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もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第4回
89/173

あったかコタツで鍋パーテー

『いやあ、寒い寒い。早く部屋に戻ってコタツに入ろう』



ガチャ



『ただいまー』



ざわ…ざわ…



『…あれ…』



ざわ…ざわ…



『…だ…誰もいないはずの居間から…声が…』



ざわ…ざわ…



『…まさか…ポータルガイスト…じゃなくて…えっと…ポ…ポル………心霊現象!』



ざわ…ざわ…



『…ぜ、全然怖くなんかないんだからね…突入!』



すたすた


ガチャ





魔「それで妖夢が転んでやんの」


霊「あははは、情けないわね」


@「かわいいわね」


妖「転んでません!」


ア「それで、転んだあとはどうしたのよ?」


魔「なんと…」


ア「なんと?」


魔「逃げた」


レ「ぷっ…あはははははははは!」


咲「お嬢様、笑いすぎですよ」


妖「あの時は用事を思い出したんです!」


霊「で、しらたきは?」


魔「おいおい、もう食べることしか考えてないのか?」


霊「しらたき早く。妖夢が担当でしょ」


妖「違いますよ。うちはネギでした」


ア「霊夢が担当じゃなかった?」


霊「違うわ。私は菜箸担当よ」


レ「…食材を持って来なさいよ」


@「じゃあ、誰がしらたき担当なの?」


咲「ふふふ…簡単な問題ね」


妖「誰が担当か、わかるんですか?」


咲「………」


妖「………」


咲「………」


魔「誰が担当か、わかるのか?」


咲「ええ、もちろん」


妖「…無視…された…」


@「だあれ、しらたきを持って来ない悪い子は?」


咲「この中の誰ひとり心当たりがない、ということは…」


ア「ということは?」


咲「ここにいない人物…つまり犯人は…」


魔「犯人は…?」


咲「おまえだァァァァァッ!!」


『!!』


霊「え…!」


ア「な…!」


妖「そんな…!」


@「まさか…!」


レ「うそ…!」


魔「なん…だと…!」


『…いや、何やってんの君たち』


ア「鍋」


『鍋は見りゃわかる。なんでうちで鍋をしてるのさ?』


咲「冬だから」


『いやまあ、冬ですけど…』


@「お鍋大好きだから?」


『いや、どうしてうちなんですか、って』


妖「今日は鍋パーティーなので、ここに集合するように、と」


『誰が?』


霊「魔理沙に決まってるじゃない」


『ちょっと、魔理沙。やるなら俺に一言くらい言ってよ』


魔「あれ、言わなかったか?」


『聞いてないよ』


魔「わるいわるい。伝え忘れてたんだな」


『まったくもう』


霊「ところで、しらたき無い?」


『いやまあ、あるけどさ』


魔「おお」


霊「よっ、色男」


『いや、色男関係ない』


レ「ラッキーだったわね」


@「これでやっと食べられるわね」


妖「そうですね」


『はい、持ってきたよ』


霊「それじゃ、投入してちょうだい」


『えい』


@「じゃ、いただきまーす」


妖「ちょっとちょっと、早すぎますって」


@「もうおなかペコペコ」


妖「さっきお団子食べたじゃないですか」


魔「幽々子は食いしん坊だな」


『魔理沙が言えたクチかどうか』


魔「成長期だからな」


霊「背はあまり伸びてないみたいだけど」


ア「でも、女の子は、低くても問題ないわよね」


『なぜこっちをチラ見する』


ア「あらあら、失礼したわね」


『どうせ俺は背が低いですよ』


咲「それくらい気にしなくていいと思うけど」


『え、珍しく咲夜さんが俺を気遣って…』


咲「背が高くても、その顔だったら…ね?」


『………』


霊「さ、お鍋、そろそろよさそうよ」


レ「霊夢の機嫌もよさそうね」


霊「そりゃ、久々の鍋だし」


妖「久々の食事の間違いでは?」


ア「たしかに」


@「ねえ、そろそろ食べていい?」


魔「言いながらもう具を取ってるじゃないか」


『ちなみに俺座れる?』


咲「えーっ」


『…ひどい…ひどいよ…』


霊「私の隣なら空いてるわよ」


