表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第4回
90/173

クリスマ

ともあれ皆さん、メリークリスマス!

『いや、まあ』


魔「やっぱりな。そうだと思ったぜ」


『俺も好きで暇やってるわけじゃないのよ』


魔「好きで一人きり伝言ゲームなんかやるやつはいないだろ」


『暇過ぎてつい』


魔「ちなみに、寺でクリスマスイベントをやってるらしいぜ」


『ふうん。神仏習合の延長かね』


魔「おまえなら喜んで行くかと思ったけどな」


『べっ、別に誰かが誘ってくれるのを待ってたわけじゃないんだからね』


魔「それで意地張って待ちすぎた結果、出遅れたんだな」


『さよう』


魔「おまえ、モテないのな」


『魔理沙は?』


魔「私は誘われなかったんじゃない。誘わせなかったんだ」


『強がりが斬新』


魔「まあ、ガードが堅い女、みたいな?」


『自分でよく分からんのかい』


魔「で、今日は何をする?」


『寝る』


魔「不貞寝以外で」


『普通の昼寝』


魔「寝てばっかりだと頭パーになるぜ」


『えぇ…もっと早く言ってよ…』


魔「いかん。手遅れだったか」


『あ、あと晩ごはんはオーディーイーエヌだよ』


魔「なんだ、ドロクエセブンか」


『それエデンだよ』


魔「ファイブか」


『天空の花嫁だよ』


魔「エイトか」


『空と海と水着と縦笛とランドセルだよ』


魔「ロリか」


『いいえ、ペドです』


魔「ペド川コナン」


『探偵さ』


魔「おまえって思いついたこと全部言うよな」


『いや、どっちかって言うと魔理沙じゃ…」



ピーンポーン



『お、美少女が俺を連れ出しに来たぞ! 予定が増えるよ!』


魔「やったね、たえちゃん!」


『おいやめろ』



ガチャ



ア「魔理沙、とりあえず人気のないところに行きましょう!」


魔「おう、秋姉妹のとこだな!」


『ちゃう魔理沙、ニンキやない、ヒトケや』


ア「レッツこっそり!」


魔「なんだこの痴…魔女…痴魔女は…」


ア「そんな新しい単語をクリエイトしてる場合じゃないわ。急いで」


魔「なんで私はせかされてるんだ?」


ア「私、クリスマス、魔理沙、愛」


『なぜカタコト』


魔「思考回路がショートしてるんだ」


ア「育みましょう、二人の愛を」


『育みましょう、倫理観』


魔「まず育む芽が無い」


ア「で、どこでする?」


魔「何をだ?」


ア「わからないとは言わせないわよ」


魔「わからん」


ア「クリスマス恒例、以心伝心二人きり伝言ゲームよ」


『二人だとぉ! 負けた!』


魔「そこかよ」


『えっ』


魔「というか、クリスマス恒例なのか?」


ア「そうよ。さあ、私の耳という耳に魔理沙の温い吐息を吹き込みなさい!」


『二つしかねーよ』


魔「以心伝心以前に言葉のキャッチボールすらままならないんだが」


ア「まあ、とにかく立ち話もなんだから上がるわね」


『いや、図々しいですな』


ア「で、この家にはサンタクロースは来たの?」


『え、煙突無いし…』


ア「でも避けられてるのよね」


『誰が煙たがられてるって?』


魔「サンタが来ないのは良い子にしてなかったからだろ」


ア「ざまあみそ漬けね」


『和風なギャグかましますね』


ア「ちなみにベッドのシーツとかちゃんと洗ってる?」


『何にちなんだんですか?』


ア「あと枕カバーとか」


『まあ、洗ってるけど、どうして?』


ア「そういえば、霊夢が三マイル先の雪原でスク水を着てあんたを待ってたわよ」


『五キロ弱先かよ遠いな外雪降ってる俺別にスク水にこだわりない俺を追い出して何しようとしとんねん』


魔「ヒトコトで」


『痴魔女め』


魔「カタコトで」


『私、クリスマス、魔理沙、愛』


ア「ま・ね・す・ん・な」


魔「結局お前は何しに来たんだ?」


ア「ク、クリスマスを魔理沙と過ごしたくて…ダメ…だった…?」


『うわあざといけど、最初からそうやって言えよ』


魔「私は別にお前と過ごしたくない」


『じゃあ誰と過ごすの?』


魔「イケメン」


『俺より痴魔女アリスの方がイケメン度が高いから、痴魔女アリスと過ごすってことですね』


魔「痴魔女アリスかぁ…」


ア「さも当然のように痴魔女に私を充てないでもらえる?」


アリス(痴魔女)


