11 せんめんじょ
『…ああ…腰が…』
天「…あんたバカじゃないの」
『こりゃ明日は筋肉痛だ…』
輝「なかなか見応えのある光景だったわね」
フ「おつかれさまー」
衣「ふう。なんだか頭がくらくらします」
天「飲み過ぎなのよ」
衣「そうでしょうか」
天「そうよ」
『まあ、たしかにそうかも』
魔「なあ、おまえ、私のために代わってくれたんだな…」
『え、何のこと?』
魔「そ、そういうの、ずるいぜ…」
『?』
輝「貴方、根は優しいの?」
『マゾヒストではないですね』
輝「…そんなこと訊いてないわよ」
フ「はやく続きしようよー」
天「言われなくてもやるわよ」
衣「まだやるんですか?」
天「もちろん。私のステージに行ってないもん」
衣「それはそうですけど…」
『次って俺のターンだよね?』
フ「そうよ。はい、サイコロ」
『お、ありがとう。せいっ』
コロコロ
『一だ…』
天「あんた、ホントのろまよね」
『かなしいよ…』
魔「まだ三面なのか?」
フ「おそいね」
輝「この双六、いつ終わるのかしら…」
………
天「やった、ゴール目前よ!」
『元気だね、てんこちゃん…』
天「あんたたちが疲れすぎなのよ」
魔「なんか気分がすぐれないぜ…」
フ「飲みすぎね」
魔「そんなに飲んだかな…」
天「ま、とにかくほら、あんたの番よ」
魔「はいはい…」
コロコロ
魔「七だ」
天「無いわよ、そんなん」
魔「眠い…」
天「六でしょ、六。ちゃんと進みなさい、ほら」
衣「ぐだぐだになってきましたね」
輝「…だいぶ前からだけどね」
『てんこちゃん、早く上がって』
天「どうして、やる気無くしてるのよ」
『だってだってなんだもん』
天「意味わかんないし。はい、次誰の番?」
『あ、俺か』
コロコロ
『四だ』
フ「三マスすすむ、だって」
『はいよ。一、二、三っと』
魔「五マス戻るだって」
『え、マジで?』
輝「誰よ、こんなまどろっこしいの作ったのは」
衣「………」
『………』
衣「…こほん」
『…まあ、いいや』
輝「次は私ね」
コロコロ
輝「六だわ」
魔「何も無いな」
『はい、次はフランちゃんだね』
フ「うん。くらえ!」
びゅんっ!
ガッ!
『イテッ!』
フ「あれ?」
『フランちゃん、そんな具体的にサイコロ投げないで…』
魔「サイコロは転がすものだぜ」
天「ってか、そんなボケは序盤でやりなさいよ」
フ「…あん?」
天「ひゃっ、なっ、ななな何よぉ…!」
フ「まちがっちゃっただけだもん」
『そうだよね。フランちゃん、やさしい女の子だもんね』
フ「そうよ。べつにすごろくに飽きたわけじゃないのよ」
『てててんこちゃん、一刻も早く上がってちょうだい』
天「そ、そんなこと言われても…」
『ほら、てんこちゃんの番だよ』
天「え、違うでしょ」
衣「違いません違いません」
輝「そうそう」
天「違うって。私さっきやったもん」
魔「やらないんなら飛ばすぜ」
フ「とばすぜ」
天「え、ちょ、私だっけ?」
『いいから、ほら』
天「あ、うーん…」
コロコロ
天「よし、六よ!」
『………』
輝「………」
衣「………」
魔「………」
天「なによ」
『ねえ、てんこちゃん…』
天「だから、何よ」
『…てんこちゃん、バカでしょ?』
天「バカじゃないわよ。何なの、さっきから」
『じゃあ六マス進んでごらん』
天「いいわよ。一、二、三、四…」
フ「あ、スタートに戻るだって」
天「………」
『何でゴール直前に、スタートに戻るを作るのさ…』
衣「バカなんですよ」
輝「これはひどいわね」
魔「じゃあ、てんこだけ上がるまでやることにして、私達はもう寝ようぜ」
『さんせーい』
フ「さんせーい」
衣「そうしましょうか」
輝「ああ、疲れたわ」
天「は、意味分かんないし! あんたたちも上がるまでやりなさいよ!」
魔「解散、かいさーん」
天「ちょっと、なんで! 本気なの!?」
『洗面所は一人ずつ順番に使ってくださいね』
輝「じゃあ、私がはじめに使うわ」
魔「急いでくれよ。後がつかえるから」
輝「わかってるわよん」
魔「ホントに分かってるのか…」
天「ガチで寝る準備してるし…」
衣「総領娘様、とっととやらないと朝になりますよ?」
天「衣玖までそんなこと言うの?」
衣「自業自得です」
天「ちょっと遊び心を入れただけじゃない」
衣「ま、がんばってください」
天「あ、ちょっと! 待ちなさい、衣玖、行くなー!」
輝「ねー、うがいをしたいんだけど、あなたのコップ使っていいのー?」
『あ、ちょ、今持って行きますからー!』
天「…なんで私がこんな目に遭わなきゃなんないのよ」
フ「ねえねえ」
天「なによ、チビっ子。あんたも続けるの?」
フ「ううん、ちがう」
天「じゃあ何よ」
フ「あのね」
天「うん」
フ「ばーか!」
天「…この…クソガキ…」