魔「私の隣も空いてるぜ。おい、アリスどけろ」


ア「どけろって何よ! 空いてないわよ! ヴァッカじゃないの、このドM野郎!」


『なんで俺が怒鳴られてるの!?』


レ「食事中くらい静かにできないのかしらね。これだから庶民は」


咲「まったくですわ」


『…叫んでるのはアリスなんですけど』


ア「楽しい鍋でそんなにカリカリするんじゃないわよ」


『あんたのせいだろうが…!』


霊「で、あんたは立って食べるの?」


『霊夢の隣にするよ』


妖「お鍋、そろそろよさそうですね」


@「ええ、そろそろ雑炊にしましょうか」


魔「って、おい! もうほとんど無いじゃないか!」


@「え」


魔「え、じゃない!」


霊「私の鍋が!」


妖「みんなのですって」


レ「そのみんなの鍋をあんたの主が一人で食った件について」


妖「まあ」


ア「切腹しなさい」


妖「なんで!」


『まあまあ、こんな事もあろうかと思って…』


霊「ってことは、もしかして」


『うん。ご飯炊いてある』


レ「違ェよ! 雑炊の準備の話じゃねぇよ!」


『え』


レ「ゑ、じゃねぇよ! 天然ボケボケハイテンショーン・ペンか!」


咲「お嬢様、言葉遣いが乱れていらっしゃいますよ」


『言葉遣いっていうか…』


魔「あーあ、鍋食べたかったぜ」


@「残念だったわね」


魔「殴るぜ」


@「いやん」


霊「こんなことなら序盤に唾液でもぶち込んでおくんだったわ」


ア「他の人が食べられなくなるでしょう」


霊「だからよ」


妖「それで、お鍋どうしましょう」


『しかたないから、なけなしの具材で作ろうか』


霊「それってどこから出るわけ」


『うちの冷蔵庫』


霊「いぃやっほおおおおおおおおおぃ!」


レ「っひゃっはあああああああああぇ!」


『やかましい』


魔「そうと決まればさっそく作ろうぜ。というか作ってくれ」


『その前にこの鍋を食べてしまいましょうかね』


@「雑炊! 雑炊!」


妖「…幽々子様、恥ずかしいですから…」


『今、ご飯入れますからね』


霊「いぃやっほおおおおおおおおおぃ!」


レ「っひゃっはあああああああああぇ!」


『うるさいっての!』


ア「まったく。これだからあんたの家はいやだったのよ」


『俺のせいじゃないよ』


咲「くさいし」


『…いや、ホントそれは傷つくんで…』


魔「ドンマイ」


@「大丈夫よ。ちゃんとおいしそうな匂いだから」


『俺が!?』


レ「いずれ幽々子があんたをぱくりといっちゃうわけね」


咲「お嬢様、下ネタはNGですよ」


レ「シモじゃねぇよ」


霊「で、これもうそろそろ食べていいの?」


『うむ』


霊「いっただっきまーす」


魔「私も食べるぜ」


ア「それじゃあ私もいただこうかしら」


レ「咲夜。取ってちょうだい」


咲「ふーふーしますか?」


レ「うん」


ア「おい、カリスマ」


『………』


魔「なんだよ、おまえもふーふーしてほしいのか?」


『べっべつに』


魔「仕方ないな。ほれ、アリス」


『やめて』


ア「何で拒絶されたわけ」


『アリスの吐息は雑炊に合わなさそう』


霊「たしかに」


ア「そこかよ」


魔「誰の吐息なら合うんだ?」


『霊夢かな』


魔「手が滑った」


『うあああ! 俺の雑炊が一味まみれに!』


霊「バカね」


ア「気色悪いこと言うからよ」


『気色良いよ!』


妖「…何語ですか」


@「さて、次の鍋でも作りましょう」


レ「あんたが作るわけじゃないでしょ」


咲「さもありなん」


『こうなったら激辛キムチ鍋にしてやる』


ア「それくらい普通じゃない」


霊「普通ね」


『激甘カルピス鍋にしてやる!』


魔「おいやめろ」


妖「おいやめろ」


@「妖夢、年頃の男の子なんだから許してあげなさい」


咲「別に『俺のカルピス』とか言ってないけど…」


レ「とにかく早くしなさい。あまり私を待たせるものではないわ」


魔「偉そうだなあ」


レ「偉いのよ」


魔「今日は食べこぼしてないもんな」


レ「そうじゃない」


霊「働かざるもの食うべからず」


@「誰に言ってるの?」


妖「たぶん全員」


咲「私以外のね」


魔「私も図書館に行ったから十分な労働だ」


ア「あんたが働いたのは盗みだけ」


レ「賊に食わせる飯はないわ」


魔「おっと、借りただけだぜ」


ア「じゃあやっぱり働いてないじゃない」


霊「働かざるもの食うべからず」


魔「霊夢には言われたくないがな」



スタスタ



『準備でけたアルよ』



ガタッ



霊「いぃやっほおおおおおおおおおぃ!」


レ「っひゃっはあああああああああぇ!」


『だぁもう!』


咲「点火っ」


魔「もっと火強くしようぜ」


咲「これくらいがちょうどいいのよ」


魔「ふうん。時間かかりそうだな」


@「早く食べたいわ」


レ「腹パンするわよ」


『腹パン♪ 蒸しパン♪』


妖「メロンパン♪ って何ですかこの曲!」


魔「やたらネギが多いな」


『ネギ好き』


ア「ほぼ一面ネギじゃない」


『ネギ大好き』


妖「いわゆるネギ魔!」


魔「おまえの好みじゃなくて、私の好みに合わせてくれ」


ア「わがままね」


レ「いやいや、私の好みに合わせるべき」


ア「乗ってきたし」


霊「食べられるだけで幸せ」


ア「重みがあるわね」


@「食べることとは命を頂くこと。その痛みを感じなさい。そして真剣に、本気で食べなさい」


ア「マジレスありがとうございます」


咲「アクが出てきたわよ」


妖「アク・即・斬!」


『アク取りは任して』


霊「あんたアク取るの上手そう」


魔「地味な作業が似合うよな」


咲「さもありなん」


『褒めて伸ばしてね』


ア「アクが似合う」


レ「アクみたい」


@「おいしそう」


『…ゆ、ゆゆこたそー』


魔「いや、褒めてはないだろ」


レ「いずれ幽々子があんたをぱくりといっちゃうわけね」


妖「私の西行妖は…満開よ! ってそんなバカな!」


@「妖夢うるさい」


妖「すみません」


霊「さて、そろそろいいかしら」


魔「オープン・ザ・私の鍋!」


レ「なんでやねん」


霊「いっただっきまーす」


@「いっただっきまーす」


レ「あんたらの食欲はブレないわね」


霊「んーっ、やっぱりおいしいわね」


@「うまい! てーれってれー」


魔「私もいただくぜ」


レ「咲夜」


咲「はいはい」


レ「はいは一回」


咲「コポォ」


レ「それでよし」


『いいのか』


ア「ねえ魔理沙その器、虫入ってるわよ。仕方ないから私のと交換してあげる」


魔「虫なんかいないぜ?」


ア「さっきまで入ってたのよ。私のと交換しましょう」


魔「交換って、おまえはどうするんだ?」


ア「私は、まあ、大丈夫よ」


魔「何が大丈夫なんだよ」


ア「いいからその食べ差しをよこしなさいよ」


魔「おい、ちょっ、やめろよ」


ア「そしてこの私のダシ入りスープで鍋食べなさいよ」


魔「やめろって。おまえのダシって何だよ」


ア「唾液よ!」


魔「何のひねりもない嫌がらせだな」


ア「何のひねりもない愛よ」


魔「嫌がらせだろ。ってか誰か助けてくれよ」


@「ふーふー。はい妖夢、あーん」


妖「い、いいですって。やめてください」


@「じゃあはい、あーん」


『え、いや』


霊「………」


『ちょ、霊夢、そんな霊夢が怒ったときみたいな顔しないで』


レ「なによ霊夢。嫉妬?」


霊「これだからお子様は困るわね」


レ「冗談よ。わかってるって」


@「で、あーんは?」


霊「私が食べるわ」


レ「いえ、私がもらうわ」


咲「いいえ、ここは私が」


妖「えっと、それでは私が」


ア「じゃあ、私が」


『………』


魔「………」


ア「…乗ってきなさいよ」


『あ、魔理沙、おたま取って』


魔「やだ」


『………』


ア「おい」


魔「………」


『………』


霊「…あーあ、アリスのせいでシラケちゃった」


ア「私のせいなのこれ?」


@「お鍋なくなったわよ」


レ「はや…」


魔「そんじゃ、新しいの作るか」


霊「そうね」


レ「早くして頂戴ね」


『いや、さも当然のように三杯目作る気ですか』


霊「え」


『何その当たり前じゃんみたような顔』


霊「当たり前田のクラッカー」


『…おっさんか』


