2 施錠の巻。
遅くなって申し訳ありません。
5部第2話です。
早「………」
『あ、いや…』
村「………」
『ちが…今のはちがくて…』
輪「………」
『…マゾヒストじゃないですよ。ね、魔理沙?』
魔「………」
『いや、同意してよ!』
魔「…うむむ…」
早「まあ、世の中いろんな人がいますからね…」
村「このくらいは、まあ…」
輪「うん…」
『…いや、そういう疑いをかけられてるって意味でね…』
魔「………」
『…俺かよ、って言ったんで…』
早「………」
村「………」
輪「………」
『………』
魔「…わかった」
『…わ、わかってくれたんだね…』
魔「ああ」
『…魔理沙…』
魔「そんなお前でも知り合いでいてやろう」
『全然わかってない!』
………
早「あ、そういえば」
『どうしました?』
早「晩ごはんはどうするんですか?」
『俺が作りますよ』
早「へえ」
『それがどうかしたんですか?』
早「いえ、何も」
『………』
村「あ…」
『どうかしました?』
村「ふぁ…」
『ふぁ?』
村「ふぁ…」
『ふぁ…?』
村「ふぁくしょん!」
『………』
バタン!!
文「呼ばれて飛び出て射命丸です! こんにちは!」
『わ、何だ何だ!?』
輪「…誰も呼んでないんじゃ…」
早「懐かしいギャグですね!」
魔「名前は呼んでないが、パーティーには呼んだぜ」
文「ええ、ちゃんと招待されてますのでご安心を」
『…そういう問題かな…』
早「でも、チャイムも鳴らさないなんて非常識にとらわれてますね」
『そんな表現あるんでしょうか』
村「突然開いたからびっくりしてくしゃみが」
輪「いや、くしゃみが先だったでしょ…」
文「いやあ、ノックはしましたよ」
『あのー、文さん』
文「はい」
『呼び鈴というものがあってですね』
文「ほう」
『それを押すと音が鳴ってですね』
文「ええ」
『家の人が来客に気付くという』
村「そうそう。そういう伝説が」
文「なるほど、伝説ですか」
『…いや違いますよ』
文「なるほど、違いますか」
『船長、さすがに伝説ってのは…』
村「そういう性質なもんで」
早「攻めなんですか?」
『早苗さんは余計なこと言わなくていいですよ』
文「で、そんな便利な道具があるんですか」
『ええ、はい。伝説じゃなくて、道具が』
文「なるほどなるほど」
『次から押してくださいね』
文「ぜひとも一度拝見、否、拝聴したいのですが」
『ええ、全然構いませんけど』
文「では、早速お願いします」
『あ、はい、今押して来ますんで』
すたすた
すたすた
ガチャ
バタン
ガチャリ
『…ん、ガチャリ…? まあいいや』
ピーンポーン
『とまあ、こんな感…』
ガチャ…
『あれ…』
ガチャ…
『………』
ガチャガチャ…
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ…
『鍵掛かってるし!』
ガチャチャチャチャチャチャ…
『え、誰、誰鍵閉めたの!?』
ガチャチャチャチャ…
『開けてー! 俺だよー! 主人公だよー!』
ドンドンドンドンドンドン…
『………』
ピンポンピンポンピンポンピンポン…
『………!』
ガチャガチャピンポンガチャポンピンポンガチャガチャガチャピンポンガチャピンポンガチャピンポンピンガチャガチャポンガチャピンガチャピンポンガチャピンポンガチャガチャピンポンポンガチャピンポンガチャガチャピンポンガチャピンポンピンガチャポン…!
ガチャリ
魔「…おいおい、何の騒ぎだ?」
『…っはぁ…はぁ…執念…の…勝利…』
魔「………」
バタン
『いや、閉めないで!』
ガチャ
魔「………」
『…なんで閉めるのさ…』
魔「…はぁはぁしてたから…」
『いや、変な言い方しないでよ』
魔「やれやれだぜ」
『…こっちがね。で、誰さ、カギ閉めたの』
魔「私じゃないぜ」
『そう?』
すたすた
すたすた
『あのー、カギ閉めたの誰ですか?』
早「………」
村「………」
輪「………」
文「………」
『………』
早「お腹空きません?」
村「あ、たしかに」
輪「まだ夕食には早いと思うけど」
文「ええ、そうですね」
『…ぐるか…ぐるなのか…』
早「そういえば、まだ他にも誰か来ますか?」
魔「いや、もう来ないぜ」
村「なるほど、これで全員と」
文「それでは参加者全員で一枚撮っておきましょう」
早「もしかして新聞に載りますか?」
文「ええ、記事になりそうならば」
『あまりならない気もしますけど』
文「あ、シャッターお願いします」
『え…』
文「それでは、並びましょう」
早「私が真ん中で」
魔「どうしてそうなるんだよ」
村「ああ、心霊写真にならないか心配…」
輪「…幽霊が言うな」
『えっとー…俺はー…』
早「全員ドヤ顔ダブルピースで写りましょうか」
魔「それはやだな」
村「じゃあ敬礼で」
輪「何の集まりよ」
文「あ、シャッターわかります?」
『あ、はい、わかりますけど…』
文「それでは、パシャリといっちゃってください」
早「ああ、まだポーズが」
魔「無しでいいんじゃないか?」
文「皆さん準備はいいですね。では、お願いします」
『あ…はい。撮るよー。みんな笑ってー。ハイ、チー…』
村「敬礼ーッ!」
パシャッ
早「ああ、思わず敬礼を…」
魔「私もだぜ…」
文「あやややや…」
『あはは…全員敬礼でしたね』
輪「………」
村「…ひゅーひゅひゅー…」
早「ずいぶんあからさまな知らんぷりですね」
『ところで文さん』
文「焼き増しが欲しい、と?」
『いや、あのー…俺は…?』
文「ああ、自分だけ写っていない、と?」
『ええ、はい』
文「それならもちろん大丈夫ですよ」
『あ、俺の入ってるのも撮るってこと…』
文「小窓で入れます」
『休んだ子扱い!』