ア「逆にしてもダメ」


魔「じゃあどうすれば満足なんだよ」


ア「痴魔女から離れなさい」


『痴人形遣い』


魔「痴変態」


ア「私今魔理沙に口汚く罵られてる! ハッピーだわ! ハッピークリスマス! 黒ストッキングの神様ありがとう!」


『やばい末期だ』


魔「罵倒で喜ぶなんてキャラかぶり甚だしいな」


『誰がマゾヒストだ』


魔「おまえ」


ア「うわーM男キモいーくさいーおびただしいー」


『おびただしくはねーよ』


魔「M女はいいのか?」


ア「私はMじゃないわよ」


『Lです』


ア「誰が探偵よ」


魔「ペド川コナン」


『探偵さ』


魔「Mじゃなかったら何なんだよ」


ア「魔理沙の愛情を受けて、すくすく育っているのだ」


『雑菌の繁殖みたいなもんか』


魔「わかりやすい言い換えありがとう」


ア「まあ、冗談はこれぐらいにして」


『どこからが冗談?』


ア「あんたがキモくないってとこ」


『いや、直接キモいって言われましたけど…』


ア「今日はプレゼントを持ってきたのよ」


『うほーい、さすが五色増し!』


魔「サンタ比でな」


ア「はいこれ」


『うお! アリスの脱ぎたて靴下ですか!』


ア「ジゴクニ、オチロ」


魔「おまえ気持ち悪いな」


『すんません』


ア「何の変哲も無い手編みの靴下よ」


『ありがとう。大切にします』


ア「あんたの分なんかあるわけないでしょ」


『ですよね』


魔「じゃあ誰の分だよ」


ア「ここに三人しかいないんだから分かるでしょう」


魔「アリスの分か」


ア「受取人不在かぁ…」


魔「どうせ中から触手とか出てくるんだろ」


ア「誰よ私の魔理沙に触手モノ見せた奴」


『俺じゃないよ』


ア「やっぱりパチュリーね」


『偏見じゃね?』


ア「まあ、とにかく魔理沙のために編んだからあげるわね」


魔「もらえるものはもらっておこう」


『白と黒のストライプだね』


ア「ちょ、魔理沙、こいつ既にこの靴下からエロい妄想を膨らませてるわ! 人間とは思えない! 獣よ! ケダモノよ! このソックスシュッチ!」


魔「ソックスシュッチってなんだよ」


『複数形にするとイーエスが付く名詞の語末の覚え方』


魔「英語か」


ア「そんなことよりこの不潔な男を追い出しましょう!」


魔「いや、不潔はお前だろ」


ア「私、ここ来る前にお風呂入ったから」


『そういう不潔じゃないかと』


魔「まあ、とりあえず一旦落ち着け」


ア「魔理沙がぎゅってしてくれたら落ち着くかも…」


魔「そうは言っても人の首を絞めるのは抵抗があるな」


ア「うん、ちょっと違うかな」


『とにかく、アリスの用事はこれだったんだね』


ア「まあ、ひとつはこれね」


魔「ちなみに他は聞きたくないから絶対に言うなよ」


『絶対に言うなよ』


魔「絶対だぞ」


ア「オーケー。他は魔理沙とデートと、魔理沙と伝言ゲームよ」


魔「言うなって言ったのに」


ア「三回目でゴーでしょ?」


『芸人か』


ア「まあ、人形遣いですし」


魔「おすし」


『サトシ』


魔「バトルしようぜ!」


『デュエルしようぜ!』


ア「それ勇儀じゃないの」


魔「いや、バクラだな」


ア「なんで?」


魔「いや、まあ」


『で、アリスはいつ帰んの?』


ア「やめて、私が帰ったら魔理沙に乱暴するつもりでしょ。エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」


