たことないな」
文「なるほど。長所無し、と」
『…はい』
魔「残念だったな」
文「長所が無いのに、通ってる、と?」
魔「………」
文「………」
『………?』
早「あら、そういえばハンバーグ食べちゃっていいんですか?」
村「………」
文「と言うと?」
早「仏教は肉食ダメでしたよね?」
村「あー肉はいってるなんてぜんぜん気づかなかったー」
『棒読み!』
魔「入ってるというか、肉そのものだがな」
『まあ、でも大丈夫ですよ』
早「大丈夫?」
『豆腐ハンバーグなので』
村「え……」
カチャン…
『…箸落としましたよ』
村「…っかくの…にく…」
『はい?』
村「せっかくの肉食べる機会だったのに!」
『………』
魔「確信犯じゃないか」
早「結構ヤル気ないんですね」
村「くうっ…一輪だって何も言わなかった!」
輪「私は気付いてたわよ」
村「嘘だ!」
輪「ほんと」
村「本当は肉を食べようとしてた!」
輪「してません…」
村「一輪も、聖の目がないからチャンスだと思ってた!」
輪「思ってないって…」
村「嘘だッ!」
輪「というか、あんたは思ってたの?」
村「………」
輪「………」
村「思ってた」
輪「姐さんに言っとくわ」
村「一輪も同罪!」
輪「なんでよ」
村「だって一輪も同…」
『はい、ケンカするならハンバーグ没収ー』
村「ああ、ごめんなさい仲良しです没収は勘弁」
文「ひどい執着ですねえ」
魔「修行不足だな」
早「宗教も大変ですね」
『…そういう早苗さんも巫女ですよ?』
早「まあでも、巫女といっても本職じゃないし…」
輪「普段どんなことしてるの?」
早「神様と暮らしています」
『…それは巫女らしさ全開ですよ』
輪「暮らすって、具体的には?」
早「一緒にご飯を食べたり、うーん、まああとは…」
輪「あとは?」
早「まあ、それくらいですね」
『いや、食事だけって…』
早「つまり巫女も大変ということです」
『大変さが伝わってきません』
早「はぁ。飲み込みの悪い人ですね…」
『え…俺が悪いの?』
早「それで、何の話でしたっけ?」
魔「とりあえず、おかわり」
『はいはい』
村「じゃあ私も」
『はい』
すたすた
早「二人ともよく食べますね」
村「そう?」
魔「普通だな」
文「ふむ。私も負けていられませんね」
すたすた
『はい、魔理沙。こっちが船長』
魔「さんきゅー」
村「ありがとー」
『どいたまー』
文「あ、私もおかわりお願いします」
『あ、はい。わかりました』
早「え、あ、じゃあ私もおかわりを」
『…べつに張り合わなくてもいいと思いますよ』
すたすた
魔「自分だって食べるんじゃないか」
早「空気を読んだんです」
村「さあ、あとは一輪だけ」
輪「私はおかわりしないわよ」
村「なんで」
輪「尼だから」
村「ふーん。大変だね」
輪「…他人事じゃないはずだけど」
すたすた
『はい、文さん、早苗さん』
文「どうも」
早「ありがとうございます」
『ってか、皆けっこう食べるのね』
魔「育ち盛りだからな」
『まあ、魔理沙はね』
早「私もまだ成長してますよ」
『そうなんですか?』
早「はい。このあいだもまた大きくなってて」
『まあ、たしかに早苗さんそこそこありますよね』
早「はい。もう少しで大台に届きそうです」
『160くらいですか?』
早「…そんなわけないでしょう」
『え、そ、そうなんですか?』
早「バスト160って」
『…胸囲の話かよ…』
村「そのサイズは夢見すぎだわー」
文「160ってどれくらいですか?」
村「抱きしめたときに、腕がギリギリ1周するくらい」
魔「…おまえ…」
『いや、ドン引きしないでよ! 違うから!』




