3 馴れ初めの巻。
文「まあ、写真は使うかわかりませんし」
『うーん…なんか疎外感が…』
文「男性ひとり写るのも浮きますよ。いかがわしい広告みたいで」
『…う…言われてみれば…』
文「いつもみたく女装して撮りますか?」
『いや、俺女装趣味じゃありませんよ!』
早「あ、女装といえば、あれですよね」
『なんですか?』
早「魔理沙さんの恰好って可愛いと思います」
魔「ほう。喧嘩を売っているのか」
早「え、どうしてですか?」
魔「何で女装から私の恰好が連想されるんだよ」
早「まあ、それはいいとして」
魔「よくない」
早「最近花粉が飛んで…私、花粉症気味なので」
『…話題がワープした…しかも花粉なんて飛んでない…』
魔「花粉症って何だ?」
早「え、花粉症は花粉症ですが」
文「私も聞いたことありませんね」
村「私は…あるよ…」
輪「本当に?」
村「なんかすごい…花粉が…花粉…花粉にかかわる何かだとか」
『えらいアバウトな…』
早「まだ花粉症は普及してないのかしら」
『最近の病気らしいですからね』
魔「バクテリアとかな」
『細菌違いだよ』
早「おお!」
『どうしました』
早「私今のわかんなかったです。すごいですね。阿吽の呼吸です」
『いや、別に…』
魔「ほめられるほどのツッコミだったか?」
文「頭いい自慢みたいなツッコミでイラっときました」
『いや、細菌からバクテリアってボケを考えたのは魔理沙ですよ』
輪「たしかに」
文「そうですね、すみません。訂正します。理由もなくあなたにムカつきました」
『ひどい!』
村「ああ、でもなんとなくわかる」
『共感しないで!』
村「なんか男のくせにもじもじしてそうなとことか」
『…え…いや…べつに…そのぅ…もじもじとかは…』
魔「今まさにしてるだろ」
『…いや…これは…なんていうか…誘導尋問…みたいな…』
早「たしかにこれはイライラしますね」
文「本日の絶対許早苗出ますか?」
早「そんな喝みたいに出ませんよ」
輪「…じゃあ、たまには出るってこと?」
早「あ、いたんですか?」
輪「………」
『まあ、とにかく俺はもじもじしてません。堂々としてます』
村「チャック開いてるけど」
『え、ウソぉ!』
村「ウソ」
『………』
魔「おまえにはマジでもっとしっかりしてほしい」
文「はい、ガチの苦情入りました」
『………』
早「もう今日のところは帰ったらどうですか?」
『ここ俺の家です』
輪「お寺があるわよ」
『せめて一輪さんにだけはフォローしてほしかった』
文「いっそ出家したらどうですか?」
魔「そこまでする必要あるのか?」
文「多少はネタになるかと」
『…ネタのために出家って…』
早「どうかしました?」
『いや、なんか…そろそろご飯仕度始めますね』
魔「ご馳走を頼むぜ」
『はいなー』
すたすた
早「こほん。で、最近どうなんですか?」
魔「…?」
早「………」
文「………」
村「………」
輪「………」
魔「な、何だ?」
早「ケンカとかしないんですか?」
魔「誰と?」
早「ん」
魔「あいつと?」
早「はい」
魔「特に無いぜ。それがどうかしたのか?」
文「ちゃんとケンカはした方がいいですよ」
村「長続きしなくなるから」
魔「…?」
早「馴れ初めの話とか聞きたいですね」
文「あ、それは聞きたい」
村「たしかに興味あるかも」
輪「うんうん」
魔「は?」
早「馴れ初めですよ」
文「どうしてこうなった的な」
村「友情から発展とか?」
文「いやあ、やはり男女間の友情は成り立たないんですねえ」
早「さあ、包み隠さず話してください!」
魔「…お前たちは一体何を言ってるんだ? あと顔が近い」
文「いやですねえ」
早「いまさら照れることでもないでしょうに」
輪「うんうん」
魔「…いや、本当にわからないんだが。あと顔が近い」
早「………」
文「………」
村「さては、言わせようとしているなッ!」
早「なるほど。言わせて優越感を」
文「いやはや、悪い女です」
魔「………」
早「………」
文「………」
村「………」
輪「………」
早「…まさか本気でわからない?」
魔「ああ。あと顔が近…」
早「それともうまくいってない?」
魔「何がだよ?」
早「彼との仲が」
魔「別にいつも通りだが?」
早「本当に、いつも通りラブラブですか?」
魔「…は?」
早「え?」
魔「おいおい、何の話だ?」
早「お二人の関係の話ですが?」
魔「あれとはそういう関係じゃないぜ」
早「なるほどわからん」
文「なるほどわからん」
村「なるほどわからん」
輪「なるほどわからん」
魔「わからんと言われてもだな…」
早「恋人どうしなんですよね?」
魔「いや違うな。違う」
早「………」
魔「………」
早「じゃあ愛人どうしとか?」
魔「ますます違う」
文「………」
早「これはどういうことでしょう…」
村「…ショックで言葉も出ない…」
輪「…完全に付き合ってると思ってた…」
魔「逆に、どうしてそう思ったのか不思議だぜ」
早「どこかで見ましたよ。熱愛って」
魔「ね、熱愛…」
輪「私も見た気がする」
村「私も見…」
文「…いえ皆さん穿鑿はこのくらいにしましょう」
早「え…」
文「踏み込まれたくない部分が誰にでもあるものです」
魔「どうして今度はこっち側に回るんだよ」
文「とにかく話題を変えませんか?」
村「あ、確か新聞に!」
文「う…」
早「なるほど、新聞でしたか」
文「な、なんのことでしょう」
早「事実無根の記事を書いたんですね?」
文「そ、それは誤解です」
早「では、この状況をどう説明するつもりですか?」
文「私は、一人の女性が男性の家へ通いつめていること、それと」
早「それと?」
文「考えうるひとつの解釈を示したにすぎません」
魔「迷惑な解釈だな…」
文「そもそもおかしいのは私の方でしょうか?」
魔「…は?」
文「では、通いつめる理由が、何か他にあるんですか?」
村「たしかに」
輪「言われてみれば」
魔「あ、あるぜ」
文「ほう。何でしょう」
魔「ご飯を食べに」
早「ご飯…?」
文「やはり怪しいですね」
魔「自分で作る手間が省けるからな」
村「………」
輪「………」
魔「…なんだよ」
文「ふむ。彼の料理の腕前は?」
魔「中の中か、中の上くらいか」
早「ずいぶん中途半端なんですね」
文「ええ。これはクロと見ていいでしょう」
魔「…どういうことだ」
文「ふっふっふ。聞きたいですか」
早「聞きたいです」
村「聞きたいです」
輪「聞きたいです」
魔「…お前らは何なんだ」
文「それではお聞かせしましょう。射命丸文の華麗なる推理を!」
早「おおっ!」
村「っぽい!」
輪「お手並み拝見ね」
魔「…いったい何がはじまろうってんだ…」