『じゃあ俺は出かけよう』


魔「やめろ、私が乱暴される未来だろ。エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」


ア「はい、私は乱暴するつもりです」


魔「うわ、英語の教材みたいな文型で堂々宣言した」


ア「まあ、冗談は置いといて」


『冗談?』


ア「で、靴下は気に入ってくれた?」


魔「靴下? ああ、そんなくだりもあったな」


ア「よかったら履いてみてほしいんだけど」


魔「は? 今か?」


ア「じゃあいつ履くの?」


魔「今度」


『今でしょ、じゃないんだ』


ア「まあ、サイズが合わなかったりしたらあれだし、一回履いてみなさいよ」


魔「ええ、めんどくさいな」


『はっ、この魔女、嘘をついておる!』


魔「は?」


ア「何言ってるの?」


『馬鹿め、それで騙したつもりか。俺には分かるぞ!』


魔「お前、何か嘘ついてんの?」


ア「い、いや、そんなおかしなこと言った?」


『アリスが魔理沙の足のサイズを知らないわけがあるまい!』


魔「はぁ?」


ア「ぬぐっ…」


『こないだの鍋パのとき、魔理沙のブーツのサイズ確かめてた』


魔「鍋パのいつだよ」


『魔理沙が帰るちょっと前』


ア「そ、それはこの靴下を編むためで…」


『ふふ…そんなわけがあるか。きっと俺が衣玖さんの靴のサイズを知っているのと同じ理由だ!』


魔「おまえ、ちょっと来い」


『痛い痛い痛い!』


ア「そこまでバレては仕方ない。私が魔理沙の足に惹かれてるのは認めるわ」


魔「いや、自白せざるを得ないほどの証拠揃ってなかったから。というか怖い」


『やっぱり足フェチか』


ア「いいえ。フェチではない。ただ純粋に魔理沙を愛しているだけよ」


魔「私帰っていい?」


ア「魔理沙、足フェチに水を差されたけど、靴下を履いてちょうだい」


魔「いや、この流れで履くと思った?」


ア「きっと似合うから。私、頑張って編んだから」


魔「むう、でも足フェチが…」


『大丈夫。魔理沙の足はあんまりだから』


魔「よし、このCDプレイヤーに薄切りハムを入れてみよう」


『ヤンメッテ!』


魔「まあせっかくもらったし、試着するだけなら」


ア「あんたは魔理沙が着替える間、どっか行ってなさいよ」


『え、着替えるってか…まあいいか』


ア「さあ、変態は排除したわ。安心してぬぎぬぎしてちょうだい」


魔「むしろお前もどっか行けよ」


ア「いや、断る」


魔「…まあいいや」


ア「わくわく」


魔「ほらよ」


ア「まあ!」


魔「これで気は済んだか」


ア「くくく…あはは…あーっはっはっは!」


魔「なんだよその三段笑い」


ア「かかったわね、魔理沙。それは罠よ」


魔「やっぱりか」


ア「ドキドキクリスマスプレゼント聖夜のラッキーアイテムはやっぱり靴下という名の罠よ」


魔「長いな。ってかツッコミの人どこ行った」


ア「サンタは靴下にプレゼントを入れる。それを逆手に取った巧妙な愛よ!」


魔「嫌がらせだろ」


ア「プレゼントが欲しければ靴下に入れればいいという逆転の発想なのよ!」


魔「いや、数学的に考えたらそれは真とは限らないぜ」


ア「アリスは文系であった」


魔「そうか」


ア「とにかく魔理沙は今や私へのプレゼントになったわけだから、持って帰るわね」


魔「もう脱いだぜ」


ア「いやー、なんて手際のよさ!」


魔「もう怖いからこれ返すわ」


ア「くくく…あはは…あーっはっはっは!」


魔「今度はなんだよ」


ア「かかったわね、魔理沙。それは罠よ」


魔「またか」


ア「ついに手に入れたわ! 魔理沙の脱ぎたて靴下を!」


魔「………」


ア「これで…これさえあれば…私は全てを…世界を手に入れられる!」


魔「…そうか…」


ア「あはは…ふっふふ…あーっはっはっは! じゃあね、魔理沙。また会いましょう。さらば!」



パリーン



魔「………」


『ちょっ、パリーンって何! って、また窓割れてるー!』


窓「解せぬ」


魔「…もう何か今年のクリスマスは散々だ…」


『あれ、アリスは? ってか何で割れたの?』


魔「アリスが帰った」


『窓から!?』


魔「ああ」


『いや、え、意味分かんないんだけど…』


魔「私もわかんねーよ…」


『窓どうしよう…』


魔「もういっそ自然と一体になれば?」


『いや、冬は厳しいなあ』


魔「来年からはクリスマス無くなるといいな」


『そうなの?』


魔「ああ」


『あ、俺も魔理沙にプレゼントがあるんだった』


魔「なんだよ、どうせロクなンじゃないだろ」


『まあ、そんなにいいものじゃないかも知れないけどさ』


魔「お?」


『はい』


魔「何だ?」


『お菓子だよ。クッキーとか』


魔「そうか」


『うん』


魔「じゃあ食べるか」


『どうぞ召し上がれ』


魔「ん、なかなかだ」


『おお、よかった』


魔「ほれ」


『え、俺があげたんだよ?』


魔「いいから」


『じゃあいただきます』


魔「どうだ?」


『わりとうまくできたと思う』


魔「そうか」


『うん』


魔「まあ、悪くないな」


『うん』


魔「こんなもんかな」


『何が?』


魔「こんなもんなんだよ」


『だから何が?』


魔「今日」


『え?』


魔「まあまあ、悪くないと思うぜ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