妖「そろそろお腹いっぱいになりませんか」


レ「ええ」


咲「私もですわ」


ア「私もね。あとは魔理沙の箸くらいしか入らないわ」


魔「鼻にか?」


ア「上の口に」


霊「上言うな」


レ「咲夜、あれってどういう意味?」


咲「魔女は額にも口があるものなのです」


レ「なるほど。じゃあパチェにも」


咲「うん」


レ「いまタメ語じゃなかった?」


咲「いや」


レ「ふうん。ならいいけど」


ア「うるさいわね、いいからしゃぶらせなさいよ!」


魔「妖夢、こいつの迷いを断ち切ってくれ」


妖「迷いなんて無いみたいですよ」


魔「おい、何かしゃぶらせるものを出せ」


『え、ニュルッパチャップスくらいしかないけど』


魔「上出来だ。ほれ」


ア「むぐッ。もごもご…」


魔「禁煙の弊害が出たな」


『いや、違うと思うよ』


霊「で、次の鍋って出るの?」


@「わくわく」


『いや、もう具材がないんよ』


霊「やんぬるかな」


魔「じゃあもうお開きだな」


『キミら食いモン以外にウチに用ないん?』


咲「ストレス解消」


『可及的速やかに帰ってください』


レ「それとも何、私の足でも舐めたいのかしら?」


魔「『あんよ』の間違いだろ」


レ「足よ足。おみ足よ」


『あ、まだネギ残ってんじゃん』



レ「足舐めたいかって聞いてんだろォがあああああぁぁ!!」



『ああいや聞いてますよレミィの足なんて俺にはもったいなさすぎるからほら、ね?』


レ「ふむ、確かに」


咲「こいついまレミィ言いましたよ?」


魔「さて、いい感じでグダグダになってきたし、帰るか」


霊「そうね」


妖「私は片付けをお手伝いします」


@「えらいわ、妖夢。よしよし」


妖「…子供扱いしないでください」


『えっと…えへへ…』


レ「あんたがよしよし待ちするのはおかしい」


ア「少しなら私も手伝うわ」


魔「私も自分の使った食器ぐらい洗おう」


ア「いや、そんな心配いらないわ」


魔「いや、おまえ舐めるだろ」


ア「人聞きの悪い。ただのテイスティングよ」


魔「それガッツリ舐めてるだろ!」


『別に俺一人で片付けるからいいよ?』


ア「うっさいわね。あんたにだけおいしいところをやれるかっていうのよ!」


『片付けって鍋の醍醐味だっけ?』


@「ちなみに醍醐味の前に霊夢とレミリアと咲夜は帰ったわよ」


魔「あいつらは…」


『アリスももう帰っていいよ』


ア「黙れ。いいから舐めさせなさいよ」


『え、何、俺の足?』


ア「違うわよ気持ち悪い! 魔理沙の箸に決まってるでしょ!」


魔「やっぱ舐めるんじゃないか」


妖「魔理沙も大変な奴に好かれたもので」


魔「ふむ。人気者はつらいな」


『ねえ、魔理沙、これどうしよう』


魔「あん、おまえが舐めればいいだろ」


『…なんで…?』


魔「………」


@「ふふ、大胆ね」


ア「いいから早くよこしなさいよ」


魔「…帰るわ」


『はっ、ひらめいた!』


ア「なっ、何よ」



がちゃがちゃ



ア「ま、まさか!」


妖「自分の箸とシャッフルした…だと…」


『うへへーい。これで舐められまい』


ア「なっ…くっ…!」


『一本舐めれば二分の一の確率で俺と濃厚とろとろイチャラブ間接キスだぜぇ…』


ア「こいつ…間接キスを世界一キモく表現する天才かっ…!」


『さあ、どうするんだい…ぐへへ…』


ア「…諦めず魔理沙の箸を狙いに行くか、いやしかしハズレだった場合のリスクを考えるともはや…」


『ふっふっふ…先ほどの威勢はどこへいったのやら』


ア「…ぐぅ…やはり…これでは…手を出せない………がっくし…」


魔「…アホらし。帰るか」


@「あら、まだ白菜が残ってるわよ」


妖「本当ですね。一切れだけ」


『ん、一切れなら俺が食べちゃお』



ぱく



ア「あ」


妖「あ」


@「あ」


魔「おい」


『え』


妖「八割ですか…」


ア「八割三分三厘よ…」


@「中途半端ねぇ」


『え、なにが?』





魔「…シュレディンガーのネコ気分だぜ」


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