14 あぷりこっと
輝「ごちそうさま」
天「ごちそうさま」
『はい、お粗末さまでした』
天「さ、何して遊ぼうかしら」
輝「私はゲームの続きを」
『よし、俺は後片付けだ』
かちゃかちゃ
『がんばって片付けるか』
かちゃかちゃ
『よっ、向こうのお皿を取っ…』
すっ
『え…』
衣「お手伝い、しますよ」
『…い…衣玖さ…』
天「それ昨日のくだりじゃん!」
………
『それで、断ったのに、帰らないんですよー』
衣「まあ…それは困ってしまいますね」
『だから、言ってやりましたよ』
衣「どのようにですか?」
『俺はフライパンは買わないよ!』
衣「………」
『………』
衣「…あ、あはは…おもしろいですねー…あは…」
『…無理しなくていいです…』
衣「…すみません。私のユーモアのセンスが不足していて」
『いえ、俺がスベったんです…』
衣「しかし…」
魔「なあなあ」
『お、どうしたの、魔理沙』
魔「退屈だぜ」
『お皿拭きでもやる?』
魔「いや、いい」
『まあ、そりゃそうか』
魔「何かしようぜ」
『せやね』
魔「とりあえず、居間に行こう」
すたすた
すたすた
輝「もう継投すれば?」
天「いや、こいつでいく」
『…まだゲームやってたのか』
魔「そういえば、最近キャッチボールしてないな」
衣「キャッチボール?」
『夏には、たまにしてたんですよ』
魔「秋からは、ほとんどしてないけどな」
衣「青春ですね」
『そうですかね?』
フ「ん…」
魔「お、起きたか」
フ「んー…」
『…何やら機嫌悪そうだ…』
フ「…んうー…」
魔「眠そうだな」
フ「ねむい…」
『ご飯食べるかい?』
フ「パン…」
『ああ、はいはい、パンね』
フ「アプリコットジャム…」
『ごめん、ないなあ、それは』
フ「クランベリージャム…」
『ごめんね、それもないんだ』
フ「なんにもないじゃん…」
『ブルーベリージャムならあるよ』
フ「いらない。アプリコットジャムがいい」
『ブルーベリージャムもおいしいよ』
フ「アプリコットジャムじゃなきゃたべない」
『むむむ…』
魔「ブルーベリージャムもおいしいぜ」
フ「じゃあそれでいいや」
『………』
魔「どうした?」
『…俺って何…』
フ「パンは?」
『今、準備するよ』
フ「はやくしてね」
魔「その間に着替えてきたらどうだ?」
フ「うん」
………
天「あー、また負けた。これコントローラー壊れてるわ」
輝「壊れてないわよ」
衣「…そんなにずっとやってて、飽きないんですか?」
天「勝てないし飽きてきたかも」
輝「ふーん。じゃ、やめれば?」
天「………」
輝「やめればいいじゃない」
天「…いや、やめない」
衣「また意地張って…」
輝「いいわよ、別に強制じゃないんだから」
天「やめない。次は勝つし」
衣「なんて単純な…」
輝「あっちの人たちと談笑でもしたらいいじゃない」
『はい、フランちゃん。パンだよ』
フ「いただきます」
魔「いい匂いだな」
天「いや、私はあんたに勝つまでやるわ」
衣「………」
輝「ふふ。なら、やってみなさい」
天「ええ、望むところよ」
………
『フランちゃん、おいしいかい?』
フ「びみょー」
魔「平民の家の食事だからな」
『…失礼だね、いつも食べてるくせに』
魔「まあ、そうなんだが」
フ「食べ終わったら、わたしもゲームする」
『野球わかるの?』
フ「わかる」
『…うーん、本当だろうか』
魔「もぐもぐ」
『って、なんで魔理沙も食べてんの?』
魔「…なんか見てたら食べたくなった」
『…まあ、育ち盛りだから大丈夫か』
フ「ごちそうさま!」
『あ、はい、お粗末さま』
魔「私もごちそうさま」
『一枚でいいの?』
魔「おいおい、人を大食いみたいに言うなよ」
『…勝手に食べてたくせに』
フ「ゲームする」
『はいはい』
魔「そうだな」
すたすた
輝「………」
天「きーっ!」
フ「ねえ、わたしもゲームやりたい」
輝「あ、いいわよ」
プチッ
天「ちょっと、なんで電源切るのよ!」
輝「いや、もう勝ち目なかったじゃない」
天「あと四十点弱取れば逆転したわよ!」
衣「…それを勝ち目がないと言うのでは?」
フ「やり方は?」
輝「ええと、まず打つのが…」
天「ああ、悔しい…」
輝「走るのが…」
フ「うんうん」
天「あ…そうだ…」
衣「…何か企んでますね」
輝「守備は…」
フ「うん、わかった」
天「ねえ、ちびっ子」
フ「なに?」
天「私と…」
フ「うん」
天「勝負しなさい!」
衣「おとなげない!」




